そろそろ図書館が電子書籍を導入する時が来た
11月10日EU裁判所が、オランダの図書館がE-Book貸出の合法性確認を求めて提訴していた裁判で、E-Book(電子書籍)の貸出を印刷本と同一条件で認める判決を下したそうです。「one copy, one User」モデルでフェアユース原理を適用とのこと。
この案件はオランダの公共図書館協会と版権徴収団体が当事者となり、公共図書館協会によるE-Bookの貸出にライセンスが必要となるかを確認するものなんですね。オランダの法律では、著作物が図書館から貸出された際に版権料が発生するものとされているのです。EU裁判所の判決は、貸出しが「1部1ユーザー」モデル(1回に1ユーザーのみに貸出せる)で行われる限り、紙の本と同等であるとしました。
これって結構衝撃的なことで、一部の国では電子書籍貸出や賃貸が禁止されているけど、この判決により「1部1ユーザー」モデルで例外なく認められることになりました。ヨーロッパは日本よりも電子書籍の普及が進んでいますからね、図書館での電子書籍の普及がぐっと伸びていくんでしょうね。(ソース元はE-BOOK 2.0 MAGAZINE)
日本でも図書館での電子書籍の貸し出しについては、なかなか進んでいませんね。ちょっと古いデータだけど、一般社団法人電子出版制作・流通協議会が2015年4月~5月に実施された、全国の公共図書館中央館1352館を対象としたアンケートでは、「電子書籍サービス」を実施しているのが54館(2014年は38館)、「デジタルアーカイブ」を提供実施しているのが122館(2014年は100館)、国立国会図書館の「デジタル化資料送信サービス」の閲覧・複写サービスが123館(2014年は31館)とのこと。
要因の一つとしては「購入費用の会計基準」。通常本は「備品」として購入するけど、「電子書籍」はサービスであって「利用」するものなので、「備品」の予算をそのまま使うと問題になってしまう可能性があるそう。で、それぞれの図書館が会計の担当者と話をし、消耗品、備品、データベース、オンライン、委託料など、工夫して会計処理を行っているらしい。そういうところも色々あるのね。
あとはコンテンツが圧倒的に少ないこと。電子書籍もだいぶ普及してきたものの、紙の本と比べればまだまだです。利用されているのもやっぱりコミックが多いので、図書館におけるのかが疑問ですね。
これまでは再販制度のおかげで、全国どこでも同じ価格で本が買えることが良しとされてきましたが、格差が広がってくれば定価で本を買うのも厳しいケースもありますね。その場合は、図書館で本を読める、借りられるということがとても重要になる。今後は紙の本だけじゃなく、デジタルの特徴を生かしたE-bookでさらに本を読みやすく、便利にすることができると思う。
中小の出版社さんだとまだまだ電子化が進んでいないのが現状ですが、売れるか売れないかよりも読書の習慣をなくさないためにも、電子化を進めていってほしいですね。
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