読み聞かせで学ぶ、地域と自分の歴史
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昔話
みなさん、お子さんに絵本や児童書の読み聞かせをしていますか?
我が家は眠りにつく前の30分が、絵本の読み聞かせタイムになっています。
うちの息子(3歳10ヶ月)が最近気に入っているのが、「うんてんするのはだあれ?」という絵本。ベルギーの絵本作家レオ・ティマース氏の作品です。消防車やトラクターなどの乗り物が出てきて、いろいろな格好をした動物たちが登場します。その中で、この車を運転するのは誰かな?というクエスチョン形式の内容です。
私がレオ・ティマース氏のイラストが好きで、中古本を探して購入したところ、息子がいたく気に入って毎晩3回は読み聞かせます。単純な内容の繰り返しですが、そこが子どもにとっては安心して楽しめるポイントなのでしょうね。
それと合わせて、読み聞かせしているのが『ももたろう』です。「今更ももたろう?」と思われるかもしれませんが、実は日本語と英語のバイリンガルになっていまして、私が編集した絵本なんです。
今や書店で日本の昔話絵本を見ることが少なくなりました。永岡書店さんの昔話ミニ絵本くらいでしょうか。あとは、大きな書店だといもとようこさんの作品も置いてありますね。
現代の絵本作家さんの作品や、海外作家さんのものは数多置いてありますが、日本の昔話は非常に影が薄いですね。海外の作品も面白いですが、やっぱり日本の昔話で心を養っていかなくてはと思い、読み聞かせることにしました。英語にも興味を示しますが、なにぶん読み手がネイティブではないので、いずれはネイティブの朗読も聞かせたいですね(笑)。
あなたの地域の昔話を知っていますか?
昨日のニュースですが、沼津市立第四小学校(沼津市御幸町)で、絵物語「ぬまづ昔ばなし」第1巻「天狗(てんぐ)のすもう」の読み聞かせが行われたという記事を見ました。
「ぬまづ昔ばなし」は、2022年8月に再編された沼津にまつわる昔話で、この小学校がある第四地区という場所が舞台になっているそうです。同地区を紹介する巻末の「ちくレポ」は同小学校の2年生が取材に携わったとのこと。
同書の発行元「e-monogatari(えものがたり)」のメンバーや、沼津市長、教育長、読み聞かせボランティアのほか、地元コミュニティーFM「エフエムぬまづ」のラジオパーソナリティーや吉本興業のお笑い芸人などが読み手を担当し、1年生から6年生の全17クラスで、朝8時から一斉に読み聞かせが行われました。お話しを聞いた子どもは、「自分たちの学校の近くでこんな昔話があったとは思いもしなかった」といった感想が出たそうです。
自分の住んでいる地域のお話しって、すごく興味がありますよね。特に学校区となれば、地元も地元。地域レポートには同じ学校の子どもたちが携わっているとなれば、聞いてみたくなりますね。でも最近は多種多様なコンテンツの出現で、地域の伝説や民話、郷土史は語られることがなくなってきています。昔話もそうですね。
自分が生まれ育った地域の歴史を知り、日本人が太古から脈々と受け継いできた、日本人としての心や精神を受け継ぐためにも、家庭でも学校教育でも、もっと日本の昔話や民話に触れる時間を増やしていく必要があると思います。そして自分自身にもそう言い聞かせています。
テクノロジーが繋ぐ民族のルーツ
Yahooニュースでこんな記事も見つけました。
ミャンマー北部の少数民族「カチン」の言語をフィールドワークで研究するかたわら、口伝えの民話を記録し、紙芝居にして動画サイトやSNSで公開――。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)の倉部慶太准教授(35)の取り組みだ。「受け継いできた文化が失われつつある」という現地の危機感を受けとめ、ミャンマーの若者たちと協働で続けている。
「夜になると、トラに変身する女性と結婚した夫が、それを知って……」「湖の水を空っぽにした者に褒美を与えると聞いた3人組がとった行動は……」
無料動画サイトYouTubeの「Kachin folktales」(カチンの民話)のチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCyRWVcLO4YZlEO_9SWyPPYQ)では、そんな民話や昔話の数々を無料で見られる。地元の「ジンポー語」の朗読と、主に現地のイラストレーターが描いた素朴で味わいのある絵が付き、ミャンマーの公用語のビルマ語や日本語、英語、中国語の字幕を選べる。
「長い間、カチンは無文字社会で、豊かな口承(口伝え)文化が発達し、語り継がれてきました。しかし急速な社会の変化で、伝統的な口承を知らない世代の増加と無関心が問題になっています。多くの伝統的な物語が十分に記録されることなく、消滅の危機に直面しています」と倉部さんは話す。
かつては農閑期に村の子どもたちが食べ物を持ち寄り、囲炉裏を囲んで古老の語りに耳を傾けて無数の民話、神話、叙事詩、民謡、ことわざなどが語り継がれてきた。
教訓的な内容が多く、日本の「こぶとりじいさん」「うば捨て山」とよく似た昔話もある。また人間がどこからどう生まれ、今につながっているのかという壮大な物語もある。熟練の語り部が特別な催事で、叙事詩を三日三晩かけて話したという記録もある。
だが、カチンの言葉を使わないテレビやネットの普及によって物語を話せる人が減り、お年寄りの語りに対する関心も薄くなって口承文化は途絶えつつあるという。三日三晩かけて語る叙事詩を語れる人も、今ではほぼ見つからない。
単一民族国家である日本ではあまりイメージできないですが、多数の少数民族が国を構成しているミャンマーなどでは、自分の民族が消滅する危機が存在します。民族の歴史や伝統は、口承により受け継がれて行きますが、それが途絶えれば人々の記憶から消し去れてしまうのです。テクノロジーの進化が、その危機を回避させるとともに、民族の伝統を世界中に発信できる手助けをしています。
私たちが生きている今は、私たちの祖先が必死に生きて、護って、受け継いできたものです。途絶えさせることなく、後世に遺していきたいですね。
日本昔話の名作を日英バイリンガル絵本にしました。
『日本の昔ばなし名作シリーズ』
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