おばあちゃんの知恵袋はいつの時代も健在だった
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昔話
高齢者を敬う敬老の日
先週はシルバーウィークという連休期間でしたね。
もともとあったものではないですが、敬老の日と秋分の日という祝日が続き、ゴールデンウィークに次ぐ連休期間になっています。
そもそも敬老の日はなぜできたのでしょうか?敬老の日の起源は正確にはわかっていないようですが、いくつかの説があります。1つは、聖徳太子が現在の大阪市に悲田院(ひでんいん)という身よりのない老人や病人、貧しい人たち救うための施設を開いた日にちなんで制定されたという説。もう1つは、元正天皇が717年に年号を「養老」とし、養老の滝に御幸した日、また高齢者に贈り物をした日という説。
もともとは兵庫県の一部で「としよりの日」と呼ばれてお祝いされていたものが、1954年に国民の祝日として制定され全国に広まり、「老人の日」と改名されます。その後1966年に「国民の祝日法」が改正されることとなり、現在の「敬老の日」と変更されました。
祝日法では、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」を敬老の日と定めています。とはいえ、敬老の日だけでなく、日頃から人生の先達である高齢者を敬う心を持っていたいものですね。
60歳は無用の長物だった?!
高齢者を敬うことを教えてくれる、日本の昔話があるのを知っていますか?
いくつかありますが、有名どころは『姥捨て山』でしょうね。
むかし、ある国の山奥の地域では、60歳以上の高齢者は親であっても山へ捨てなければならない、というルールがあったそうです。この村に一人の息子と年老いた母親が住んでいる家がありました。その母親がついに60歳になり、息子は泣く泣く母親を背負って年寄りを捨てる山(姥捨て山)へ向かうことになりました。
息子に背負われながらその母親は「息子が帰り道に迷わないように」と、道すがら木の枝を折って道しるべにしていました。「今から自分が捨てられようとしているのに、なんで俺のためにそんなことを?」と息子が母親に聞くと、「親はいつまでたっても子どものことが心配なんだよ」と言って笑う母。泣けますね、、、。
そして山に母親を降ろした息子は、元来た道を帰り始めましたが、どうしても母親を置いて帰る事ができず、引き返して母親をおぶって家に走り帰ってしまいます。このままで家に帰って、もし母親を山においてこなかったことが知れ渡っては大変なことになります。母親を連れ帰った息子は、こっそりと家の床下に母親を隠れさせました。
そして、素知らぬ顔をして毎日を過ごしました。ところが、ある日隣国の殿様が自国の殿様に対して、「灰で縄を編んでみろ、さもないと攻め込むぞ」と難題をふっかけてきました。困った自国の殿様は、何か良い知恵がないか?と国中におふれを出しました。
親の意見となすびの花は千に一つも仇はない
この話を聞いた件の息子は、母親に話をします。すると母親が「固く編んだ縄を塩水につけて、乾いたら焼けばいい」と言うのです。息子は言われたとおりに灰縄を作り、殿様へ持って行きました。「これで助かった!」と喜んだ殿様は、沢山の褒美を息子に与えました。しかしこれでは終わりません。隣国の殿様はさらに難題をふっかけてきます。普通に攻め込めばいいものを、とんち好きな殿様だったのでしょうね。
今度は、「七節の曲がった竹に糸を通してみろ」「叩かなくても鳴る太鼓を作れ」と、矢継ぎ早に難題を出しました。そして今度も、息子が母親に何か知恵がないか聞いてみると、次々と答えを出して国を救うことができました。喜んで息子を褒め称える殿様。そこで息子は、これまでの知恵が実は母親が出したもので、その母親は60歳を過ぎているので本当は姥捨て山に置いてこなければいけなかった。でもそれが出来ずに自宅に匿っていたことを打ち明けます。
すると60歳を過ぎた母親の知恵だった事を知った殿様は、年寄りの知恵によって国が救われたことに感服し、それからは年寄りを捨てる事をやめさせたというお話です。
現代の60歳といえば、まだまだ働き盛り?の元気な方が多いですよね。昔は栄養状態も、医療環境も悪かったでしょうから、60歳はもう何の役にも立たない存在だったのでしょう。いずれにしても、長い人生経験を持った高齢者は、様々な知恵を持っています。「古い考え」と決め付けず、どうしたら今に合わせて活かすことが出来るかを考えてみてもいいですね。
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