現代文化のルーツを探る⑳ うどん
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現代文化のルーツ
皆さんうどんはお好きですか?
日本ではうどんが好きな人と、そばが好きな人にわかれます。僕はどちらも好きですが、どちらからというとそばが好きです。最近はうどん屋さんもチェーン店が増え、揚げたての天ぷらとコシのある本格的なうどんを手軽に食べられるようになりました。
さて、うどんはいつ頃から日本で食べられているのでしょうか?
今日はうどんのルーツを探ってみたいと思います。
うどんといえば小麦ですね。
小麦は人類最古の作物のひとつとされ、紀元前8千年頃のメソポタミアで栽培されはじめした。当時の遺跡からは、麦を粉にするための石臼のような道具が麦の一種とともに発見されています。その後西アジアで栽培が始まった小麦が、シルクロードを渡って西へ伝わり、イタリアでパスタになりました。そして東へ伝わった小麦は中国を経て日本に渡ります。
西アジアから伝わった小麦は中国で発展を遂げて、小麦粉に水を加えて練った「餅(ピン)」というものに変化します。
「餅(ピン)」には4種類あります。練った小麦粉を現在の饅頭や焼売のように蒸した「蒸餅(ツエピン)」、パンや煎餅のように焼いた「焼餅(サオピン)」、小麦粉に「みょうばん」などの添加物を加えて棒状にねじって油で揚げた「油餅(イウピン)」、スープの中に入れてゆでた「湯餅(タンピン)」です。みなさんも食べたことがあるかもしれませんね。
この中の「ゆでる」という調理法が現在の「麺」に発展していきました。中国で「麺(ミエン)」というのは、もともとは小麦粉のことを指します。日本でいうところの「麺」にあたるのは「麺条(ミエンテイアオ)」と呼ばれていました。
では、この餅がどのようにしてうどんに変化してくのでしょう?
中国最古の麺と呼ばれるものに「索餅(さくべい)」があります。索餅は小麦粉と米粉を混ぜて塩水で練り、太い縄状にねじった太い麺のことを指します。清の時代に書かれた書物に「索餅は水引餅(すいいんべい)のことである」と書かれています。
「水引餅」は、紐状にした麺を水につけてから人差し指と親指ではさみ、薄く手延べしたものをいいます。これをスープに入れてゆでて食べるんですね。これがうどんの先祖といわれています。
小麦が日本に伝わるのは弥生時代。中国大陸からさまざまな文明と共に小麦も日本に伝来します。その後日本でも「索餅」が作られるようになりました。奈良時代には、小麦粉の大量生産のために大型の回転式臼を使用していたといわれ、東大寺境内の古井戸からは臼の破片が発見されており、たくさんの「索餅」が作れていたようです。平安時代には、長寿祈願の食べものとして宮中でも供応されていたといわれています。
日本の歴史の中でうどんの誕生には諸説あります。
1つは、鎌倉時代の高僧で静岡茶の始祖と伝えられている聖一国師円爾が、1241年に宋より帰朝し製めん法などの文化や技術をもたらしたという説。円爾は宗国から仏書千余巻とともに茶の実を持ち帰り、生誕地である駿河国の地にそれを蒔いたと伝えられています。静岡がお茶で有名なのはここにルーツがあるんですね。また、うどんで有名な香川県では、弘法大師空海が唐の国からうどん作りに適した小麦と、製麺技術を伝えたという説もあります。
うどんが現在のようなかたちで食べられるようになったのは 室町時代といわれています。索餅が薄くのばし細く切ったものを「切り麦」と呼び、それが現代のうどんのルーツになりました。江戸時代に入り、様々な食文化が開花する中で、うどんも庶民の食べ物として親しまれるようになります。この頃に天ぷらうどん・鴨南蛮などの具をのせたうどんも登場しました。
もともと日本は東西どちらもうどんが中心だったものが、江戸時代になると東はそばが中心になります。これは関西が小麦の栽培に適した温暖な気候だったのに対し、関東は寒冷地に強いそばのほうが栽培しやすかったという理由があります。これが今でも東のそば、西のうどんと呼ばれるようになったんですね。
長い長い小麦の歴史の中から生み出されたうどん。
きっと日本の歴史的人物たちもうどんを楽しんだのでしょうね。
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