鎖国ムードでも国境を越えるデジタルコンテンツ
新型コロナウイルスの世界的な拡大で、各種イベントの開催中止、延期、自粛モードによる買い控えなどで、経済低迷が叫ばれていますね。情報が独り歩きし、デマに尾ひれが付いたりして、みんな恐怖と不安で戦々恐々としています。こんな時こそ落ち着いて、冷静に行動することが求められますね。とはいえ、学校も休校となり会社はテレワークを推奨する中で、商業施設など人の集まる場所には行きにくいのも事実です。そこで、利用されるのがやはりインターネット。ネットショッピングや音楽、映画のストリーミングで、暇をつぶしているという人もいるかと思います。
海外で広がる電子書籍と電子図書館
電子書籍もこういう時には便利ですね。
総務省の平成28年度情報通信白書(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/index.html)によると海外の電子書籍の先進国といわれるアメリカは、普及率が51.9%と言われています。対する日本は24.2%。作品数や利用者の趣向で、日本ではまだまだこれからといったところです。アジアの国だと韓国が53%とアメリカをわずかに上回る普及率、そして中国ではなんと83.2%という数字が出ています。ライブコマースやSNS利用でもそうですが、中国のデジタルサービスの普及は日本の比ではないことがわかります。
さて、話をアメリカに戻しますが、アメリカでは公立図書館での電子書籍の貸し出し件数の拡大が続いています。2020年1月8日に、図書館向けの電子書籍配信ソリューションを提供する「Rakuten OverDrive」が発表したデータによると、世界の図書館の電子書籍貸し出し件数は、2019年に過去最高を記録したあります。Rakuten OverDriveは、2015年に楽天が米国のOverDriveを買収して設立しました。同社によると昨年、図書館で貸し出された電子書籍やオーディオブック、デジタルマガジンの合計は3億2600万作品に達し、前年からの伸びは20%だったといいます。
3億超えの作品の中でも、利用者数を大きく伸ばしているのがオーディオブックとのこと。2019年の電子書籍の貸し出し件数は2億1100万冊。それに対し、オーディオブックの貸し出し件数は1億1400万冊。前年からの伸び率は30%と、電子書籍の伸び率15%を大幅に上回っています。Rakuten OverDriveによると、図書館が所蔵する電子書籍とオーディオブックの合計のタイトル数は昨年、1億2900万点に達し、2018年から21%増加したといいます。アメリカでは、2020年もオーディオブックの好調トレンドが続くと予測されますね。日本ではオーディオブックもまだ先でしょうか、、、。
ユーザーの方はどうかというと、各国の図書館で新たに電子書籍の貸し出しサービスに登録した利用者は500万人に及び、前年から12%の伸びだったそうです。OverDriveは現在世界73カ所の図書館に作品を提供していますが、最大の利用回数を記録したのは、アメリカのトロント公立図書館で年間660万件のデジタルコンテンツを貸し出しています。
鎖国ムードでも国境を越えるデジタルコンテンツ
OverDriveをはじめとした、電子図書館システムを導入した図書館では、利用者向けに専用IDを発行し、ユーザーは図書館のデータから好みのコンテンツを電子書籍リーダーなどにダウンロードして利用します。アマゾンのKindleなど電子書籍閲覧と一緒ですね。コンテンツレンタルは、インターネットを介して行われ、一定の期間が経過すると無効化され、返却のために図書館に赴く必要はありません。現在のような特別な状況でなくても、仕事で図書館の開館時間に間に合わないという人や、図書館までの移動手段が無い、身体的事情で外出が困難といった人にもとても便利なものです。
本を出版するなら、著者も出版社も取次業者も書店も、売れなければ困りますよね。みんな売るために本という商品を扱っています。でも、それだけではなく、情報を必要としている人、課題を抱えている人へ、そのことに長けている人が知識や経験を提供する。そして誰かの「不」や「課題」を解消する。それも本を出版する1つの理由ではないかと思います。
国内は、日本の書籍流通の仕組みがしっかりできているので、本を作って取次さんにお任せすれば、全国の書店に配本されます(されないこともかなりあると思いますが)。では、海外は?
海外にも「不」「課題」を持っている人がたくさんいます。言語の問題を解消すれば、Amazonを通じて本を届けることはできます。また前出のRakuten OverDriveなどのシステムを使えば、世界中のユーザーが無料であなたの本を読むことができるのです。本を届ける対象はすでに世界に広がっています。メディアで「鎖国ムード」を流している今、本を使って国境を越えていきませんか?
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