現代文化のルーツを探る③「包丁」
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現代文化のルーツ
料理に使う道具っていろいろありますね。鍋、フライパン、お玉、菜箸など、様々な道具を使って、私たちは日々料理をしています。その中でも必ずといっていいほど使うのが「包丁」。みなさんの家にも必ず1本くらいは包丁があるのではないでしょうか?
うちには、三徳包丁、出刃包丁、牛刀、ペティナイフ、パン切包丁があります。食材に合わせて調理しやすく作られている包丁を使うと、料理が楽しくなります。うちは日本とドイツの包丁を使っていますが、やはり日本の包丁は繊細で、技術力が高いなと思いますね。
さて、身近な道具であるこの包丁にはどんな歴史があるのでしょうか?
そのルーツを探ってみたいと思います。
包丁のルーツをたどっていくと、石器時代にまで遡ります。
石器時代に尖った石を使って食材を切ったり砕いたりしていたのが、包丁の最も古い形とも言われています。そこから時代は飛んで江戸時代。現在私たちが使っている包丁の形になるのはこの頃です。
日本の包丁として現存する最古の物は、正倉院に保存されています。
この包丁は刃がまっすぐで長く、日本刀のような形しているんです。江戸時代までは、この日本刀のような形状の包丁が使われていたそうです。
日本の戦国時代には、戦があれば刀工(日本刀を作る職人さんのことですね)が引っ張りだこでしたが、戦国時代の終わりとともに刀剣の大量生産も終わりを告げ、たくさんの刀工達が姿を消していきます。江戸時代に入り平穏な社会が確立されると、多くの刀工が、刀鍛冶から包丁等の打刃物へと活躍の場を移していくんですね。刀剣作りの伝統技術が、江戸時代中期になって包丁作りに活かされていきます。
この頃に現在の出刃包丁も誕生します。ところでこの「出刃包丁」ですが、なぜ出刃包丁と呼ぶかご存知ですか?包丁で有名な大阪の堺で、出っ歯の鍛冶職人が打ち出したから「出っ歯包丁」と呼ばれるようになって、そこから転じて今の「出刃包丁」(刃の方ですね)として広まっていったそうです。まさかのエピソードですよね(笑)
江戸時代に華開いた日本の包丁は、現代に入って世界中から高い評価を受けています。
日本以外の国にも包丁(ナイフでしょうかね)はありますが、日本の包丁とどう違うのでしょうか?
包丁をはじめとした刃物を製造するのに重要なのが燃料です。刃物は鉄製品なので、鉄を溶かして型に流し込むという作業が必要になります。この鉄を溶かす際の温度が、高温であればあるほど不純物がなくなるといいます。西洋では古くから石炭を蒸し焼きにして抽出した炭素の塊コークスがありました。コークスを使うと1,800度で鉄を溶かすことができるんですね。ですので鉄製品を作る際、鉄を溶かして型に流し込むだけでよかったんです。
でも江戸時代の日本には、コークスのように高温になる燃料がありませんでした。日本で作られる炭だと温度は1,200度くらいまでしか上がらないため、融点が1,500度強の鉄を完全には溶かせなかった。そこで考え出されたのが、叩いて鍛えるという技術。
みなさんも、鍛冶職人さんが赤く焼けた鉄を金槌で叩く姿をTVなどで見たことがありませんか?鉄を叩いて鍛えるたびに不純物が抜けていき、純度の高い刃物が作られるんですね。低温で半融解の鉄しか扱えなかった日本人の知恵が、結果的に世界に誇る刀工技術を生み出していくわけです。
日本刀をルーツに持つ包丁ですから、刃の鋭さ、切れ味、そして美しさは世界一といっていいでしょうね。
僕たちが今、食材に合わせて包丁を使い分けながら気持ちよく調理できるのは、先人たちの創意工夫のおかげですね。
さて、素晴らしい日本の包丁で、今日は何を作りますかね?
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