浦島太郎の元ネタは神話にあった?

公開日: : 昔話

長い間語り継がれる浦島太郎

皆さん浦島太郎のお話はご存じですか?
ほとんどの方が知っている昔話だと思います。

浦島太郎の話はとても古く、から『丹後国風土記(たんごのくにふどき)』や『万葉集』などにも記録され、平安時代以降も説話集や和歌などに多く取りあげられてきました。

そのため、国文学者による文献研究がとてもさかんです。もともとは丹後地方を治めていた、漁民系の氏族伝承ではないかと考えられています。ただ古い記録の中には、仙人や海上の霊山と伝えられる蓬莱山などの記述が見られるため、中国の神仙思想の影響を受けていたとも考えられています。

各地で内容に違いが出やすい昔話の中で、この話は各地の伝承で大きな違いがないと言われます。
1910(明治四十三)年に、当時の文部省の国定教科書に登場してから、四十年にわたって小学校二年生の教育に用いられてきたことが、その理由といわれています。同じ型の話が、教科書によって全国津々浦々に浸透していきました。

しかし実は、日本最古の歴史書『古事記』に登場する「海幸彦と山幸彦」が元ネタとも言われています。

まずは浦島太郎のお話しを見て見ましょう。

 

浦島太郎のあらすじ

むかし むかし あるところに、うらしまたろう という 心やさしい漁師が 住んでいました。
ある日のことです。うらしまたろうが はまべを歩いていると、一匹のかめが 子供達にいじめられていました。
「これこれ かめをいじめたら かわいそうだよ。はなしておやり。」
そう言って うらしまたろうは かめを助けてやりました。

数日過ぎたある日、うらしまたろうが いつものように つりをしていると、かめが海から出てきました。
「うらしまたろうさん、私は この間 あなたに助けてもらった かめです。おとひめ様が あなたを りゅうぐう城に お連れしなさいというので おむかえに まいりました。」

うらしまたろうは、さっそく かめの背中に乗って 海の中に入っていきました。
りゅうぐう城は さんごに 囲まれ 魚が泳ぐ それはそれは 美しいお城でした。

そして おとひめ様は とても美しい お方でした。
「うらしまたろうさん、かめを助けてくれて ありがとうございました。どうか ゆっくりしていって下さい。」
うらしまたろうは、たくさんの ごうかな料理を ごちそうになりました。

たい ひらめ たこなどの魚たちが、おどりを見せてくれました。
うらしまたろうは 時間が たつのも わすれて 楽しみました。まるで 夢のような毎日でした。

数日が過ぎ、うらしまたろうは 村のことや お母さんのことを 思い出しました。
ついに 別れの時が やってきました。別れぎわ、おとひめ様は うらしまたろうに 小さな箱を手わたしました。
「うらしまたろうさん、おみやげに この玉手箱を 持っていってください。でも この箱は 決して開けてはいけませんよ。」

かめの背中に乗って 村に帰った うらしまたろうは、どうしたことか 自分の家も お母さんも 見つけられませんでした。村は まったく変わってしまったのです。うらしまたろうは 通りがかった 漁師に たずねました。
「私は うらしまたろうと いいます。ここにあった私の家は どうなったのでしょう?」

すると漁師が言いました。
「ずっと前に そういう名前の人が このあたりに 住んでいたようですね。」

うらしまたろうは どうしたらよいか わからなくなってしまいました。
そこで うらしまたろうは「そうだ この玉手箱を開けたら 何か変わるかも しれないぞ」と考えました。
そして おとひめ様が 決して開けてはいけないと言った 玉手箱を開けてしまいました。
すると 中から白いけむりが もくもくと出てきました。

そして そのけむりが消えると、うらしまたろうは あっという間に おじいさんになってしまいました。
うらしまたろうが りゅうぐう城で楽しく過ごしている間に、地上では 何十年も経っていたのです。
うらしまたろうは 夢を見ているような気持ちで、ぼんやりとすわり込んでいました。

皆さんが知っている浦島太郎も、こんなお話しではありませんか?

古事記に登場する海幸彦と山幸彦

次に海幸彦と山幸彦のお話しを要約すると、

海の幸を獲るのが得意な兄の海幸彦と、山の幸を獲るのが得意な弟の山幸彦という兄弟がいて、お互いの道具を交換してみたら全然うまくいかず、元に戻そうとしたが、山幸彦は海幸彦の釣り針を無くしてしまいます。

海幸彦が許してくれず困っていると、老人が「海の神様が助けてくれる」と言い、山幸彦を海の宮殿へと導きます。
山幸彦が海の宮殿に着くと、海の神の娘である美しい豊玉姫と恋に落ち結婚して、3年間時を忘れて楽しい日々を過ごします。

ある時、無くした釣り針のことを思い出し、海の神に相談すると、魚を集めて釣り針を見つけてくれました。山幸彦が元の世界へ戻ろうとすると、海の神が不思議な力を持つ玉を授けてくれます。山幸彦は海幸彦に釣り針を返し、不思議な玉を使って自分を困らせる海幸彦をこらしめた。

というお話しです。
海の宮殿や、美しい豊玉姫、時間を忘れて楽しむ、不思議な玉など、浦島太郎のお話と似ていませんか?
日本の昔話は、神話の時代から形を変えながら、脈々と語り継がれているのです。

 

浦島太郎の話に込められた教訓とは

最後に、浦島太郎のお話で伝えられる教訓について。
このお話には2つの教訓がありますね。

1つめは「良いことをすると自分に返ってくる」ということ
物語の中で、亀を助けた浦島太郎が、龍宮城で乙姫様から盛大なおもてなしを受けました。これは、誰かのためにしてあげたことが、いつか自分にとって良いこととして返ってくると言う意味ですね。良いことをするときっと自分にも返ってくると、私も祖母に教えられました。

2つめは「約束を守らないとその報いを受ける」ということ
乙姫様から、「決して開けてはいけない」と言われた玉手箱を開けてしまったために、浦島太郎は老人になってしまいました。約束を守らないと、ひどい目に合うということを伝えています。

皆さん、ぜひ日本の昔話を読み返してみて下さい。
新しい発見があるかもしれませんよ。

 

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