web3.0が変える本の世界
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NFT
WEB3.0、NFT、メタバース、暗合資産、最近よく目にするキーワードではないでしょうか。
それぞれがどういったものなのかは、他のサイトやブログにおまかせするとして、出版・電子書籍での活用についての話題を見ていきたいと思います。
NFTを使った電子書籍が広がっていく
2022年9月30日、米国最大の書籍販売会社であるIngram Content Groupが、NFTを使った電子書籍プラットフォーム開発会社Book.ioに出資、資本・業務提携したと発表しました。世界展開するIngramの強力な紙書籍とデジタルの流通インフラを通じ、世界の作家や出版社に対して、NFT電子書籍およびオーディオブックを作成していくといいます。
Book.ioは、電子書籍やオーディオブックをオンチェーンするためのインフラを構築しており、これにより読者は、現在の業界のライセンスモデルではなく、購入したデジタルブックを本当に所有できるようになります。これにより、出版社や著者が印税を得ることができ、著者と読者が直接関わる新しいチャンネルを活用できる、まったく新しい二次デジタル市場が実現されます。
Book.ioは、Ingram の膨大なデジタルおよび物理的インフラと直接連携し、世界のトップクラスの著者や出版社の NFT 電子書籍およびオーディオブックを作成し、Mint & Print®と名付けられた業界初の方法でNFT eBooksと特注の印刷済み物理書籍をバンドルし、NFT eBook所有に基づく単一の物理書籍を印刷して、世界中のどこでも48時間以内に印刷済み書籍を配送できるようにします。ここはアマゾンのプリントオンデマンドの仕組みと同じですね。
本物であることを証明できるNFT
NFTを使った電子書籍プラットフォームとありますが、そもそもNFTとはどういうものなのか?
NFTとは「Non-Fungible Token」の略称で、日本語では「非代替性トークン」と訳されていますね。「トークン」は、通貨や認証デバイス、データ、資産などのことです。「非代替性」とは、替えが利かない唯一無二という意味。例えば、Aさんが持っている1,000円札とBさんが持っている1,000円札は紙幣価値が一緒なので、代替(交換)が可能です。一方で、作家の直筆サイン入りの書籍は普通の書籍と同じ価値ではないため、代替(交換)が不可能なものとなります。
絵画や写真などのデジタルデータは簡単にコピーができるため、その価値を証明するのが難しいとされていましたが、NFTはデジタルデータであっても、その作品が本物かどうかや、取引の記録を証明することができるのです。さらに、ブロックチェーンの技術を用いて管理しているため、簡単に書き換えることはできません。
そして、ブロックチェーンの技術を使えば、企業やプラットフォーマーなど特定の管理者を経由しなくても、個人間での取引も可能です。
ブロックチェーンは、データ情報や取引記録を暗号化して保護し、複数人がネットワーク上で管理したり共有したりできる技術です。個人間の取引であっても、データとして取引記録が残るため、NFTの所有者は誰なのか、不正な取引がおこなわれていないかなどを管理することができます。また、NFTにプログラムを加えることで転売を防止することも可能です。
物理書籍も48時間以内に取得できる
Book.ioは、複数の大手出版社や著者と話し合いを持ち、今秋にリリース予定のタイトルをスケジューリングしているとのこと。
出版社との取引条件は
①書籍の初回販売時に売上の70%を提供
②二次流通で受け取るロイヤリティを自由に設定することができる
③Book.ioとの独占契約は必要ない
④暗号化された通貨の変換は弊社が行い、ブロックチェーン上に正確な売上報告書を、ブロックチェーンから直接取得できる
とされています。
Ingram Content GroupのShawn MorinCEOは、
「IIngram Content Group は、ブロックチェーン技術の安全性、Web 3.0 の有望性、および NFT に基づく革新的な商業化モデルを活用した電子書籍配信の新しいサプライチェーンモデルを開拓するために Book.io と協力できることを嬉しく思います。」
とコメントしています。
アマゾンが日本でKindleストアをスタートした時、出版業界に激震が走りましたが、近い将来にはスマホで本を読むのではなく、自分がアバターとなってメタバースの世界で本を立ち読みしたり購入したりして、現実世界に戻ってくると物理書籍が手元に届いているといったことが現実になっていそうですね。
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