デジタルネイティブ世代のためにコンテンツの充実を
公開日:
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最終更新日:2022/10/13
電子書籍
ここ数年「活字離れ」と言われています。
出版業界における新刊の販売数が落ち込み、相次ぐ書店の閉店により業界が縮小している中で、メディアや出版業界にとっては「本が読まれなくなった=活字離れ」と考えている節があります。また「本」を「紙の新刊」と考えた場合、中古本や電子書籍、青空文庫などの無料コンテンツは「本」に含まれません。スマホによって本が読まれなくなったという話もよく聞くが、些か疑問ですね。スマホの誕生で無料や読み放題で電子書籍が読めるようになりました。前述した「活字」定義から考えるに、つまるところ新刊の印刷本が売れなくなったことが、マスメディアを賑わす「活字離れ」の理由なのでしょう。
活字離れ時代 どのように本を読むか
文部科学省のホームページにこんな一節があります。
“読書することは、「考える力」、「感じる力」、「表す力」等を育てるとともに、豊かな情操をはぐくみ、すべての活動の基盤となる「価値・教養・感性等」を生涯を通じて涵養していく上でも、極めて重要である。本を読む習慣、本を通じて物事を調べる習慣を、子どもの時期から確立していくことの重要性が、あらためて認識される。また、そのためには、学校教育においても、家庭や地域と連携しながら、読書の習慣付けを図る効果的な指導を展開していく必要があり、とりわけ学校図書館がその機能を十全に発揮していくことが求められる。”
時代はオーディオブックや、AIスピーカーに本を読み上げてもらうというように、本を聴くようになりました。今後さらなる技術革新により、読書の環境・形態は大きく変わっていくでしょう。その中でいかに本を読みやすくするか、本に触れる機会を創出するかを、出版業界、図書館、さらには家庭や地域も一体となって考えていく時ではないかと思います。そのために、読書は「活字」だけではないという認識が大事ですね。
音楽、映画など様々なコンテンツがデジタル化された昨今、サブスクリプションスタイルが増え、月額費用を支払えば聴き放題、見放題という仕組みが当たり前になりましたね。いわばコンテンツのシェアリング。ひと昔前までCDやDVDなどのソフトを使っていたのが遠い昔のようです。
子どもたちはデジタル書籍ネイティブになる?
そんな中でもなかなか進まないのが本のデジタル化。アマゾンのKindleサービスにより電子書籍の点数も増え、新刊が出る際には電子も合わせて登場するようになりました。それでも、まだまだ電子書籍を読んでいる人は少ないですよね。コロナ禍の影響もあり、電子書籍の購入、電子図書館の利用が増えています。教育業界での活用が増えることで、子どもたちが電子書籍ネイティブになり、本はデジタルで読むのが当たり前という時代も遠くはないかもしれませんね。
出版社のポプラ社が、小中学校向けに電子書籍の読み放題サービスを立ち上げました。同社の新サービス「Yomokka!(よもっか!)」は学校や自治体と契約し、子どもたちはタブレット端末などで、ポプラ社のウェブサイト内にある児童書や絵本の電子書籍が読めます。2021年7月から小学校を対象に無料体験版を始め、現在109校が試験導入しているそうです。10月には中学校向けの体験版もスタートし、2022年度からは有料版に切り替えるとのこと。
絵本や児童書は、各出版社とも紙質や大きさを含め、手に取って世界観を味わえるように作っています。以前私が、出版社に絵本の電子化を打診しに行ったところ、軒並み「ありえない!」と断られました。絵本は紙が当たり前、手で触れなければ絶対にダメと叱られたりもしました。たしかにそれも解ります。私自身、息子には紙の絵本を買っています。ただそれでも、子どもたちを取り巻く環境は、デジタル化が進んでいます。コロナ禍もあり、学校教育のデジタル化はますます進むことでしょう。
「絶対に紙!」ではなく、紙でも電子でも読める環境を整えておくというのが、本に関わる我々にとっての命題ではないでしょうか。
絶版本、重版未定本の電子化・プリントオンデマンドでの再販を受け付けています。
https://omoikanebooks.wixsite.com/electronicpod
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