ながら読書に最適な「聴く本」
年が明けてからもう一週間が経つ。時の流れは歳を重ねるごとに早くなると言われるが、まさに今それを実感する。年末年始の休暇は、大掃除と家事、育児で一瞬の間に終わった感じだ。ちょっと長めの休暇は、部屋に積み上がっている本やタブレットの中に詰め込まれた電子書籍を、じっくりと読破していこうと思ったが、結局乱読したもののまだ読破出来ないものだらけ。本を読むという時間がなかなか取れないというのは、忙しない現代人の悩みかもしれない。
忙しくても耳は空いていることが多いもの
そんな折、試してみたのがオーディオブックだ。
オーディオブックとは、ナレーターや声優が本を朗読した「聴く本」。音声を聴くことで読書を楽しめるので、掃除や育児の最中のほか、ランニング中、電車や車での移動時間などでも「ながら読書」が楽しめる。また、文字を読むのが難しいという人にもおすすめだ。
オーディオブックのメリットとしては、
①プロのナレーターや声優が読み上げた音声を、スマホ等で簡単に聴くことができる。
②音読のスピード調整が可能で、自分に合わせた速度で聴くことができる。
③活字を読むのが苦手、集中力が続かないという人でも、本を聴き流すことができる。
逆に活字を読むことが好きな人には、物足りないかもしれない。それと個人的な感想ではあるが、活字の方がよりイメージが広がるような気がした。
プラットフォームが整ってきたオーディオブック
アメリカではオーディオブックが昔から人気のある分野だったが、スマホが普及したおかげで、グーグル、ウォルマート、インスタリードなども参入し、昨年は流通チャンネルが整ったようだ。今年はさらにその普及が進むだろうと、経済誌フォーブスが伝えている。では、日本ではどうかというと、その数はまだまだ多くはない。しかしながら、株式会社オトバンクの「audioboook.jp」、amazon社が提供する「Audible」など、プラットフォームは充実してきており、スマホ、タブレット、そしてスマートスピーカーの普及とともに、コンテンツ数も大幅に増えていくと予想される。
昨年10月の読書週間では、株式会社オトバンクと日本交通株式会社が、車内でオーディオブックが聴ける「本のない図書館タクシー」を東京都内で運行した。「本のない図書館タクシー」のサービスは、乗車時にタブレットを貸与してオーディオブックを体験するもの。乗客には「本のない図書館利用カード(クーポン)」もプレゼントされた。「本のない図書館タクシー」としてラッピングされた車両3台中1台は、乗務員が書店員の格好をしたラッキータクシー仕様となっていて、エンタメ感も出していた。読書週間に合わせた期間限定企画だったが、実に面白い取り組みだと思う。恐らくは、今後電車や飛行機などの交通機関で、日常的に提供されるようになるのではないかと思う。
書籍の電子化がまだまだ進まない日本の出版業界において、オーディオブックの波が訪れようとしている。電子書籍ストアの統廃合と再編が進む中、次はオーディオブックのプラットフォームが乱立してくることが十分予測できる。この流れを注視し、対応できるように準備が必要だろう。
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