花見のルーツをたどる 〜昔の人はどう楽しんだ?〜
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最終更新日:2025/03/01
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我が家の梅の花も満開となり、春が近づいているのを感じます。
「梅は咲いたか、桜はまだかいな〜」というように、皆さん桜の開花を楽しみにしていますよね?
花見といえば桜ですが、そもそもなぜ桜なのでしょうか?そしていつから桜の木の下で宴会を楽しむようになったのでしょう?
今日は花見のルーツを探ってみたいと思います。
花見のルーツは諸説がありますが、奈良時代に貴族が梅の鑑賞をしていたのがはじまりというのが有力です。今では花見と言うと桜ですが、当時は中国から伝来した梅の花が主流だったんですね。桜は当時の日本人にとって神の宿る神聖な木として扱われていました。
平安時代に入り、貴族たちは次第に桜を愛でるようになります。その理由の1つとして挙げられるのが、894年の遣唐使廃止です。遣唐使廃止によって、中国から伝来した梅ではなく、日本古来の神聖な木である桜に親しみを感じるようになったと言われています。平安時代前期に編纂された「古今和歌集」には、春の歌として桜を詠んだ歌がたくさん残されています。また、平安時代中期の「源氏物語」には、桜の下で宴を開催している宮中の様子が記されています。
平安時代までは花見といえば貴族の中での文化でした。それが鎌倉時代になると武士をはじめ様々な階層の人たちにも広がっていきます。この頃、京都では山や寺社などにも桜が植えられました。
さらに安土桃山時代になると、武士たちが戸外へ出かけて花見をするようになります。それまでの花見のスタイルは、庭にある桜の樹の下で歌を詠むというものでした。それがこの頃から、桜の下で酒宴が行われるようになったのです。その原型を作ったのが豊臣秀吉です。秀吉の花見で有名なのが、「醍醐の花見」や「吉野の花見」です。吉野では約5,000人、醍醐寺では1,000人を超える人々が参加したといいます。当時の名将たちも集まって、盛大な宴を催しました。現代の花見は、この時代に形成されのですね。
貴族の文化として発展し、武士や町民の間に普及していった花見。それとは別に農民の間で行われていた花見があります。農民の間では、春になると冬をもたらす山の神様を送り返し、春を呼ぶ田の神様を迎える「春行き」「春山入り」という行事が行われていました。春は農民にとって田畑を育て始める季節で、厄を祓(はら)う宗教的意味とともに春の花が愛でられていました。
花を愛でる行事は祭事として期日が決められ、その日になると野や山へ出かけて花を愛でる「野遊び」や「山遊び」がおこなわれていました。五穀豊穣を願って、桜の木の下で酒や食べ物を飲み食いしていました。その際、桜の色や開き具合いを見て、その年の豊作を占っていたともいわれています。これが農民の花見でした。
江戸時代になると、貴族の花見と農民の花見が融合して都市の庶民の間に広がっていきます。江戸時代の後期、オオシマサクラとエドヒガンを改良した「吉野桜」が誕生しました。この吉野桜は、現在の東京都豊島区にあった「染井村」で作られたといわれています。奈良県にある吉野の山桜と区別するため、のちに「ソメイヨシノ」と呼ばれるようになりました。それが現在のソメイヨシノの始まりといわれています。桜の交配や改良は江戸末期までに盛んに行われ、この頃にできた桜の種類は250~300種とも言われています。
明治時代に入り、日清戦争や日露戦争の影響で、貴族が所有していた庭園は次々と取り壊されました。庭にあった桜の木は燃料として燃やされ、江戸時代に作られた多くの桜の品種は一時激減します。この時、高木孫右衛門という植木職人が残った桜を集め、自宅の庭に植え替え保存しました。その桜の数は80種類以上。
1886年に孫右衛門をはじめとした植木職人の手によって、荒川堤に桜並木を作られました。この荒川の桜並木が、花見の新たな名所として庶民の間に定着していきます。 こうして保存された桜がのちに全国各地へ広まり、各研究施設などで品種改良され現在に至っているのです。
奈良時代の貴族から現代に受け継がれる花見の文化。全国各地に広まった花見は、世界でも知られるようになり、海外から花見に訪れる人も年々増えてきていますね。今年の花見は、遥か昔の貴族たちに想いを馳せながら、桜の花を愛でてみてはいかがでしょうか。
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