Amazonから書店、図書館へ販売する時代
公開日:
:
最終更新日:2023/02/10
KDP
電子書籍とペーパーバックを無料でセルフ出版することができる、Amazon Kindle Direct Publishing(以下KDP)。
みなさん利用していますか?
最近はセミナー教材などをKDPで出している人がいますね。セミナーをオンラインで開催して、参加者は電子版かペーパーバック版をAmazonで購入して参加する。これであれば、会場も要らない、教材の在庫も要らない。便利になりましたね。
そんな中KDPでは、「外部流通機能」というものがあります。
外部流通機能とは?
外部流通機能を使用すると、書店やオンライン小売業者、図書館、学術機関を通して、より多くの読者に作品を届けることができます。
書店や図書館は、大手取次会社からペーパーバック(ソフトカバー本)を購入しますね。KDPでペーパーバックを外部流通機能に登録すると、その本を取次会社に販売できるようになるんですね。これによって書店や図書館がその本を検索して注文できるようになるというものです。
Amazonは現在、米国および英国の取次会社と協力していますが、世界中の書店や図書館は、これらの取次会社から本を購入する場合があります。外部流通機能へのペーパーバックの登録は無料で、登録することで本をAmazon以外で幅広く販売できるようになります。
ペーパーバックを外部流通機能に登録しても、取次会社が取り扱ったり、特定の書店や図書館が注文するとは限りません。本を取り扱うかどうかは取次会社により、本を注文するかどうかは個々の書店や図書館によります。でも、可能性が広がりますよね。
外部流通登録への要件
外部流通はすべてのKDP出版者向けで、居住国は関係ありません。
外部流通機能に登録するためには、ペーパーバックがAmazon.comもしくはAmazon.co.ukで販売されていて、さらに以下の要件を満たしている必要があります。
①ISBN
ペーパーバックには、自身で購入したISBN、または KDPが割り当てたISBNを設定することができます。
他の販売サービスで使用したことのあるISBNはNGです。
②コンテンツ
取り扱いができないコンテンツとして、次のようなものがあります。
・日記、ノートブック、スケジュール帳、カレンダー、予定表、システム手帳、その他の類似作品など、罫線や白紙のページが多用されるペーパーバック。
・原作者の許可を得ずに、別の出版された本を要約したり、その本に関する見解を提供するペーパーバック。
・印刷に高濃度のインクが必要な本文ページを含むペーパーバック。
・パブリックドメインのコンテンツ。
・成人向けの塗り絵 (英国の外部流通にのみ適用)
・翻訳の質が悪いコンテンツ。
・同じ本の中で、または複数の本の間で、同じコンテンツの再利用、リサイクル、繰り返しが何度も見られる。
・コンテンツがメタデータへの大幅な変更によってリブランドまたは再発売され、読書体験を混乱させている。
③言語
現時点では、ヘブライ語、イディッシュ語および日本語で出版されたペーパーバックは外部流通機能に登録できません。
広告もそうですが、日本は割と他国と別物扱いが多いですね、、、。
④出版地域
アメリカの外部流通機能に登録するにはアメリカでの配布権、イギリスの外部流通機能に登録するにはイギリスでの配布権がそれぞれ必要になります。
⑤判型
判型の要件は、用紙タイプによって異なります。
外部流通機能を利用できる判型、インク、用紙タイプの組み合わせについては以下の通りです。
【判型】
黒インクと用紙 (白)
黒インクと用紙 (クリーム)
プレミアムカラー インクと用紙 (白)
標準カラー インクと用紙 (白)
12.7 x 20.32 cm (5 x 8 インチ)
12.85 x 19.84 cm (5.06 x 7.81 インチ)
13.34 x 20.32 cm (5.25 x 8 インチ)
13.97 x 21.59 cm (5.5 x 8.5 インチ)
15.24 x 22.86 cm (6 x 9 インチ)
15.6 x 23.39 cm (6.14 x 9.21 インチ)
16.99 x 24.4 cm (6.69 x 9.61 インチ)
17.78 x 25.4 cm (7 x 10 インチ)
18.9 x 24.61 cm (7.44 x 9.69 インチ)
19.05 x 23.5 cm (7.5 x 9.25 インチ)
20.32 x 25.4 cm (8 x 10 インチ)
20.96 x 15.24 cm (8.25 x 6 インチ)
20.96 x 27.94 cm (8.25 x 11 インチ)
20.96 x 20.96 cm (8.25 x 8.25 インチ)
21.59 x 21.59 cm (8.5 x 8.5 インチ)
21.59 x 27.94 cm (8.5 x 11 インチ)
ほとんどの判型が網羅されていますね。
外部流通のロイヤリティと支払い
ペーパーバックを外部流通機能に登録した場合、その本のロイヤリティは、本が購入された時点の当該流通チャネルにおける希望小売価格の40%から、印刷コスト、該当する税金、および源泉徴収税を差し引いた金額になります。
また外部流通での売り上げは、利用可能なマーケットプレイスごとに通貨別の独立した行で KDP レポートに表示されます。外部流通で販売された分のロイヤリティは、売り上げのあった月の末日から約 30 日後に更新され、外部流通分のロイヤリティは、取次会社から売り上げが報告された月の月末から数えて約 60 日後に支払われます。
最後に、印刷製本の違いとして、外部流通チャネルを通して販売されるペーパーバックは、サードパーティの会社によって印刷製本される場合があります。そのため、印刷製本の仕上がり (紙の厚さや色合いなど) に若干差が生じることがあります。
電子書籍を個人が出版できるようになった時、「すごい時代が来たな」と思ったものですが、いよいよAmazonから外部への流通も現実のものとなってきました。
今後ますますペーパーレス化が進み、街から書店が消えていくことが予想されます。今後さらにAmazonで出版するユーザーは増えていくでしょうね。
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