あのユニークな顔をした男は神の使いだった「火男」
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昔話
毎日暑い日が続きますね。
そろそろ学校は夏休みに入りましたでしょうか?
以前コロナ禍は続いていて、また新しい株が出て第7波の到来と騒がれていますね。今年の夏も旅行やイベント参加を自粛する傾向は強くなりそうです。うちの地元でも子ども神輿の祭りが中止になりました。子どもたちも、近隣住民も楽しみにしているので、ちょっと残念です。
祭りは日本の伝統であり、神々とともに生きる日本人にとっては、なくてはならないものですから、コロナ禍が終息し早く皆んなで賑々しく楽しめる日が来てほしいものです。
さて、祭りといえば踊りがつきものですね。全国各地のお祭りで様々な踊りがありますが、おかめとひょっとこの踊りも有名ですね。
ひょっとこの由来
みなさんは「ひょっとこ」をご存知ですか?
ひょっとこは、口をすぼめて曲げたような表情の男性、あるいはその面のことで、潮吹き面(しおふきめん)とも言われています。左右の目の大きさが違うこともあり、頬被りをしている場合もあります。お祭りなどで踊る姿を見たことがある方もいるのではないでしょうか?ひょっとこは、関東の里神楽では、道化役としておかめと対で登場し、主役の模倣などをして観客を笑わせる「もどき役」を演じます。僕の父親はこのひょっとこ踊りが得意で、イベントなどでよく踊っていました。
このひょっとこの由来って知っていますか?ひょっとこは、東北地方の一部では、かまど神としてまつられています。 ひょっとこが火の神・かまど神としてまつられるようになった由来は、「火男」という民話で語られているんです。
火男のお話を少し見ていきましょう。
火男はかまどの神?
むかし、東北のあるところに、働き者のおじいさんと怠け者のおばあさんが住んでいました。
ある日、いつものようにおじいさんが山で柴を刈っていると、洞穴から「柴をよこせー!」という声が聞こえてきました。おじいさんが穴に近づいてみると、手に持っていた柴が穴の中に吸い込まれてしまいました。すると、穴から「もっとよこせー!」と声が聞こえてきます。そこで、お爺さんは言われるがまま沢山の柴を穴に投げ込みました。そして、おじいさんまで穴に吸い込まれました。
穴の中は真っ赤な火の世界で、そこには火の神様が座っていました。おじいさんが火の神様のそばに行くと、「柴のお礼だ」と言って、宝物の入った包みをくれました。おじいさんが家に帰って包みを開けてみると、不思議な顔をした男の子が入っていました。おばあさんはそれを見て、怒っていましたが、おじいさんはこの男の子に「火男」と名付けて大切に育てました。
火男は、一言も口も聞かずヘソばっかりイジっています。そのうちヘソが腫れ上がってしまいました。不憫に思ったおじいさんがキセルでヘソをポンと叩いてみると、なんとヘソから一枚の小判が出てきました。小判が出るたびに少しずつヘソは小さくなるので、おじいさんは毎日3回だけヘソを叩いてやりました。するとその度に小判が一枚飛び出しきました。
それを見た欲張りのおばあさんは、おじいさんがいない時を見計らって、ヘソからたくさんの小判を出そうと、巨大なキセルを持って火男を追いかけまわしました。かまどに追い詰められた火男は、火になってかまどに飛び込み、火の神様のところへ帰っていきました。そのことを知って悲しんだおじいさんは、火男のお面を彫ってかまど近くの柱にかけました。
それから、この地方では、今でもかまどの近くに火男のお面をかけるしきたりが残っています。そして火男がなまって、「ひょっとこ」と言い変わって、お祭りなどでも使われるひょっとこの面になったそうです。
火男が教えてくれること
この火男の民話にも大切な教訓が含まれていますね。
1つは、「人に親切にすると良い事が返ってくる」ということ。
おじいさんは、火の神様に芝をたくさん差し出したことで、小判を出す「火男」をお土産としてもらいました。また火男を可愛がって、ヘソを小さくしてやろうとしたことで、小判を手に入れることができました。
2つめは、強欲な人間は返って大切なものを失うということ。
欲張りなおばあさんは、たくさんの小判を手に入れようと、火男を追いかけ回し怖い思いをさせました。その結果火男を失うことになりました。
人間どうしても欲をかいてしまうものですが、「足るを知る」という精神を忘れず、利他の心を持って生きたいものですね。
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