消えつつある日本の昔話を見直そう!
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昔話
「まんが日本昔ばなし」というテレビ番組をご存知ですか?
最近よく耳にする「Z世代」の皆さんは知らないかもしれませんね。
1975年(昭和50年)に放送が開始され、1994年までに日本の昔話全1474話が語られたマンモスプログラムです。
放送枠は30分で、毎回日本各地に伝わる昔話がアニメーション化され、故市原悦子さんと常田富士男さんの両名が、一人で何役もの声を使い分ける独特の語りで楽しませてくれました。1974年生まれの私は、土曜日19:00からのまんが日本昔ばなしを毎週楽しみにしていました。
エンディングテーマ曲の「にんげんっていいな」は、老若男女問わず多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか?
昔話は日本の宝物
日本の昔話には、心温まるお話、勇ましいお話、笑えるお話、そして怖いお話まで、様々な内容がありますね。
「桃太郎」、「分福茶釜」、「三枚のお札」、「さるかに合戦」、「花咲か爺さん」、「浦島太郎」、「金太郎」、「舌切り雀」、「七夕さま」、「塩ふきうす」、「一寸法師」、「はなたれ小僧さま」、「猿地蔵」などなど、きっと皆さんも一度は読んだり聞いたりしたことがあるでしょう。
ただ面白いというだけでなく、日本の昔話には人生で大切なことや、示唆に富む話がたっぷりと詰まっています。今思えば、私自身幼少期は日本の昔話を読み聞かせてもらったり、図書室で借りてきて読んだりして、人としての生き方の根本となる部分を学びました。
「人に優しくすれば自分に返ってくる」
「欲を張るといいことがない」
「生きとし生けるものすべてを大切にする」
「年寄りと子どもを大切にする」
誰かに教わらなくとも、昔話を読むだけで自然とそういった教訓が身についていきました。まんが日本昔ばなしは、それをアニメと素晴らしい語りで伝えてくれましたね。
日本の昔話が本屋から消えつつある!?
いま、そんな素晴らしい日本の昔話が危機的な状況にあります。
皆さん、いま街の本屋さんに行ってみて下さい。
日本の昔話の絵本はわずかしかなく、海外の作品や現代作家さんの絵本がほとんどではないでしょうか?
大きなチェーン店の本屋さんでも一緒ですね。
決してそれが悪いというわけではありません。ただ、人として大切で示唆に富む話をとても上手に分かりやすくまとめている日本の昔話が、本屋さんから消えつつあるというのは、由々しき問題ではないかと思うのです。
かつて、日本民話の父とも言える柳田国男は、「日本の昔話は宝物である」と言いました。
私たちは、日本の宝とも言える昔話の素晴らしさを、我が子、我が孫の世代にも伝えていく役目があるのではないでしょうか。
そんな想いから、私たちは『日本の昔ばなし名作シリーズ』という絵本を創ることにしました。
日本の昔話を障がい者アートとともに
この絵本を創るにあたり、絵本の絵を心身に障がいのあるアーティストさんたちに作画してもらいました。
令和元年現在、日本には障がいのある方が約936万人いらっしゃいます。心身の障がいによって、企業などで働くことが難しい人たちはどんどん増えています。そういった人たちが、実は様々な素晴らしい才能を持っています。その1つが絵なんです。
心身に障がいを持ちながら、絵を描くという才能を持ったアーティストたちの作品を世に発信し、仕事に繋げていくことで、障がい者の就労支援の一助にできるのではないか?そんな想いもあって、彼らの素晴らしい才能をこの絵本に載せることにしました。そしてその想いを社会に発信するためにクラウドファンディングを起ち上げ、想像をはるかに超える多くの方々からの支援を元に、絵本を創り上げることができました。
『日本の昔ばなし名作シリーズ』は、日本の昔話を世界中の人たちに届けたいと想いから、日本語と英語の併記になっています。これからさらに20以上の言語に翻訳して出版していきます。
いま海外で日本語を学んでいる人の数は、2018年時点で385万人もいるといいます。日本に興味がある、日本を学びたいという人が増加する一方で、日本語を学びたい方にとって一番不足しているものが「教材」なのですね。それを補う意味でも、日本語や日本を学びたいという人達に、是非この本を届けたいと思っています。翻訳には、日本に知見を持つ外国の方々や留学生が協力してくれて【日本語も英語も一緒に学べるバイリンガル絵本】が完成しました。
たくさんの人たちが支援、協力してくれて、様々な想いが詰まった『日本の昔ばなし名作シリーズ』。
長い助走期間を経て、ついに世界に飛び立ったこの作品を、ブログをご覧の皆さんにも是非読んで頂きたいです。
電子版、ペーパーバック版どちらも購入可能です。
ご購入はこちらから
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