ICTと電子書籍が図書館の在り方を変える
図書館をコミュニティスペースに
日本を含めて、世界の図書館が変わりつつありますね。
図書館というと、決まって思い浮かぶのが物音一つせず、シーンとした環境で本やノートのページを捲る音だけが響く状況。ちょっとでも物音立てたりすると、キッと睨む人がいる。まあ、今はスタバが併設されたりして随分イメージは変わってきているけど、大体が昔と変わらない感じですよね?公立の図書館ではなかなか難しいけど、音楽が流れて、飲食が自由で、おしゃべりもできる。楽しみながら本に触れる図書館があるといいなぁと思う。核家族化が進む中で、学童保育などと同じような役割を果たすような図書館があるといいですよね。
デンマーク第2の都市オーフスで、2015年に誕生した公立図書館「DOKK1(ドック1)」。人口は30万人のオーフス市で、開館4カ月のあいだに50万人が来館。現在でも1日約5000人の市民が訪れる人気のスポットとなっているそう。国際図書館連盟(IFLA)が2016年の「Public Library of the Year」に選出するなど、国際的にも高い評価を得ています。
ICTによる先進的な取り組みと、利用者目線
DOKK1の設立以前から図書館運営に携わってきたロルフ館長曰く、「スマートデバイスの発達などで、2020年には図書館がなくなるだろうといわれていました。しかしデンマークにおける図書館は、民主主義教育の中心となってきた重要な場所。現代に合った図書館の存在意義を再定義すべきと考えました」まさにこれまでの図書館の在り方を、大きく変える試みだったわけです。
この図書館の画期的なところとして、ICTに自動貸し出し機・返却機、スマートフォンに合わせたオンライン予約システムや、周辺地域にある18の図書館の蔵書のデータベース化。さらに、ロボット仕分けシステムなども採用しています。また、100台収容の「自動駐車システム」を導入した駐車場など、ハード面ではICTの街オーフスらしい設備がふんだんに取り入れられています。
ソフト面では、本の貸し出し以外にも、パスポート申請などの行政サービスが受けられたり、ラボスペースでものづくりができるなど、公共サービスを充実。シアターやセミナールーム、ワークショップスペースでは、多種多様なイベントに参加したり、企画・開催したりも可能にしています。
また、NPOなど外部組織とコラボレーションし「宿題支援」「健康相談」「ビジネスサポート」などのサービスも展開。、屋上は洪水の際の避難場所として設計されるなど、地域住民・地域コミュニティが、さまざまな形でかかわる場としてデザインされている。図書館が本を貸し出すだけの場所から、コミュニティスペースになっています。
紙と電子を融合させて新たな価値を
オーフスの事例ではあまり触れられていませんが、やはりこれから求められるのは。蔵書の電子化、電子書籍の貸し出しではないかと思います。様々なモノのデジタル化が進み、いろんなものがインターネットに繋がる昨今。まだまだ市場は大きくないものの、本のデジタル化もどんどん進んでいます。紙と電子をどんどん融合させていけたらいいですね。
読む場所として、またコミュニティスペースとして図書館を位置付けて、中で提供されるコンテンツは紙か電子を選べるようにしてもいいですね。そこで読むのは紙、借りて行くのは電子版にすれば、スマホやタブレット一つあれば簡単に持ち帰れますからね。
新しいアイデアを今まであったものと融合させて、新たな価値を生み出していく。今後の本のあり方でも、新しい価値を創造し、よりユーザビリティの高い図書館にしていきたいですね。
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