音楽と情熱と障がい児福祉
最近、僕が気分を上げたい時に聴いているのが「パイロットになりたくて」という楽曲。「頑張れポンコツ車〜ほっぺたに風受けて〜長い道をドキドキする方へ〜♪」という唄声、そして「I know you can make it!」と入るコーラスが、まだまだポンコツな自分を応援してくれているようで、すごく気に入っている。
この楽曲を唄い奏でるプリンセスプリンセスというバンドをご存知だろうか?
どストライクの世代の人もいれば、まったく知らないという人もいるだろう。それでも、”プリプリ”という名前はきっと耳にしたことがあると思う。1990年代「ダイアモンド」「世界でいちばん熱い夏」といった楽曲で日本中を席巻し、日本の音楽シーンに数々の金字塔を打ち立てた、Vocal奥居香さん、Guiter中山加奈子さん、Keyboard今野登茂子さん、Drumsの富田京子さん、そしてリーダーでBassの渡辺敦子さんの5人で構成されたバンドだ。ガールズバンドの先駆けでもあり、現在でも語り継がれる伝説のロックバンドである。
1996年に惜しまれつつも解散するが、2012年東日本大震災をきっかけに再び集結し、復興支援として1年間の期間限定で活動を再開した。期間限定とはいえ、再結成の際にはファンは狂気乱舞したものだ。
音楽を生かした福祉の活動へ
解散後のメンバーそれぞれ活動は、Wikipediaなどにも掲載されているが、渡辺さんは東京スクールオブミュージック専門学校の副校長、富田さんは同専門学校の顧問。奥居(現:岸谷)さんは歌手活動の傍ら作曲家として、中山さんはソロ活動の傍ら作詞家として、他アーティストに楽曲を提供。今野さんは作曲家として映画やドラマに楽曲を提供している。
実はリーダーの渡辺さんは、専門学校の副校長の他にもう一つの顔を持っている。
児童発達支援(就学前)の子どもと、放課後等デイサービス(就学後)の障がいを持ち支援が必要と認められた子どもを預かって療育する、多機能型事業所「ダイアキッズ」の運営をしているのだ。この施設では、生活能力向上の為に必要な訓練や、学習・遊びを通してルールを知らせるといったことも継続的に行い、子どもたちの自立支援をし快適な居場所を提供することを目指している。場所は千葉県市原市。ここは渡辺さんが小学校から高校までを過ごした街だ。
渡辺さんがなぜ障がい児福祉支援の活動を始めたのか、それはこのサイトで詳しく語られるので是非読んでみて欲しい。
「プリンセスプリンセス」リーダー・渡辺さん 音楽を生かした障害児福祉活動をスタート
https://helpmanjapan.com/article/7015
輝け小さなダイアモンド
“直感、決断、即行動” “縁の下の力持ち” “謙虚さ” “情熱的” そんな渡辺さんの人間性が自身を福祉の道へと走らせ、いま多くの子どもたちと”楽しんでいる”のだ。少しばかり介護福祉の世界にいた僕としては、大変なこともたくさんあるのではないかと思ってしまうが、渡辺さんはきっと”楽しんでいる”と思う。それがダイアキッズの子どもたちの笑顔に現れている。
先月末、衆議院第二議員会館で開催された「教育格差の現実とステップアップ塾の事例紹介」では、パネリストとして自身の活動や教育格差、子どもたちが置かれている環境、そして音楽の重要性について語っていた。アートは国境を越えると言った人がいる。アートの一つである音楽は、障がいの有無を越えて子どもたちの心に響き、感情を動かし、輝く笑顔を生むのだと思う。
「ダイアモンド」から一つの時代を築いたプリンセスプリンセスの渡辺敦子は、いま次のステージで小さな小さなダイアモンドを磨いている。子どもたちと過ごす宝物のような一つ一つの場面を、いつか一冊の本にまとめて欲しい。その本がきっと誰かの宝物になると思う。
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