現代文化のルーツを探る㊼ 夏祭り

公開日: : 現代文化のルーツ

残暑が厳しい毎日ですね。
こう暑いとかき氷など食べたくなりますが、今年は各地で夏祭りが中止になり、露天でかき氷を頬張る機会もほとんどなかったのではないでしょうか?

さて、日本では夏祭りが風物詩となっていますが、なぜ夏にお祭りをするのでしょうか?そもそも日本人はなぜお祭りをするのか?今日は夏祭りのルーツを探ってみましょう。

神話の時代の宴から始まる日本の祭り文化

日本でのお祭りの起源は、紀元前神話の時代にまでさかのぼります。
日本の神々が暮らし始めたある日のこと。太陽の神アマテラスオオミカミが、訪ねてきた弟スサノオノミコトが田んぼを荒らしたり、屋根を壊したりして暴れまくったことに怒り、天の岩戸に隠れてしまいました。そして世界は闇に包まれ、あらゆる災害が起こります。そこで、アマテラスになんとか岩戸の外に出てきてもらおうと、神々が知恵を絞ります。

この時、様々なアイディアを出したのが、知恵の神様であるオモイカネノミコトです。オモイカネノモコトは「祭りをやろう」と言って、アメノウズメに踊りを踊らせ、神々は大いに盛り上がります。その声を聞いたアマテラスが「なんだか外が楽しそう、、、」と気になって、岩戸を少し開けて外を覗いたところで、タヂカラオが岩戸をこじ開け、アマテラスを外に引っ張り出します。そうして世界は光を取り戻すことができました。

とてもざっくりですが、これが神社の祭りの起源といわれる有名な「天の岩戸隠れ」のエピソードです。これは、日本最古の歴史書である古事記に記されています。この「宴」こそが、現在の祭りの起源になっていると言われています。以来、神社や寺院を舞台に行事・儀礼としての祭りが始まりました。「祭り」の語源は「まつらふ」で、心を尽くした供え物で神様に感謝をささげることを意味します。

Wikipediaより

平安時代には神が神社から町に降りられる神輿が登場します。そして江戸時代には、山車や花火などの娯楽も加わり、主役は神仏から庶民へと変わっていきました。明治時代に発令された「神仏分離令」によって一旦祭りが禁止されますが、終戦後には日本の祭りを復興させようとする動きが盛んになり、それ以後は江戸時代に戻ったかのように祭りが行われるようになりました。現在では、お祭りは、農業や漁業の豊作、家族の健康や幸福を祈願する地域イベントとして定着していますね。

五穀豊穣を願い、祝う日本の祭り

四季を持つ日本では、春夏秋冬の季節によって異なる目的で、それぞれの祭りが生み出されてきました。古くから五穀の収穫を祝う風習があったといわれ、農耕の習慣が祭りに色濃く反映されているのが特徴です。

春は田植えの季節。「豊作祈願」が各地で行われ「無病息災」が祈願されます。

夏は、都市部に疫病が流行する季節で、これを神のたたりと考え、「疫病退散」や「厄除け」の祭祀が行われました。また「風除け」や「虫送り」の祭りも催されます。七夕に由来をもつ祭りや、盂蘭盆会(うらぼんえ、お盆のこと)に関連した祖先を祀る行事も多くみられますね。

秋は収穫の季節。春祭りでは豊作を願い、秋祭りでは豊かな実りに感謝する「感謝祭」です。伊勢神宮の「新嘗祭」に代表される祭祀が各地で催されます。

冬は、収穫を終えた農閑期の季節。田の神をねぎらい、新年を迎えるための「新春祝い」にまつわる祭りが行われます。秋から春は農耕の習慣と密接に結びつくことの多い祭りに対して、ひときわ賑々しく観光としても人気の高い日本の夏祭り。その背景には「厄除け」や「鎮魂」といった、人々の切なる願いや祈りがあります。

日本の三大祭り

皆さんは日本の三大祭りをご存知ですか?

祇園祭(京都市八坂神社)

869年の清和天皇の時代から続いている祇園祭は、1100年以上も続いている歴史ある祭りです。
祭行事は7月1日〜31日の1ヶ月間に渡って行われ、他の祭りとは比べ物にならないほど多くの行事が日程別に行われます。 祇園祭では、行事の無事を祈願する「吉符入」を筆頭に、長刀鉾の稽古やその披露・八坂神社周辺の巡行・神輿清め・家宝の屏風披露・表千家と裏千家による隔年のご奉仕・石見神楽などの行事が行われます。

天神祭(大阪市大阪天満宮)

7月24日、25日の2日間に渡って開催される天神祭は、平安時代中期から続いている歴史深い祭りです。 25日の本宮船渡御が最大の見どころで、午後6時頃から始まる船渡御を見るために多くの人が駆け付けます。 菅原道真公の御神霊を乗せた御鳳輦船(ごほうれんせん)を中心とした100艘を超える船団が大川を行き交う船の姿は圧巻です。また、天神祭独特の踊り「龍おどり」は、軽快な地車囃子(だんじりばやし)のリズムに乗って龍が天に昇る様子を表現したもので、 別名「蛇踊り」とも呼ばれています。

神田祭(東京都神田明神)

神田明神で行われる神田祭とは、2年に1度ごとの開催で5月中旬に行われます。
神田祭の起源については記録文書などがほとんど残っていないため不明ですが、江戸時代には「江戸三大祭り」の中に数えられるほど大規模な祭りになりました。 神田祭は徳川家縁起の祭りと言われていますが、これは徳川家康が神田大明神に毎日祈願することが天下統一につながったと考えられているためです。 以後、神田祭はより一層盛大に行われるようになり、神輿を担いで街を練り歩いたり太鼓のフェスティバルが開催されるようになりました。  日本の祭りは夏に行われることが多いですが、神田祭は5月中旬に行われます。

今年はコロナ禍もあり、祭りで盛り上がることは出来ませんでしたが、来年はこの疫病も退散するように、祭りで願いをかけたいものですね。

 

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