現代文化のルーツを探る㊹ 暑中見舞い
公開日:
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最終更新日:2021/07/20
現代文化のルーツ
いよいよ夏本番となった日本列島。ここ数日は暑い日が続いていますね。
午前中のうちに気温は30℃に達して、洗濯物がすぐに乾いてしまいます。これからしばらくは熱中症に注意しないといけないですね。
7月22日は大暑です。二十四節気の一つで、陰暦6月の節。夏至(げし)から約1か月後で、新暦では7月23日にあたっていますが、今年は22日です。8月8日ころの立秋までの大暑の期間は、一年中でもっとも気温の高い季節にあたります。この時季は暑中見舞いを書きますね。最近ではメールやメッセージツールが主流で、あまりハガキのやりとりはしないかもしれませんが、時には筆を認めてみるのもいかもしれません。
この暑中見舞い、いったいいつ頃から始まって、どんなルールがあるのでしょうか?
今日は暑中見舞いについて探ってみたいと思います。
江戸から始まった思いやりの書状
今では当たり前のものとして考えられている暑中見舞い。形は違えどもその歴史は古く、江戸時代以前にまで遡ります。
かつて人々は、一年を二期と考えていました。その始まりは、現在で言うところの「正月」と「盂蘭盆会」でした。人々は期の始まりに、贈答品を持って「今期もよろしく」と挨拶回りや集いに参加し、相手への感謝や気遣いをしていたのです。これはとても重要な事とされ、江戸時代では、武家仲間から親戚関係、更に近所の家を元旦から1月末まで毎日回り続けた人もいた程だそうです。
身分制度が根付いていた時代には、身分の高い人は訪問を受け、低い人は訪問周りを行うのが常識でした。ですが、さすがに遠方の方を訪問することは難しく、飛脚便などを使って書状を送ることもあったのだとか。その習慣が、明治維新後の明治6年、日本のはがき郵便配達が始まったのを機に、遠方の方以外にも挨拶状を送るという習慣として広まっていきました。それが年賀状と暑中見舞いへと変化を遂げ定着したわけです。
明治39年に年賀郵便の制度が始まり、昭和24年にお年玉つき年賀状が発行されるなど、年賀状の普及は促進されましたが、一方で暑中見舞いが習慣として広がったのは大正時代になってからなのです。現在、一年が二期という概念は失われました。暑中見舞いの習慣も無くなりつつありますね。
暑中見舞いの時期
「暑中」とは、暑い最中と察しはつきますが、実は二十四節気の「小暑」と「大暑」をさします。
「小暑」は7月7日頃~大暑までのおよそ15日間
「大暑」は7月23日頃~立秋までのおよそ15日間
この小暑と大暑を合わせたおよそ30日間が「暑中」です。
また、夏の土用(立秋前の約18日間)を暑中とする場合もあります。
「暑中見舞い」はこの「暑中」の期間に出すものですが、梅雨の最中はさすがに的外れなので、梅雨明けが明けてから出し、立秋(8月7日ごろ)を過ぎたら「残暑見舞い」にして、8月末までに届くようにします。
暑中見舞いの構成
1. 暑中(残暑)見舞いの挨拶
2. 相手の安否を気遣うことばや無沙汰をわびることば
3. 自分の近況など
4. 相手の健康や息災を祈ることば
5. 後付(日付、差出人名など)
今年も暑くなりそうです。
大切な人を思い浮かべながら、今年はあなたも暑中見舞いを書いてみてはいかがでしょう?
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