現代文化のルーツを探る㉕ 豆腐
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現代文化のルーツ
暖かい日が続いたかと思ったら、ここ2、3日は寒の戻りで肌寒いですね。
僕が住んでいる関東ではそろそろ桜も終わり、新緑の季節となってきました。季節が春から初夏に移る頃になると、暑がりの僕は冷たいものが食べたくなります。中でも豆腐。この前までは湯豆腐や寄せ鍋で豆腐を食べていましたが、最近ではすでに冷奴が活躍中です。豆腐はヘルシーだし、体にもいいし、いろいろ料理のバリエーションもあって、優等生な食材だと思います。
昨今は、和食のブームもあって、豆腐は海外でも人気ですね。長期保存が効く充填豆腐を中心に、アメリカやフランスの健康食・自然食志向の人たちの間で「TOFU」として人気が高まっています。低カロリーかつ栄養価が高いため、ダイエット食品としても親しまれていて、また無添加の自然食品としても注目を集めているようです。
国際的にも人気となった豆腐。腐ってもいないのに、なんで「腐」という字が当てられているのでしょうね?その理由は中国にあるようですよ。
では、今日は豆腐のルーツを探りに行ってみましょう!
豆腐が生まれたのは紀元前2世紀ごろの中国といわれています。16世紀の中国の書『本草綱目』には「豆腐は、漢の淮南王劉安に始まる」という記述があるそうです。それが根拠となっているんですね。初代皇帝の孫である劉安(りゅうあん)が部下に作らせたのが、豆腐の始まりとされています。中国語では「腐」は「液状のものが寄り集まって固形状になった、柔らかいもの」という意味で使われていることから、「豆腐」という名前が付けられたのだとか。決して豆を腐らせて作るものではないのです。
中国をルーツとする豆腐はいつ頃から日本で食べられるようになったのでしょう?
時は奈良時代、遣唐使が中国と日本の間を往復するようになります。この時に中国に渡った遣唐使の僧侶等により、日本に仏教が伝えられるのですが、それとともに寺院で使う食材のひとつとして豆腐が持ち込まれたのではないかという説があります。ただこれには明確な記録はありません。
豆腐が記録として登場するのは1183年、奈良にある春日大社の神主の日記に、お供物として「春近唐符一種」との記録があります。このことから、日本で豆腐が食されるようになったのは奈良時代からとされています。
鎌倉時代に入ると、禅宗が中国から伝えられました。禅宗では、修行の一環として肉や魚を避けて、植物性の食品だけで作った料理を摂ります。いわゆる精進料理ですね。そこで不足しがちなのがたんぱく質です。このたんぱく質を補うために、豆腐が重宝されるようになりました。
当初は寺院の僧侶等の間に普及し、その後精進料理として重宝されるようになり、貴族社会や武家社会に伝わった豆腐は、室町時代になって全国的に浸透していきます。奈良から製造が開始された後、京都へと伝わり、次第に全国へと広がっていきました。
現在乾燥した状態で袋詰めされ売っている高野豆腐は、鎌倉時代に偶然生まれた食料といわれています。寒さで凍ってしまった豆腐を溶かして食べてみたら食感が良く、こちらも精進料理として広まっていきました。その後、室町時代から安土桃山時代になると、豆腐を吊るして自然乾燥させて、保存食・兵糧食として確保されるようになります。
江戸時代になると、侶や武士の食べ物であった豆腐は、本格的に庶民の食べ物として取り入れられるようになります。
1782年に刊行された100種類の豆腐料理を紹介した本「豆腐百珍」が人気を呼びブームとなります。その翌年には「豆腐百珍続編」、そして翌々年には「豆腐百珍余禄」が出版されました。この3冊で紹介されている料理の種類を合計すると約240種類だそうです。この頃豆腐は大人気だったんですね。
一般にも普及していった豆腐ですが、まだ当初は高価なもので、当時の農村では、祭りやお盆、お正月、あるいは冠婚葬祭などの特別の日である「ハレの日」だけ豆腐料理が出されていました。普段の日は、みそ汁や漬物、金山時みそといったものを食しているのですが、ハレの日になると豆腐のほかに油揚げやこんにゃく、がんもどき、しいたけ、ごぼうなどが食卓にのぼったのです。また、米や酒もハレの日ならではものでした。
徳川家康と、その子の秀忠の時代には村々ではうどんやそばとともに、豆腐の製造も行ってはならず、農民がそれらを食べることも許されない禁令が出されていたんですね。三代将軍・家光の時代に出された「慶安御触書」には、豆腐は贅沢品として、農民に製造することを禁じていたほどです。
今や数多くの種類が販売され、安価で購入できる豆腐ですが、江戸時代はなかなか入手できない食材だったんですね。中国から伝わり、日本で人気を博した豆腐は、いま世界中で注目されるヘルシー食材として注目されています。
今日も感謝しながら美味しい豆腐をいただきましょう!
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