電子書籍市場 このままKindle一強時代が続くのか?
遡ること8年前の2012年、今では国内有数となったAmanzonの電子書籍販売サービス「Kindleストア」が登場しました。もう8年も経つんですね。アマゾンのKindleストアは海外ではすでに始まっていましたが、日本で開始されたのがこの年です。当時、すでにいくつもの電子書籍サービスがありましたが、その最大の問題点となっていたのが取り扱える書籍数。国内出版社の電子書籍への腰は重く、あまり数が集まらないという点で、どのサービスも苦労していましたね。それは今でもあまり変わっていない。
当初Kindleでも懸念されていましたが、それでも、日本語書籍5万点以上(コミック1万5000点)を集めてサービスをスタートさせました。このあたりはさすがAmazon、抜かりないですね。その後も順調に取り扱い数を増やし、今では国内有数のサービスとなりました。
専用電子書籍リーダーは、「Kindle Paperwhite」「Kindle Fire HD」「Kindle Fire」の販売、読み放題サービスや個人でも電子書籍を出版できる「Kindle Direct Publishing」のスタートなど、次々と新たな施策を打ちつことでユーザーを増やしていくAmazon。ユーザーが集まれば出版社も作品を出さずにはいられませんからね。
電子書籍閲覧者が増加中
昨年のデータですが、マイボイスコムが全国1万人以上を対象に実施した「第7回・電子書籍に関するインターネット調査」の結果によると(回答者数1万184人)、紙の書籍の購入者は6割強で、1年間に「1~2冊」「10冊以上」が2割前後となっています。逆に「0冊」という人も4割弱いますね。
一方で、直近1年間に電子書籍や電子コミック、電子雑誌を読んだ人は3割強。年代で見ると男性の10~30代で各5割弱、女性の10~30代では5~6割となっています。週1回以上読む人は2割弱。直近1年間に電子書籍を読んだ人に、読むジャンルを聞いた結果は、「マンガ・コミック」55.5%、「小説」「趣味・生活関連の実用書」「雑誌」各20%台でした。やはりマンガ・コミックが人気ですね。
電子書籍を読む端末については、「スマホ」が直近1年間に電子書籍を読んだ人の56.4%、「タブレット端末」が27.4%、「ノートパソコン」「デスクトップパソコン」が2割前後。直近1年間に電子書籍を読んだ人に、電子書籍をどのように利用しているかを聞いたところ、「有料:1冊ずつ購入」「有料:定額制読み放題」が各30%台。「無料の範囲で利用」は56.9%、「無料で一部分だけを読む」は39.3%で、これらは女性若年層で高くなっています。無料も多いですが、Amazonの庸見放題サービスKindle Unlimitedでも作品数どんどん充実しており、定額読み放題を利用する人の割合も増えていますね。
直近1年間に電子書籍を読んだ人が利用した電子書籍ストア・アプリは、「Kindleストア」「Amazon Prime Reading」「楽天Kobo」が各2割前後。「LINEマンガ」は、女性や若年層で比率が高くなっている。マンガアプリでは、24時間待ちで1話が無料で読めるパターンが多く、こういったアプリも人気です。
デジタルを増やして読書環境を広げよう
2019年学研教育総合研究所が、小学生とその保護者1200組(各学年200組、男女各100組)を対象に実施した調査では、小学生の読書量が激減していることが明らかになりました。
1カ月に読む本の冊数は全学年平均で3.1冊。学年別では1年生の3.8冊が最も多く、最低は5年生の2.3冊だった。学年が上がるにつれて読書量が減少する傾向にあり4~6年生の約3割は1カ月に1冊も本を読まないと回答しています。30年前の1989年調査では、小学生の1カ月の読書量は全学年平均9.1冊だったので、読書冊数が3分の1にまで減少したことになる。89年の調査では、2019年調査とは反対に、3年生以上の読書量が多く、月に平均10冊以上の本を読んでいたんですね。
スマホの普及が広がり、SNSやアプリ、オンラインゲームや動画サイトなど様々なエンタメが登場し、本以外に楽しめるコンテンツが爆発的に増えましたからね、読書量が減るのも致し方ないことかと思います。ただそれだけでなく、本を読むという環境がいまの若年層の中で変わってきているのでしょうね。常に手元にあるスマホの中に、本というコンテンツも置いておきたい。マンガであり、参考書であり、スマホの画面を開けばすぐに見られる、リンクで求める場所にすぐに飛べる、そんな環境が当たり前になっているのではないでしょうか。
これは子どもたちだけでなく、大人も同じですよね。読まない人はまったく本を読まない。僕はまあまあ本を読む方だと思いますが、電子率がかなり高くなってきました。デジタルコンテンツがあることが当たり前になってきた今、これまでの既刊本の電子化もどんどん進めていきたいですね。
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