アメリカ出版市場で拡大するオーディオブック

公開日： 2022/03/29 : アマゾン出版マーケティング

アメリカでは、年初の1ヵ月間でデジタル書籍の売上が2桁の減少を記録しました。
10.1％という大幅な落ち込みで、売り上げは8,150万ドルとなりました。2021年1月の電子書籍の売上は21%増であったので、１年でだいぶ差が出ました。

一方で、デジタルオーディオブックは爆発的な成長を続けており、当月の売上は5%増、売上高は6,210万ドルでした。物理オーディオは38.2％減の120万ドルとなりました。

1月の紙媒体の売上は、トレード（消費者向け書籍）部門で、ハードカバーが6.9％増の2億6140万ドル、ペーパーバックが8.7％増の2億5,060万ドル、マスマーケットが1.8％減の1,910万ドル、特殊装丁が8.5％減の1,520万ドルとなっています。2022年1月の全カテゴリーの総売上は、2021年1月と比較して3.7％増の13億ドルとなりました。

オーディオブックは今後数年間、安定した成長が見込まれる

ピューリサーチセンターの最近の調査によると、アメリカ人の読書パターンについて興味深い事実と数字が明らかになりました。例えば電子書籍を読むアメリカ人の数は、それまでの25％から2019年には30％に上昇しています。同様に、印刷された本を読む人の数は横ばいですが、オーディオブックを聴く人は20％から23％に上がっています。

しかし、調査に参加した人の65％が過去1年間に活字の本を読んだと回答しており、活字の本が圧倒的な読書量であることに変わりはありません。一方、過去12ヶ月間に電子書籍を読んだと回答した人は30%、オーディオブックを聴いたと回答した人は23%でした。さらに、75%のアメリカ人は過去12ヶ月間に電子書籍、印刷物、オーディオブックなど形式に関係なく本を読んだことがあることがわかりました。

平均的なアメリカ人の読書習慣とその変遷については、例えばあらゆるフォーマットの書籍の読者率は現在75％ですが、2011年の最高値78％から2015年、2019年の最低値72％の間で揺らいでいます。一方、印刷された本の読書は、現在の65%から2011年の最高72%、2015年の最低63％と、より広い変動を示しています。

電子も紙もそしてオーディオブックも活用する人が増加中

電子書籍の読書も、2021年の30％をピークに、2011年の17％、2019年の25％と、乱高下を見せています。一方、オーディオブックは常に上昇カーブを描いており、2011年にはわずか11％だったのが、2021年には23％に達しています。

その他の調査結果としては、電子書籍の読書量は増えても、デジタルだけの読書習慣を持つアメリカ人は少なくなっていることが明らかになりました。印刷された書籍のみを読む人は32%で、33%は電子書籍と印刷された書籍の両方を読むことが判明しました。電子書籍とオーディオブックしか読まない人は9％で、23％は全く本を読まないと言っています。

アメリカ人の読書習慣に関する調査結果やその他の詳細については、ピューリサーチセンターのウェブサイトをご覧ください。調査期間は2021年1月25日から2月8日で、サイトには2011年から2021年までの詳細な情報が掲載されています。（https://www.pewresearch.org）

今後の出版では紙も電子もオーディオも考えておきましょう

車社会であることも１つの要因と思われますが、アメリカでのオーディオブック市場は今後も拡大の一途を辿るでしょうね。日本ではどうかと言うと、アマゾンジャパンにおけるオーディオブックの販売数はまだまだ少ない状況です。それには、コンテンツの制作とアップにかなりの手間と時間を要することも起因していますね。さらに、価格設定が紙や電子に比べて高額なため、消費者側の需要も伸び悩んでいるのでしょう。

しかし、電子はもとより、オーディオブックはこれから日本でも確実に伸びていくでしょう。オーディオブックを簡単に制作し、配信することができるAudiobook Creation Exchange (ACX) が、日本でもサポートされるようになれば、現在のKindle direct publishingのように自分でオーディオブックを配信する人が続々と出てくると思います。

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