足るを知る 度が過ぎた欲求が招いた悲劇『赤ん坊になったおばあさん』
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最終更新日:2023/05/20
昔話
若さを求めるのは世の常?
いつまでの若くありたいというのは、女性も男性も同じですね。とはいえ、体が衰えていくのは自然の摂理。年齢を重ねると、若々しい体や健康な体を保つには、相応の努力が要ります。そんな努力なしに、若さを取り戻せるものがあるとしたら、皆さんは欲しいですか?
日本の昔話に「赤ん坊になったおばあさん」というお話があります。その中に「若返りの水」というアイテムが登場します。アンチエイジング商品として、深夜のTVショッピングや通販サイトでもありそうですが、このお話の中の水は本当に体が若返ってしまうんです。
偶然その水を見つけて飲んだことで若返ったおじいさんと、それを見たおばあさんが、とんでもないことになってしまうというお話です。
では、あらすじを見ていきましょう。
『赤ん坊になったおばあさん』のあらすじ
むかしむかし、山のふもとの村に、年老いたおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山の木を切って、炭を焼いて近くの町ヘ売りに行くのが仕事でした。
ある日、いつものように山へ薪を取りに行ったおじいさんは、よろよろと山を下り始めました。
その日はとても暑かったので、おじいさんはとても喉が渇いていました。
ふと見ると、岩の間からきれいな水が湧き出ていました。
「これは、ありがたい」と、おじいさんはその水を手ですくって飲みました。
それは冷たくてとてもおいしい水でした。
しばらくすると曲がっていたおじいさんの腰が伸びて、おじいさんはどんどん若返っていきました。
おじいさんは水のおかげで元気が出たと喜んで山を下りて家へ帰りました。
家に着いたおじいさんが「ばあさんや、帰ったよ」と叫ぶと、出迎えに来たおばあさんがびっくり!!
おじいさんの姿を見たおばあさんはびっくりして、目を見開いています。
そこにいたのは、すっかり若返ったおじいさんだったのです。
驚いたおばあさんは、おじいさんに尋ねました。
「何があったんですか、おじいさん!?」
おじいさんもおばあさんに言われて、初めて自分が若返っている事に気づきました。
「きっとあの水を飲んだせいだ。あれは若返りの水だったんだな。」
おじいさんは、山で見つけた水の話しをおばあさんに聞かせました。
「まあ、そんな水があるなら、わたしも行って飲んでみましょう」
おばあさんはそう言って笑いました。
明日には自分も泉の水を飲んで若返る事を想像しながら、おばあさんは眠りにつきました。
次の日、おばあさんは朝早くから山へ出かけて行きました。
おじいさんは、おばあさんがさぞかし若くきれいになって帰って来るだろうと、楽しみにして待っていました。
ところが昼になっても、夜になっても、おばあさんは帰ってきません。
おじいさんは心配になって、村の人たちと山へ探しに行きました。
しかし、どこを探してもおばあさんの姿はありません。
「いったい、どこへ行ってしまったんだろう?」とみんなで話し合っていると、
「オギャー、オギャー」と草むらの中から、赤ん坊の泣き声が聞こえて来ました。
おじいさんが近づいてみると、おばあさんの着物を着た赤ちゃんが、泣いているではありませんか!
おばあさんは水をたくさん飲みすぎて、赤ん坊まで若返ってしまったのです。
驚いたおじいさんは赤ん坊を抱き上げて、「馬鹿だなあ、ばあさんの奴。飲み過ぎて赤ん坊になってしもうた。」
おじいさんはガックリとうなだれながら、赤ん坊を抱いて家へ帰りました。
『赤ん坊になったおばあさん』が教えてくれること
若さへの渇望は、今も昔も変わらないんですね。もっと若く、もっと若くと欲をかいて水を飲んでしまったばかりに、おばあさんは赤ん坊に戻ってしまいました。現代でもアンチエイジングの商品は数多ありますが、あまり若さを求めすぎてしまうと、赤ん坊にはなりませんがお金が底をついてしまうかもしれませんね。
このお話の教訓は、人間何かと欲はつきませんが、ほどほどにしておいた方がいいということ。
生活習慣を正して、しっかりトレーニングして、健康的で若々しい体をつくりましょう!
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