電子書籍がつくる「本のある暮らし」
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電子書籍を読むためのデバイスは色々ありますね。スマホ、タブレット、電子書籍リーダー。アプリさえ入れればすぐにダウンロードが出来て、1、2分程度で読み始められます。便利ですね。それもインターネット回線のインフラが整っているからこそ出来ることなんですよね。では、こういったインフラが整っていない地域ではどうなのでしょ?
電子書籍で世界を変える?
アフリカの国々を中心に電子書籍普及活動を行うWorldreader(本部:米国カリフォルニア州)というNPO団体あります。Worldreaderは「電子書籍で世界を変える」という取り組みを進めています。
発展途上国と呼ばれる国々の多くでは、本は贅沢なもので、なかなか手にできないのが現状です。子どもたちは何人もの人たちが使い回した本で学習しています。当然自分で本を探して選ぶといったことはなく、新しい本に出会う機会も少ないのです。
Worldreaderは、このような国々の子どもたちにも新しい本と出会って欲しいと、2010年からケニアやガーナといったアフリカ諸国を中心に電子書籍端末を届けています。
こういった地域で電子書籍用の端末を使う場合問題となるのは、電力とインターネット回線の確保ですが、そこは携帯電話のための既存インフラを活用しているそうです。なんとなく通信速度が遅いイメージがありますが、携帯電話が利用している衛星インターネット接続を使うと、45秒ほどで電子ブックリーダーにコンテンツをダウンロードできるとのこと。携帯電話の充電には風力や太陽光を活用しており、その電力で電子ブックリーダーの充電にも利用できるので一石二鳥ですね。
電子書籍の特長を活かして
また発展途上諸国のための電子書籍用のプラットホームも作って、フィーチャーフォンなどでもデータを表示できるようにし、その電子書籍の登録数は400,000冊を超えるといいます。数多くの書籍データが入り、使いまわしても劣化しない、持ち運びもしやすい、そんな電子書籍のメリットが活きていると思います。
最初はデバイスの利用に戸惑いも見せる子どももいたそうですが、そこはやはり子どもですね、すぐに操作方法を覚えて教科書や本を読みはじめたとのこと。オンラインライブラリでは数多くの無料コンテンツが存在し、さまざまな書籍や雑誌を読むことができるようです。
MOMentumNationによると(http://www.momentumnation.com/worldreader-brings-digital-books-to-five-million-people-through-mobile/)Opera Softwareと提携したことで対象国と会員が増えて、アフリカ・東南アジア・南米でのユーザー数が500万人を突破したとのこと。現在も月に100万人のペースでユーザー数を増やしているそうです。
本は商品でありながら文化や知識の結集体です。国の将来を担う子どもたちの教育に本は欠かせないもの。本が高価な発展途上国と呼ばれる国々で、電子書籍は大きな役割を果たしています。
日本でも教育現場で電子書籍(教科書)の活用を目論んでいますが、果たしてどこまで浸透していくのか。価値のある活用方法を一考する必要があると思います。
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