電子化によって受け継がれる文学の財産
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本の電子化
出版社の倒産により失われる財産
欲しい本があるけど絶版になっている、品切れ重版未定で本屋さんに行っても注文ができない、そんな経験ありませんか?
本は絶版になってしまうと、書店での購入が困難になります。amazonで中古本を探すか、図書館の蔵書から見つけ出すしかなくなりますね。著者にとっても読者にとっても、本が絶版になってまうのはとても残念なこと。私たちは、絶版によって作品が入手困難になってしまった著者の方々から、たくさんの声を聴いてきました。
いまや日に300冊の新刊が発売されるという日本の出版市場。多くの作品は重版されることなく絶版への道を辿っていきます。さらに、止まることのない出版社の倒産。出版社が倒産した場合、版権を一部引き継いで、別の出版社が販売を続けていくという作品もあります。しかし殆どの作品は絶版となって、市場から完全に姿を消してしまいます。そういった作品の中には、ベストセラーになって大量に売れることはなくても、一部の読者に求められロングセラーを続けるものもあります。そういった作品が絶版になり、読者の目に触れなくなってしまうのは、とても勿体無いことです。そういった作品こそ、電子書籍として蘇らせて、いつでも読者の目に触れるようにしておきたいですよね。
オーストラリアで始まった財産の継承
オーストラリア・メルボルン大学の准教授レベッカ・ギブリン氏によると、オーストラリアで失われた文学の宝物を救うプロジェクトが進んでいます。
これはオーストラリアで始まった、絶版本の電子化プロジェクト“Untapped: the Australian Literary Heritage Project”というもので、ギブリン氏が率いる研究者チームと、オーストラリア作家協会、オーストラリアの公共図書館が連携して実施しています。図書館コレクションの専門家チームとの協力で、文化的に重要な絶版書をリスト化し、それらを電子書籍化して、販売や図書館でのデジタル貸出を行うというもの。
ただ絶版書を電子化するだけでなく、絶版書のためのマーケットを用意することで、作家の収入改善を図るプロジェクトであり、作家側は電子書籍の販売や貸出に伴う収益を受け取ることができます。記事によると、オーストラリアでは作家が執筆活動から得る収入は年々減少しており、最新の数字では一年当たり平均1万2,900オーストラリアドルの収入となっています。
また、電子書籍の売上額と図書館での貸出回数のデータを得られるようにプロジェクト設計を行われ、両者の関係の調査も目的の一つとなっています。図書館側では、貸出し対象となる絶版書の宣伝を行い、認知度向上を図ることとなっていて、プロジェクトを通じて、図書館による本の宣伝がもたらす経済的価値、図書館での貸出が電子書籍の売上額に及ぼす影響を測ることが可能になります。調査結果は出版社や図書館にフィードバックされ、オーストラリアの作家・文芸文化への支援方法に関する公共政策の議論に寄与したいとされています。
こういった取り組みが産官学が連携して進められるというのは、とても素晴らしいことですね。日本でもぜひ取り組んでいきたいものです。
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