現代文化のルーツを探る②「漬物」
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現代文化のルーツ
皆さん漬物は好きですか?
僕は子どもの頃から漬物が大好きです。家でとれた野菜を使った浅漬けや糠漬けが、必ず食卓にのぼっていました。だから今でも食卓に漬物は欠かせない存在なんです。
一口に漬物といっても、いろいろなものがありますね。
北海道の松前漬け、岩手の金婚(きんこ)漬け、栃木のたまり漬け、長野の野沢菜漬け、静岡のわさび漬け、京都の千枚漬けやしば漬け、奈良の奈良漬けなどなど、日本全国で様々な漬物が食されています。各地の漬物を日替りで食べたいですね。
あ、そうそう、べったら漬けって東京発って知っていました?僕は最近知りました、、、。べったら漬けも大好きです。
多種多様な漬物がありますが、そもそも漬物とはどういう物を言うのでしょう?
漬物と言うと、肉の味噌漬けや魚の粕漬けなどもありますが、国の規定では主に野菜や果物、きのこ、海藻などを原料にしたものが漬物とされています。漬け込みに使われる調味料や漬け床によって塩漬けや味噌漬け、醤油漬け、糠漬けといった種類に分類されるんですね。
僕は糠漬けが大好きなんですが、漬物のあの独特の風味はどうやって出るのでしょうね?
そこで鍵になるのが「塩」。野菜を塩漬けにすると、浸透圧の働きで細胞から水分がしみ出て繊維がしんなりします。これが野菜が漬かった状態で、さらに野菜からしみ出た成分を栄養源にして乳酸菌などが発酵することで、あの独特の風味とうまみが出てくるんですね。
では、そろそろ漬物の歴史に触れていきたいと思います。
日本の歴史上の人物にも、漬物にまつわるエピソードを持つ人がたくさんいます。
例えば、徳川家康。
大阪夏の陣で、奈良の町医者だった糸屋宗仙という人物から献上された奈良漬けを食べた徳川家康は、江戸に戻ってからもその味が忘れられなくて、宗仙を奈良から呼び寄せて、奈良漬けつくりの幕府御用商人にさせたそうです。家康の奈良漬けへの情熱、すごいですね。
また、江戸時代の米沢藩主で、アメリカ大統領だったジョン・F・ケネディも尊敬していたという上杉鷹山にも漬物エピソードがあります。
上杉家では、「一切れ(人切れ)の心意気を忘れないことが功の者(香の物)につながる」ということで、年始の祝膳に大根漬けの厚切りを一切れつけるのが代々のならわしだったのです。ところがある年、新任の料理人がうっかり厚切りではなく薄切りの大根漬けを出してしまったんですね。これが家来たちの間で大問題になります。でもそのとき鷹山は「今は平穏な時代なのだから、人切れなど物騒なことは忘れて産業の振興に努めることが大切だ」と大騒ぎする家来を諭して、より人望を高めたと言われています。 さすがは鷹山ですね。
このように歴史上の人物たちも愛した漬物。
その歴史はあまりにも古すぎて明らかにはできないと言われていますが、海水に野菜類を漬けたものや、塩漬けなどはなんと縄文時代から食べていたとされています。ほんとに古すぎますね、、、。
漬物が日本の記録に現れるのは、奈良の長屋王(ながやのおう)の邸宅跡調査で発見された天平年間(729~749年)の木簡です。木簡は墨で木札に文字などを書いて、送り状や文書に使用したものですね。ここに瓜や茄子の粕漬け、瓜の醤油漬けのことが記載されています。
その後室町時代には「香の物」という言葉が使われるようになり、江戸時代になって糠漬けが登場します。僕の好きな糠漬けは江戸時代に生まれたんですね。先人たちの知恵と工夫に感謝です。
野菜を使った保存食として、時代を越えて受け継がれてきた漬物は、食物繊維やビタミン、ミネラルも摂取できる上に、乳酸菌による整腸作用も期待できる健康食品です。
漬物ってほんとに素晴らしいですね。今日もあったかご飯に美味しい漬物を乗せて頂きましょう!
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