出版の費用について②自費出版
自費出版の費用感
前のブログでは商業出版の費用について書いたが、今日は自費出版の費用ついてまとめてみたいと思う。
出版社の中には、自費出版をメインに扱う会社も数多く存在する。自費出版は、その名の通り著者が費用を出して本を作り出版する。その費用は出版社によってピンキリだ。例えば100万円で出来るところもあれば、600~1,000万円かかるところもある。なぜそんなに費用の差があるのか?1つは書店に流通できるかどうかが大きいだろう。
商業出版された出版物は、「出版社 → 取次会社 → 書店」と流れていき、読者が購入をする。自費出版の場合はこのルートが確立されていない。出版社は本を作って終わりであり、あとは自分で売るか、知人・友人に配ることになる。ただ、出版社から取次を通さずに書店へ納品する会社もある。その場合、全国各地の書店に自社の棚(置き場所)を確保してもらい、そこと直接取引の形で販売してもらう。また、自社でwebやリアルの広告媒体を持つ、あるいは提携しておき、そこでプロモーションをかける。自費出版の費用の違いは、この「販売プロモーション」によるところが大きい。
前述した本の原価から見るに、一冊1,000円の本を初版5,000部販売する(自費出版では考えにくい数字だが例として)自費出版契約で、出版社からの見積もりが1,000万円だとするならば、650万円が販促と出版社の諸経費、利益となる計算が立つ。200~300万円の販促費は、マスメディアや交通系媒体に出稿したらすぐに消えてしまう。一気に認知度を上げて、短期間で読者を獲得し仕事につなげるには最適な方法かもしれないが、継続性はあまり期待できない。広告も出しどころとターゲットがズレれば、完全な無駄打ちになりかねないので注意が必要だ。
本の販促を考えることが重要
昨今では、amazonのkindle direct publishingを使って、誰でも本を作って出すことができる。基本は電子書籍だが、プリントオンデマンド版を作っておけば、読者はペーパーバックを購入することもできる。書店には並ばないし、amazonはほとんどプロモーションはしてくれない。ほぼ無料で本を作って販売はできるが、売れる保証は皆無に等しい。それでも出版できるかできないかわからない商業出版に比べれば、出版はできて尚且つ購入され、広まる可能性は高い。
書店の淘汰が進んでいるといっても、都心部だとあまり実感がないかもしれない。しかし郊外や地方では切実な問題となっている。2020年以降、さらに書店の数は減り続けると言われている。その中で、今のように新刊が1日に200~300冊出版されるという異常な状況は続けられるだろうか?これから出版をしようとしている人がいたら、今から出版社に企画を送って商業出版の契約を取り付け、是非来年の夏前には出版して頂きたい。簡単に企画が通るものでもないが、、、。
出版の費用の話から些か逸脱したが、費用負担の額や紙と電子の違いはあれど、今の時代本を出版することは確実にできる。重要なのはいかにして本を販促し、多くの人に長期間みてもらい、仕事に繋げられるか(小説は別かもしれないが)だと考える。費用をかけるのであれば、ここに投入して頂くことをおすすめしたい。
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