電子書籍は作家の応援にならないのかな?
出版科学研究所が発表「出版月報 2017年1月号」によると、2016年の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は、前年同期比3.4%減の1兆4,709 億円で12年連続のマイナスになったそうです。
内訳は書籍が0.7%減の7,370億円、雑誌は5.9%減の7,339億円。書籍は10年連続のマイナス。雑誌は19年連続のマイナスとのこと。
その中で、電子出版市場はというと、前年比27.1%増の1,909億円。内訳としては電子コミックが27.1%増の1,460億円、電子書籍(文字もの)が13.2%増の258億円、電子雑誌が52.8%増の191億円となった。
電子書籍の市場規模は、紙の市場と比較すると1/8ではありますが、確実に増加してきていますね。
そんな中、先日ウェブのニュースで「『電子書籍の購入は作家の応援にはならない』は本当?」ということで現役編集者さんが答えていました。http://kai-you.net/article/37959
記事によれば、電子書籍の売上げは、出版社の営業や編集の人たちの眼中に入ってないということなんですね。
その理由として、
電子書籍のパイ自体が大勢に影響を与えるほど大きくない
作品全体の成功/失敗の判断は、あくまで紙媒体での収益で計っている
確かに、市場規模は紙の1/8ですからね、電子書籍を購入する人が増えても、全体の売上にはさほどの影響はないのかもしれません。だから成功/失敗の判断も、紙媒体で計っているのでしょうね。
さらに電子書籍の場合、制作費や管理費が少なくて済むので、営業や編集の人はあまり真摯に取り組まない要因になっているようだと語っています。それは、紙媒体の場合、一冊も本が売れなくても刷り部数(10,000部分)のお金が入って来るのに対して、電子書籍は実売数の分しか入ってこないから、だそうです。
つまるところ、これは出版社にとって儲かるかどうかなんですよね?
もちろん、出版社が儲からないと印税を受け取る著者も儲かりませんけど、それだけで見て応援にならないというのもどうかと思いますね。
紙媒体となると、市場はほぼ国内に限定されます。当然売られるのは書店(あるいはアマゾン?)ですから、販売スペースがどれだけ確保できるかで、売上も大きく変わってくる。ベストセラーを当てなければという意識も湧きますね。
対して電子書籍はどうかと言えば、制作する言語にもよりますが、市場は世界規模なわけです。世界中どこにでも(アプリの販売エリアによるが)一瞬で販売はできるわけです。あとはどうやって広めていくか。
一昔前なら、新聞の書評やマスメディアで取り上げられたものを手にする人、書店で注目の一冊と書かれたポップで購入をしていた人が多かったと思います。でも最近では、SNSで友だちが紹介しているものを購入する人が多くなっているのではないでしょうか?もちろん、本だけでなく他の商品についても同様ですね。
物の売り方、買い方は、今後ますますSNSや口コミにシフトしていくでしょうね。
それは国内に限らず、世界中の人たちが情報を共有し、口コミを広げていきます。
信頼できる友だちが「この本はいいよ、この作家さん最高!」と発信したら、「読んでみようかな」って思いませんかね?それって作家さんへの応援になると思うんだけどな。発売直後の売上げを重視するのも当然ですが、SNSは媒体によって広がり方が違うと思うので、発信の方法によってじわじわ売れていくことも考えられのではないでしょうか。
電子書籍は紙の副産物ではなく、紙とはまったく別物の作品として、付加価値をつけて発信していけば、きっと作家さんの応援になると思います。
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