来年の干支は何ですか?「十二支のはなし」
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昔話
今年もあと2日となりました。
今日は大掃除やお正月の飾り付けで皆さん忙しいのではないでしょうか。
皆さんは年賀状を書きましたか?
最近はメールやメッセージアプリ、SNSが充実しているので、年賀状を書かないという人もたくさんいますよね。年賀はがきは1949年に発売が開始されてからずっと発行枚数を伸ばしていきました。1964年には10億枚、1973年には20億枚を突破し、ピーク時の2003年には44億5,936万枚もの枚数の年賀はがきが発行されたそうです。それが、2020年には19億4,198万枚にまで減少しています。ハガキや手紙を書くことが減ってしまった昨今、思いを込めて年賀状を書いてもいいかもしれませんね。
私の父は教職員をしていたので、生徒さんや学校関係の人たちから、毎年たくさんの年賀状が届きました。ピーク時で約400枚!そうなるとこちらからも出す必要があって、宛名書きがものすごく大変。昔は宛名印刷とかなかったので(あったけど知らなかった?)、私がバイトで書いていました(笑)。おかげで「様」という字がとてもうまくなりましたね。
年賀状を書くと、来年の干支が何なのかがよくわかります。必ずといっていいほど裏面に十二支の絵が出ていますからね。さて、来年の干支は何でしょう?来年は寅年です。私、年男です。皆さんの干支(えと)は何ですかと聞かれたら、何て答えますか?実は、干支って60種類あるのをご存知ですか?
全部で60種類ある干支
「干支」というと、12種類の動物を思い浮かべると思いますが、厳密にいうとこれは十二支で、干支とは違うんですね。干支は、「十干(じっかん)」と「十二支」を組み合わせたものを言います。十干とはなんでしょうか?十干は次の10種類があります。
・甲(きのえ) ・乙(きのと)
・丙(ひのえ) ・丁(ひのと)
・戊(つちのえ) ・己(つちのと)
・庚(かのえ) ・辛(かのと)
・壬(みずのえ) ・癸(みずのと)
2つ並んでいる最後の文字を見ると、きの『え』きの『と』、ひの『え』ひの『と』といったように、『えと』になっていますよね。「干支」を「えと」と読むのはここから来ているんです。これは陰陽思想に基づいていると言われていて「え=陽、」「と=陰」という意味があります。
厳密に言うと、干支とはこの十干と十二支を組み合わせた「十干十二支」のことを指します。
【十干】甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸
【十二支】子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥
これを順に組み合わせていくと、甲子(きのえね)、乙丑(きのとうし)、丙寅(ひのえとら)、丁卯(ひのとう)となり、最後は癸亥(みずのとい)で、計60の干支になります。干支が60年で一巡し、生まれ年の干支に戻ることを「還暦」と言います。赤いちゃんちゃんこを贈ってお祝いするアレです。
十二支の動物の名前の由来
さて、十二支は12種類の動物の名前になっていますが、その漢字は今の読み方と全然違いますよね。
子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)
現在では「鼠・牛・虎・兎・竜・蛇・馬・羊・猿・鳥・犬・猪」ですよね?なぜ、こんな漢字が当てられているのでしょうか。
十二支は、今から1500年ほど前に中国から伝わったと言われています。昔の中国では、「年」を数えるとき、木星の動きをもとにしていました。木星は12年で太陽の周りを一周します。そこで、人々は毎年の木星の位置を示すために天を12に分けました。12に分けられた天に、中国で数を表す数詞である「子」から「亥」までの字をあてはめました。それが十二支の起源です。十二支は、もともと順序や方角を表す符号でした。農業を営む上で必要となった暦に当てはめて、それを字の読めない庶民に普及させるために、発音が近い動物に当てはめられたという説もあります。
十二支を民衆に浸透させるために、字が読めない人でも覚えやすく馴染みやすい、動物に替えて文献を書いたのが、古代中国の王充(おういつ)という人物です。王充によって十二支は民衆に広まっていきました。ということで、動物は後から便宜上あてはめられただけだったのですね。
その後十二支は日本にも伝わります。その頃十二支は、年だけでなく月や時間にもあてはめられ、広く使われるようになりました。怪談話などで、「丑三つ時」とか聞いたことがありませんか?夜中の2〜3時頃を十二支で表すとそうなります。実は今でも時間表記に十二支の面影は残っているんです。「午前」「午後」というのは「午の刻(うまのこく)」の「午」から来ています。午の刻は11時から13時を指していて、その前半は午前、後半は午後というようになったのです。干支は私たちの生活に昔から根付いているものだったんですね。
ネコがネズミを追う理由
最後に、十二支についての昔話を紹介したいと思います。タイトルは『十二支のはじまり』
その名の通り、十二支がなぜこの順番になったのかを伝えています。なぜ十二支にネコがいないのか?ネズミとネコの関係が悪化した理由はここにあった?
遠い昔、十二月の大晦日、神さまは動物たちに言いました。
「明日の元旦、私の所に挨拶に来なさい。来たもの順に、十二匹に一年をあげよう。」
ネコは、神さまの所に行く日を聞き逃したので、ネズミに聞きました。ところが、 ネズミは一月二日だと答えました。
ウシは歩くのが遅いのですぐに出発しました。それを見たネズミはウシの背中に飛び乗りました。
元旦朝早く、ウシは神さまの住む宮殿に着きました。
門が開くや否や、ネズミはウシの背中から前に飛び降りると、真っ先に神さまの所へ走りました。
神様は嬉しそうに言いました。
「ネズミや。お前が一番じゃ。一年目をあげよう。」
「ウシや。お前は二番じゃ。二年目をあげよう。」
他の動物も次々と神様のところに到着します。
「トラや。お前は三番じゃ。三年目をあげよう。」
「ウサギや。お前は四番じゃ。四年目をあげよう。」
「タツや。お前は五番じゃ。五年目をあげよう。」
「ヘビや。お前は六番じゃ。六年目をあげよう。」
「ウマや。お前は七番じゃ。七年目をあげよう。」
「ヒツジや。お前は八番じゃ。八年目をあげよう。」
「サルや。お前は九番じゃ。九年目をあげよう。」
「ニワトリや。お前は十番じゃ。十年目をあげよう。」
「イヌや。お前は十一番じゃ。十一年目をあげよう。」
「イノシシや。お前は十二番じゃ。十二年目をあげよう。」
次の日、ネコは神さまの所へ行きました。
「私が一番かしら?」嬉しそうに神様を訪ねたネコでしたが、
「もう遅い、年を与えると言ったのは、昨日じゃ」と言われてしまいました。
ネズミに騙されたと気づ きました。ネコはかんかんに怒りました。
それからというもの、ネコはネズミを見ると狂ったように追いかけるのです。
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