ほんとはちょっと怖い『かちかち山』
公開日:
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最終更新日:2022/04/29
昔話
日本の五大昔話の1つとされ、今でも人気のある『かちかち山』。
皆さんかちかち山のお話って覚えていますか?
「うさぎがたぬきにイタズラする話?」「うさぎがおばあさんの敵討ちをする話?」
子どもの頃に読んだ昔話って、うろ覚えなことが多いですよね。
今日は「かちかち山」について思い出してみましょう。
かちかち山のあらすじ
むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人は、いたずらたぬきにいつも悩まされていました。
おじいさんはがまんでいなくなり捕まえることにしました。
おじいさんは見事たぬきを捕まえましたが、ずるがしこい狸はおばあさんをだまして縄をほどかせました。
「おばあさん、もういたずらは二度としませんから、縄をほどいてください。」
しかし、縄をほどいてもらうと、たぬきはおばあさんに飛び掛かっていきました。
たぬきはおばあさんを殴って、殺してしまいました。
これを聞いた前山のウサギは、親切なおばあさんの仇をうつことにしました。
うさぎはたぬきをだまして、たぬきにたきぎを背負わせました。
「たぬきさん、私、前山に住んでいるうさぎよ。たぬきさん大好き。家までたきぎを運ぶのを手伝って下さらない。」
そこでうさぎは、こっそりと背中のたきぎに火をつけました。
「あちちっ!!!」
たぬきは背中におおやけどをしました。
次の日、うさぎは「たぬきさん、私、中山に住んでいるうさぎよ。たぬきさん大好き。やけどを直してあげるわ。」と言ってたぬきをだまして、 薬のかわりにからしを塗りました。 「いたい!いたい!」とたぬきは泣き叫びました。
次の日、うさぎは、「たぬきさん、私、後山に住んでいるうさぎよ。たぬきさん大好き。魚を食べたくない?
私は木の船を作るから、たぬきさんはどろの舟を作って。体が大きいからどろの舟の方がいいわ。」
と言ってたぬきを魚釣りにさそって、泥の舟を作らせました。
そして、川に漕ぎ出すと、たぬきが乗ったどろ舟は川の中に沈んでいきました。
「助けてくれ・・・」たぬきは必死で助けを求めますが、
うさぎは「ざまあみろ、おばあさんの仇だ!」と言って笑って眺めていました。
とうとうたぬきは溺れ死んでしまいました。
勧善懲悪の動物昔話
実はかちかち山は結構残虐な表現があります。
おばあさんを殺したたぬきは、おばあさんを鍋に入れて煮込んで婆汁をつくり、それをおじいさんに食べさせてしまいます。かなりホラーな話ですよね?
極悪非道な行いをしたたぬきに対して、うさぎは徹底的に仕返しをします。
背中の薪に火をつける、火傷にからしを塗る、川に水没させるなど、うさぎもかなり残虐な拷問のような行動に出ます。
ここで発せられる強いメッセージは、
「悪いことをしたら罰せられる」ということですね。
桃太郎や一寸法師に出てくる鬼しかり、猿蟹合戦の猿しかり、勧善懲悪のお話では、悪い行いをした者には必ず罰が下るということが強く印象付けられる内容になっています。
かちかち山の歴史
かちかち山は、室町時代末期には現在の形で成立していたとされています。
たぬきがおじいさんに婆汁を食べさせて逃げる「狸の婆汁」という前半部分と、うさぎが主役となって、おじいさんに代わってたぬきを退治する後半部分が複合した、現在のかちかち山の構成を持つようになったのは、江戸時代の「兎大手柄」からといわれています。
作品ができた室町時代末期のかちかち山は、今よりもとても残酷な内容であり、タヌキの性格がとても狡猾でした。
それが時代を経るにつれ、内容はどんどん緩和されていきました。こうした内容の変化、緩和はその時代の背景に影響を与えられていることが多いんですね。
時代の流れに伴う主な変化として、まず江戸時代後期にはタヌキに対するお仕置きの方法などの変更や、お仕置き自体をなくすなどといった編集が行われました。また昭和末期頃には、小さい子どもが読むようになったため、さらに内容の緩和が行われたそうです。
このように残酷な表現や内容は改変や省略などが行われることによって、幼い子どもたちにも読み聞かせができるようになっていったことは、幅広い人々に昔の作品に興味をもっ てもらうことに関して非常に効果的ですが、同時に現代の日本には、かちかちの本当の話を知る人が少なくなっていってしまっているのもまた事実ですね。
日本の昔話自体が、書店でほとんど見られなくなった昨今。昔話の由来や歴史を知り、子どもたちに読んで伝えていきたいですね。
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