トモ・タカイの「アール・ブリュットの世界」
熊本豊敏さんの作品『障がい者アートの未来を探して』に読者からの声が投稿されました。こちらで全文を紹介させて頂きます。
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タイトル:
続編を期待する良書
本文:
我が子に障害があったとしたら、果たして自ら立ち上がりその子の将来のために事業を起こせただろうか。おそらくは既存の社会インフラの枠を活用することで、親としての使命を果たした気になっていたのではないだろうか。
さまざまな理由があったにせよ著者は立ち上がった。誰もが挑んでいない世界へ。ボランティアではなく、関わるすべての人たちに有形無形の利益が還元される再現性のあるしくみつくりに向けて。
本書は単なる成功体験記やノウハウ本ではない。泥臭い日々の積み重ねの中で、悩み、考え、経営者として厳しい選択をしていく様を著者自身が具体的な言葉で綴っている。言うまでもなく深みがある。事を起こしていくには魔法の杖はないこと、隣の芝は青くないことを本書は語っている。
まだ、成功したわけではない。著者の試行錯誤はまだまだ続くであろう。
探していたアートの輪の未来に確かな光がさした時の続編を心より期待したい。いや、本なんか期待しない。世の中に障がい者アートの輪を通じて笑顔が広がっている未来に期待したい。
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とてもありがたいレビューです。
まさにこの作品は、その名の通り著者の起業奮戦記なんです。障がい者にスポットを当てると、社会的弱者として扱われたり、その支援ボランティアの話題が多かったりするのですが、この作品の中で著者が模索し続けるのは、それとは真逆の世界。どうしたら障がいのある人たちが社会的にその才能を認められて、経済的対価を得られるか。その仕組みを創り出すために、障がい者支援の分野で起業しチャレンジし続けています。起業に関する本も数多出版されていますが、こと障がい者支援の分野での起業本はそうそう出ていないのではないでしょうか。また著者自身が福祉の世界が未経験であることも、この作品の興味深いところです。
障がい者アートの未来が見つかった時に、是非とも続編を書いてもらいたいですね。
著者である熊本豊敏さんは、もちろん今もその未来を探して精力的に動いています。アートの輪の作品の二次利用や、建設現場の仮囲い、戸建建築現場のシートなど、様々な場における障がい者アートの普及を目指しているのです。
『障がい者アートの未来を探して』のアーティスト紹介で、「Tomoyuki」として掲載されているトモ・タカイさんの作品が、建設現場の仮囲いに描かれたのは、以前のブログでもお伝えしました。トモさんのポップで明るく、とても親しみやすいんです。さらに、結構インパクトも強い。殺風景な現場などにはもってこいのキャラクターたちです。
現在は、一般社団法人コミュニティービルダー協会(千葉:代表 浄法寺亘)とタッグを組んで、戸建住宅の現場シートを障がい者アートで彩る「まちかど障がい者アートプロジェクト」を進めています。障がい者アートが街のいたる所に掲げられ、彩りをプラスしていきます。作品が使用された場合、使用料として売上の70%がアーティストの方に支払われます。これも今までになかった障がい者支援と企業のCSR新しい形ではないでしょうか?
まちかど障がい者アート
https://omoikanebooks.wixsite.com/buliderart
前出のトモ・タカイさんが、5/2〜31まで「トモ・タカイのアール・ブリュットの世界」という個展を開催しています。トモさんは、自身の描く世界観とキャラクターで、どんどん活動の幅を広げています。障がいのあるアーティストが生き生きと活動し、経済的対価を得ること。これこそが著者が目指していた未来の一つなんだと思います。
今後もたくさんのアーティストが活躍の場を広げられるよう、私たちも応援していきます。
【個展開催中】【アートの輪】に「Tomoyuki」でご参加されているトモ・タカイさんの個展が今月末まで開催されています。ご都合のつく方は是非とも足をお運び下さい。元気でポップな作品たちがお待ちです(^^)※詳細「トモ・タカイのア…
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