人と変わった事をすると思いがけずいい事がある!?

公開日: : 最終更新日:2024/01/27 昔話, 未分類

早いもので新しい年になって間もなく1ヶ月が終わろうとしています。
街は新春セールから恵方巻きの文字が目立つようになりましたね。

もうすぐ節分。節分といえば豆まきですね。
皆さん、なぜ節分に豆をまくかご存じですか?

立春を1年のはじまりである新年と考えると、節分は大晦日にあたります。
平安時代の宮中では、この大晦日に陰陽師らによって旧年の厄や災難を祓い清める「追儺(ついな)」の行事が行われていました。
方相氏(ほうそうし)と呼ばれる鬼役が手下役の役人を引き連れて宮中をまわって、厄を払うというもの。方相氏とは鬼神(きじん)のことで、金色に光る目を四つもち、朱色の衣装を着て盾と矛を持つという、なんとも恐ろしい風貌をしていました。

当初は悪鬼(あっき)を祓う善神(ぜんじん)でしたが、9世紀ごろになると、その風貌もあってか逆に悪鬼と見なされるようになり、弓矢で追われるようになってしまいました。鬼は疫病の象徴で、疫病を弓矢で追い払うことで、病気の流行を封じ込めようとしたんですね。

(出展)wikipedia

豆をまくようになったのは、室町時代といわれています。もともと中国明時代の風習が日本に伝わったもので、年男が「鬼は外、福は内」と言いながら、炒った豆をまきます。なぜ豆をまくのかについては諸説ありますね。大豆は米や麦と同じくらい重要な穀物として扱われていて、魔除けや生命力に関する霊力が込められていると考えられていました。このことから、お祓いなどの行事などでは大豆がよく使用されていたという説があります。

また、豆は「魔を滅する」ということで、無病息災を祈る意味を持つとされています。その昔、京都の鞍馬に鬼が出たとき、毘沙門天のお告げによって大豆を鬼の目に投げつけたところ、鬼を退治できたという話が残っていて、「魔の目(魔目=まめ)」に豆を投げつけて「魔を滅する(魔滅=まめ)」ことが出来たといった説もあります。豆まきには炒った大豆を使いますが、これは生の豆を使うと、拾い忘れた豆から芽が出てしまうと縁起が悪いからと言われています。また、鬼は「木」「火」「土」「金」「水」の陰陽五行説の「金」にあたり、この「金」の作用を滅するといわれる「火」で大豆を炒ることで、鬼を封じ込めるという意味もあるといいます。

節分の豆まきは、厄を払い病気の流行を封じる大切な行事なんです。コロナ禍の収束が見えない中、家族みんなで豆をまいて厄と疫病を祓い、気持ちも新たに新年を迎えたいですね。

さて、今日は節分にまつわる昔話をご紹介しましょう。
一般的には豆まきの際に「鬼は外、福は内」という掛け声をかけますが、今年は「福は外、鬼は内」と掛け声をかけてみようと考えた夫婦のお話です。夫婦が「福は外、鬼は内」と言いながら豆をまいていると、、、。

おにはうち、ふくはそと

むかしむかし、あるところにとても貧しい夫婦が住んでいました。
節分が近づいた頃、夫が言いました。「そろそろ節分がくるけど、今年から『福は内、鬼は外』っ言うのをやめたいと思うがどうだろう?」それを聞いて妻は、「おや、どうしてですか?」と聞き返しました。すると夫が、「節分には全部の家から『鬼は外』って言って豆をぶつけられている鬼が、なんだかかわいそうになった。」と言うのです。

「おやおや、どうしてそう思うのですか?」と妻が聞くと、「去年は作物が不作の年だったのに、年貢は払うしかなかった。この村でも食うや食わずの家はいっぱいある。うちも貧乏暮らしだ。天気に嫌われ、役人にいじめられ、泣きたい、逃げ出したいと何度も思った。鬼だってみんなから豆をぶつけられて、泣きたいだろうに。節分の日は、鬼も俺らと同じ気持ちじゃないかと思ってな。」と夫が答えました。

「そう言われればそうですね。それなら、今年からはどうしましょう?」と妻が尋ねると、「みんなとはちがった家が一軒ぐらいあってもいいだろ。うちは『福は外、鬼は内』って言ってやるろう。」と夫が言いました。「どうせ福は来そうにないから、そうしますか。」と妻は笑顔で答えました。

そして節分の日が来ました。あちこちの家で「福は内、鬼は外、福は内、鬼は外、」という声が聞こえてきます。鬼たちは「イテテッ、イテテッ」と逃げまどっています。
そんな時、ある家から「福は外、鬼は内」と聞こえてきました。あの貧しい夫婦の家です。

鬼たちは、「なんてありがたい家だ!」と喜んで家の逃げ入りました。
そして家の中にいた夫婦に、「いやぁ、ありがたい。
今晩は世話になってもいいだろうか?」と聞くと、「うちは貧乏でなんにもないけど、お茶でも飲んでひと休みしていってくれ。」と言いました。

すると鬼の一人が 「お茶より酒がいいな。今から出すからあんたも呑め。」と言って、打出の小槌を降りました。
するとどうでしょう、酒やごちそうやがどんどん出てきました。

節分の夜に、宴会の声が聞こえてくるものだから、隣のおじいさんが何事かとやって来ました。
貧しい夫婦の家を覗いてみてびっくり、鬼たちが酔払って大宴会をやっています。

おじいさんは、夫を手招きして呼び、「鬼なんか家に入れて正気か?お前たち大丈夫か!?」と聞きました。
すると夫は、「おれは正気だ、大丈夫だ。」と言って笑っています。

それを聞いた鬼たちが「なに!!しょうき様だとぉ!?」と叫んで慌てています。
「こりゃ大変だぁ。ここの夫は、しょうき様が化けとる!!」
「どうりで『鬼は内』って言うはずだ。殺されねぇうちに、みんな逃げろ!!」
と言って、鬼たちは一目散に逃げて行きました。

鬼たちは「正気」という言葉を、疫病除け・魔除けの神様である「鐘馗」と勘違いしたのです。
鬼たちが逃げ帰った後には、打出の小槌があちこちに転がっていました。

夫と妻は二人でその打出の小槌を拾い集めました。そして小槌を振ってみると、米が出たり、金が出たり。こうして夫婦は豊かな暮らしを手に入れることができました。人と変った事をすると思いがけずいい事があるものです。

 

障がい者アート×日本の昔話
日本語と英語で描かれたバイリンガル絵本

『日本の昔ばなし名作シリーズ1』
https://www.amazon.co.jp/dp/B09NCL7D6V/

『日本の昔ばなし名作シリーズ2』
https://www.amazon.co.jp/dp/B09NCKXWLL

『日本の昔ばなし名作シリーズ3』
https://www.amazon.co.jp/dp/B09NCJVJMV/

関連記事

日本の伝統技術が生んだ架け橋ブック

2022/09/21 |

私たちが出版したバイリンガル絵本「日本の昔話名作シリーズ」が、ハワイのモンテッソーリ園に届けられまし...

記事を読む

日本の伝統がもたらす豊かなメッセージ

2024/07/10 |

日本の昔話を語る上で、小澤俊夫氏の存在は欠かせません。 小澤俊夫氏は、日本の昔話研究家として知られ...

記事を読む

昔話や民話が子どもに与える素晴らしい影響

2024/06/13 |

昔話や民話とは?その魅力と普及の背景 昔話や民話は、古くから人々の間で語り継がれてきた物語です。こ...

記事を読む

みんな、天才を超えようぜ

2018/07/31 |

輝く日本人、強い日本人を創りたい 20年もの長期に渡って続く私塾がある。 20年を超える歴史...

記事を読む

  • 企業メディア化真価道場
  • 日本の昔ばなし名作シリーズ1

    日本の昔ばなし名作シリーズ1
    発売日 : 2021/12/19
    オモイカネブックス
    ¥1,250 (電子版)
    ¥2,178 (ペーパーバック)

  • 日本の昔ばなし名作シリーズ2

    日本の昔ばなし名作シリーズ2
    発売日 : 2021/12/19
    オモイカネブックス
    ¥1,250 (電子版)
    ¥2,178 (ペーパーバック)

  • 日本の昔ばなし名作シリーズ3

    日本の昔ばなし名作シリーズ3
    発売日 : 2021/12/19
    オモイカネブックス
    ¥1,250 (電子版)
    ¥2,178 (ペーパーバック)

  • 失敗しない家づくり読本

    失敗しない家づくり読本
    発売日 : 2021/3/27
    一般社団法人コミュニティービルダー協会 (著)
    ¥500 (電子版)

  • THE REAL RICH LIFE

    THE REAL RICH LIFE
    発売日 : 2021/1/29
    Hikaru Deguchi (著)
    ¥1,028 (電子版)
    ¥2,519 (ペーパーバック)

  • 天使との対話

    天使との対話
    発売日 : 2021/1/16
    中西 識叡子 (著)
    ¥800 (電子版)
    ¥1,452 (ペーパーバック)

  • Japanese Style
    発売日 : 2021/1/13
    Hironobu Ishikawa (著)
    ¥834 (電子版)
    ¥2,201 (ペーパーバック)

  • TSUNAGU モンゴル×日本
    発売日 :2020/3/15
    ガンフヤグ テンギスボルド(著)
    ¥500 (電子版)
    ¥990 (ペーパーバック)

  • 子供たちに伝えておきたい“日本のこと”
    発売日 : 2019/12/28
    飛岡健 (著)
    ¥528 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • SDGsに取り組もう 建築業界編
    発売日 : 2019/12/25
    浄法寺 亘 (著)
    ¥550 (電子版)
    ¥1,320 (ペーパーバック)

  • 頼みたくなる住宅営業になれる本
    発売日 : 2019/12/25
    浄法寺 亘 (著)
    ¥800 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • ビジネスに役立つ 日本の偉人の仕事術
    発売日 :2019/9/5
    オモイカネブックス(著)
    ¥864 (電子版)
    ¥1,782 (ペーパーバック)

  • と金志士 上巻
    発売日 : 2019/7/26
    オモイカネブックス(著)
    ¥540 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • 大人のための科学的勉強法
    発売日 : 2019/7/18
    福井一成(著)
    ¥700 (電子版)

  • 不調リセット
    発売日 : 2019/6/10
    竹井仁(著)
    ¥1,058 (電子版)

  • たるみリセット
    発売日 : 2019/6/10
    竹井仁(著)
    ¥1,058 (電子版)

  • 食品異物対策
    発売日 : 2019/6/4
    中村茂弘(著)
    ¥500 (電子版)

  • 技術・技能伝承法
    発売日 : 2019/6/4
    中村茂弘(著)
    ¥500 (電子版)

  • ドクター福井の開成流勉強術
    発売日 : 2019/5/22
    福井一成(著)
    ¥700 (電子版)

  • 世界を解く数学
    発売日 : 2019/5/22
    河田直樹(著)
    ¥800 (電子版)

  • TSUNAGU スロベニア×日本
    発売日 : 2019/2/27
    ニーナ・ハビャン(著)
    ¥500 (電子版)

  • 春ちゃんのマシュマロタイム
    発売日 : 2019/2/19
    今井真理子(作)
    こばやしまりこ(絵)
    ¥800 (電子版)

  • 科学で考えるごみゼロの未来
    出版社 : 2018/9/15
    広瀬立成(著)
    ¥480 (電子版)
    ¥815 (ペーパーバック)

  • とっておきの見込み客発掘法

    とっておきの見込み客発掘法
    出版社 : 2018/9/13
    石川博信 (著)
    ¥840 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • 日本列島ダニさがし
    発売日 : 2018/5/13
    青木淳一(著)
    ¥600 (電子版)

  • KARADAチューニング
    発売日 : 2018/3/19
    外薗明博(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,284 (ペーパーバック)

  • 障がい者アートの未来を探して
    発売日 : 2018/2/1
    熊本豊敏(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,078 (ペーパーバック)

  • 建築神殿論
    発売日: 2017/12/25
    武田暁明(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,386 (ペーパーバック)

  • 我は日本人なり
    発売日 : 2017/6/26
    竹元正美(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,078 (ペーパーバック)

  • おみず
    発売日 : 2017/4/1
    AKI (絵・作)
    ¥840 (電子版)

  • 国境を越えたサムライ先生
    発売日 : 2017/2/21
    外薗明博(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,386 円(ペーパーバック)

  • 島嶼見聞録
    発売日: 2017/2/19
    木越祐紀子(著)
    ¥480 (電子版)
    ¥1,320(ペーパーバック)

Translate »
PAGE TOP ↑