どうしています?親と子のコミュニケーション
13歳になったうちの娘。反抗期とまではいかないまでも、反論のスキルも上がってきて、ああ言えばこう言うの会話が目立つようになってきた。理論をかざして来ると、ついイラっとして論破してしまいたくなるわけだが、そこは我慢するようにしている。「何かを言いたい時に6秒待って考えるといい」などという方法を誰かから聞いて実践してみたり。結局その我慢が爆発して、きついことを言ってしまったりするのだが…。
子どもと接する時、どうしてもこちらの思う通りにしたいという感情が湧き、思わぬ行動にカッとなったり、言うことをきかないからとつい怒鳴ってしまったり、本当は優しく接したいのに反射的にキツイ言動をしてしまうなんてことがないだろうか?
「言うこと聞かないならおやつ抜き」とか「あなたのために言ってるんでしょ」とか「〇〇に連れていくから部屋の片付けして」なんて言葉を発してはいないだろうか?そういった言葉は、実は親子の関係を壊しかねない危険なものだそうだ。
コミュニケーションメソッドとしての「親業」
「親業」という言葉をご存知だろうか?
1962年、米国の臨床心理学者トマス・ゴードン博士が開発したプログラムで、P.E.T(Parent Effectiveness Training)というものがある。直訳すると「親としての役割を効果的にする訓練」。当初は非行少年などの治療が主目的だったが、ゴードン博士が問題児と言われる子どもたちの精神療法に当たる中で、「問題児が出るのは問題親がいるからである」ということに気づき、親にこそ治療が必要であり、子への適切な接し方を教えなければならないということで生まれたプログラムである。その後、親向けのコミュニケーション講座として広がっていった。日本では28年前に「親業」と翻訳して紹介され、1980年にプログラムを提供する親業訓練協会ができたそうだ。
親業の視点からいうと前述の子どもへの言葉は、「命令、脅迫、説教、提案、非難、同情、尋問…」といった親子関係を壊すコミュニケーションであるとされている。うっかり日常的に発しているなぁと反省した。じゃあ一体どんなコミュニケーションをすればいいのか?
暮しとコミュニケーション研究所の代表で、親業インストラクターとして約2,000人の受講者に親業を伝えている今井真理子さん。今井さんとはtwitterでご縁を頂き、出版について相談したいということでお会いした。とても物腰がやわらかで、相手を包み込むように話に耳を傾ける今井さん。なるほど、こういう話の聴き方をするといいのか…と面会の間終始感心していたことを覚えている。そんな今井さんから教えて頂いたのが「能動的な聞き方」。こちらの都合でコミュニケーションするのではなく、「相手の言うことを繰り返し、言い換えて、気持ちを汲む」ということが重要だそうだ。「そうなんだ、〇〇したくないんだ。△△ちゃんは〇〇が好きじゃないんだね」といった具合に。その上で自分がそれでは困ってしまうという想いを伝える。(きちんとしたメソッドは講座でお聞き願いたい)
親と子の関係から人間関係全般をサポート
評価や判断ではなく、子どもが言った言葉を繰り返し、言い換えて、伝えることで、子どもの気持ちに寄り添う。そうすることが、子ども自身が自分の気持ちを客観的に見つめるきっかけとなる。さらに、子どもの心の奥にある気持ちを汲みとることで、「自分の気持ちを分かってくれている」という安心感が生まれる。こういったコミュニケーションを重ねることで、子ども自身が自発的に答えを見出す力が育つ。忙しい日常でこういった対応をするのは、至難の業かもしれない。実際に僕もうまくいかないことが多い。しかし、繰り返し行うことで、少しずつ子どもの反応も変わってくる。
お判りかもしれないが、親業は親と子だけのものではなく、例えば会社の上司と部下、先生と生徒、看護師さんと患者さん、介護する側とされる側など、あらゆる場面に適用できるものだ。その証拠に今井さんのクライアントは、一般企業から学校関係、行政、病院など多岐に渡る。つまるところこのメソッドは、人間関係そのものにアプローチするものなのだ。
人の悩みの90%は人間関係とも言われる。オフラインの関係のみならず、SNSなどによるオンラインの関係も隆盛の昨今、コミュニケーションに疲れてきっている人も多いのではないだろうか?仕事や活動で、コミュニケーションがうまくいかないということはないだろうか?そんな時は、是非今井さんに相談してもらいたい。きっといつもの優しい笑顔で、あなたの言葉一つ一つを丁寧に聴いてくれるはずだ。
今井真理子 暮らしとコミュニケーション研究所
http://www.happy-communications.com/about.html
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