情けは人のためならず 愛猫の恩返し『大工とねこ』
公開日:
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最終更新日:2022/05/27
昔話
皆さんペットを飼っていますか?
昔はペットといえば犬か猫でしたが、今は色々な動物を飼っている人がいますね。時々ちょっと危険なペットが逃げ出して、ニュースになったりもします。
ペットは長く飼うほど愛情が湧いてきて、欠かせない存在になりますね。こちらの考えていることも解ってくれている気がして、心の支えにもなってくれます。長年一緒に暮らしたペットを失うことで、ペットロス症候群になってしまうケースもあるほど。
今日の昔話は、あるネコのおかげで出世する男の話です。
ではあらすじを見ていきましょう。
大工とねこのあらすじ
むかし、江戸の神田に大工の男が住んでいました。
奥さんを早くに亡くし独り身だった男のもとに、一匹の迷いネコがやってきます。
男はそのネコを飼うことにして、とても可愛いがっていました。
男は毎朝仕事に出かける時、ネコに一日分の食事を用意してやり、夕方には土産の魚を買って帰りました。
男が帰るとネコが迎えに出てきます。男とネコは互いを支え合うように暮らしていました。
ところがある日、男は目を患い物がよく見えなくなってしまいました。
医者に診せましたが、難病のためどうにもならないと言われてしまいました。
大工の仕事ができなくなった男は、やがて家にこもるようになり、ネコにエサの魚を食べさせる事もできなくなってしまいました。
そうして月日が流れ、自分の不幸を嘆いた男は、「もうお前に魚を買ってやるどころか暮らしもままならない。オレの目は治りそうにもないし、いったいどうしたらいいのだろう、、、」とネコに話しながら眠りにつきました。
しばらくすると、ネコが眠っている男の目を舌で舐め始めました。
ふと目を覚ました男は、「はて、何をしているのだろう?」と思いながら、しばらく様子を見ていました。
それからも男が眠ると、ネコは男の両目を舐め続けました。
数日経った頃、不思議なことに男の目は少しずつ見えるようになり、十日も過ぎた頃にはすっかり物が見えるようになりました。
男はとても喜んで、ネコを抱きしめて喜びました。
大工の仕事に戻った男は、また元のように暮らしはじめました。
しかし男の目が治った時から、ネコの目は白くにごりはじめ、段々と見えなくなっていきました。
ある日いつものように、ネコのために沢山の魚を買って帰ると、ネコの姿がどこにもありません。
そして、それきりネコの姿を見る事はありませんでした。
その後男は大工の腕を上げ、江戸でも評判の棟梁となりました。
それからも男は、自分を助けてくれたネコの事を、決して忘れる事ありませんでした。
大工とねこが教えてくれること
このお話は、鶴の恩返しや浦島太郎などと同様、動物が人間に恩返しをすることを主題にした動物報恩譚の1つですね。
このネコは、まるでこれから男が患う病を予測したかのように現れます。よくペットが自分の命と引き換えにして、飼い主を災難から護るという話がありますが、まさにこのネコは自分の眼を犠牲にして男を救います。
このお話は、迷いネコを招き入れ、朝に夕に食事を与え、愛情を注いだ男へのネコの恩返しと取れますが、動物報恩譚には、些細な恩に対し過分に報いる話や、まったく一方的に動物が援助をする話もあって、さらに報恩を受ける人間も必ずしも善良な人や働き者ばかりではなく、逆になまけ者や悪知恵のある者の場合もあります。この点から、神意によってあらかじめ指定された者が、神の使徒としての動物の援助を受けて事業を成就するという昔話の類型を考えることもできます。
情けは人のためならず。
個人主義が進む現代において、利他の精神を忘れずに人にも動物にも接していきたいですね。
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