マンガに牽引される電子書籍市場 次世代は電子が当たりまえになる?
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インプレス総合研究所が、新産業調査レポート「電子書籍ビジネス調査報告書2021」を発表しました。内容は、2020年度の電子書籍の市場規模、マンガアプリの広告市場規模、事業者の動向、ユーザーの利用状況などを調査し、業界構造・ビジネス構造を分析したものです。
電子書籍については、「書籍に近似した著作権管理のされたデジタルコンテンツ」と定義しています。市場規模は、購入金額(個々単位の販売、月額課金モデル、月額定額制の読み放題、マンガアプリの課金など)から算出。この調査では、「電子雑誌」を「電子書籍」に含めて、過去データもさかのぼって修正しています。
はじめに、2020年度の「電子書籍の市場規模」は、2019年度の3,750億円から1,071億円(28.6%)増加し、4,821億円と推計されています。長引く新型コロナ感染拡大に伴う外出自粛、巣ごもり消費の影響がプラスに働いていますね。今後の予測としては、2025年度に6,700億円を超えるとされています。
電子書籍市場規模のうち、「コミック」のジャンルに限った場合、市場シェアは83.0%の4,002億円(前年度から1,013億円増)。「文字もの等(文芸・実用書・写真集等)」ジャンルは、市場シェア11.5%で556億円(同72億円増)となっています。やはり、電子書籍ではまだまだコミックの占める割合は大きいですね。無料でマンガが読めるアプリも続々と登場していますしね。
その無料でマンガを読めるアプリ・サービスですが、広告によりマネタイズを行っているモデルが多いため、コロナ禍での広告費引き締めにより、広告単価が下落するという結果になりました。2020年秋ころから海賊版サイトの悪影響もあり、2020年度のマンガアプリの広告市場は前年から50億円増加の260億円と算出された。2021年度予測も280億円に留まっています。
スマホ・タブレットユーザー8,599人に対して、「電子書籍(電子雑誌を含む)の利用率」を聞くと、有料サービスの利用率は20.5%、無料サービスのみの利用率は24.8%でともに前年より微増。全体では45.3%がサービス利用者となっています。
「利用している電子書籍サービス・アプリ」では、「LINEマンガ」27.8%、「Kindleストア」26.2%で、トップが前年から入れ替わりました。また3位の「ピッコマ」23.8%(前年15.1%)が大幅に利用率を伸ばしています。これは、マンガに特化したことが功を奏したのでしょうね。Kindleはどちらかと言えば、マンガよりも文字者を読むのに適してると思います。片やLINEやピッコマはマンガを読みやすくするためのリーダーになっています。時間をかければ全巻無料で読めるといった方式も、読者にうけているポイントではないでしょうか。
これからの世代は、マンガをスマホで読むのが当たり前になっていくでしょう。さらに、今後は学校教育におけるデジタル化が進み、タブレットの無料配布やデジタル教科書が主流になっていくと予想されます。これまで一気に拡大しなかった日本の電子書籍市場が、いよいよ花開いていくのではないでしょうか。これからますますコンテンツのデジタル化は急務ですね。
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