定額読み放題が読み物の在り方を変えていく
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読み放題
雑誌は冬の時代が続く
最近コンビニの雑誌コーナーに行きましたか?
僕は昨日久しぶりに雑誌コーナーを眺めました。本当に久しぶりに。以前はコンビニに入るとまず雑誌コーナーからって時もあったけど、ここ数年はまったく立ち寄らない。目も向けない。必要な情報はスマホでアプリで取得出来てしまう。本と違ってセレンディピティも起こりにくい。
コンビニの雑誌・書籍棚にちょっとした変化が起きているようです。ファミリーマートは、「日常使いの商品に対するニーズが高まっていることから、調味料や加工食品などの売場を拡大し、一部の日用品の売場を雑誌売場に移動する」ということで、店舗レイアウトの見直しを進めているとのこと。その結果雑誌コーナーは縮小するんですね。そうだろうなぁと思います。
でもローソンは、2014年から書籍専用棚を設置する店舗を増やしているといいます。現在は約4800店舗で展開、コロナ禍の影響で文庫・書籍カテゴリーが好調のようです。さらにローソンは書店と併設した店舗を埼玉県、神奈川県、広島県で23店展開しています。書店併設の店舗では、文庫・書籍カテゴリー売上高が好調です。ローソンが書籍を強化してきた理由として、広報担当者曰く「街の書店が年々少なくなる中で、身近なコンビニで販売することでお客さんの利便性を向上させるため」と説明しています。
出版科学研究所(東京都新宿区)の調査によると、月刊誌・週刊誌の推定販売金額は、1997年をピークに22年連続マイナスという状況が続く。休刊点数が創刊点数を上回る“冬の時代”に突入している。この傾向はコンビニにも当てはまってくるわけです。一方、同研究所によると、書籍は雑誌と比較して減少幅は緩やかだという。シニア向けの生き方本や自己啓発書、ビジネス書などが堅調とのこと。書店が姿を消す中で、ローソンは手堅い需要をキャッチしているといえます。
業界最大手であるセブンイレブンの広報担当者によると、現時点で雑誌棚を減らす予定はなく、付録が充実している雑誌の強化に取り組んでいるといいます。出版科学研究所も、雑誌について「グッズ付録つき雑誌や人気アイドルが登場する号など、単号売れの傾向が顕著」と分析しており、出版業界のトレンドに沿った戦略を展開しているといいます。
定額読み放題が読み物の在り方を変えていく
amazonのkindle unlimitedが拡大する中で、Appleも読み放題サービスを開始しました。Appleの場合、本ではなく定額制による雑誌読み放題サービス。雑誌の読み放題というとdocomoのdマガジンがありますが、Appleのサービスの中には、新聞も含まれます。新聞社や雑誌を扱う出版社が軒並み売上を下げている中で、Appleのこのサービスが救世主になるかもしれませんね。利益はAppleと出版社(新聞社)で折半しているようです。ユーザーは月額を払えば最新号を好きなだけ読めるので、「中小出版社」と「ユーザー」にとってはメリットのあるサービスですね。しかしながら、大手出版社の場合は、他の中小出版社に売り上げの一部を持っていかれるイメージとなるので、あまりうま味はないのかもしれません。新聞社や雑誌出版社では、自社でもオリジナルアプリを出しているところもあるし、そうなるとAppleの読み放題に出す意味があるのか少々疑問です。
新聞も含まれるというのが、amazonの読み放題にはないポイントであるので、今後は専門紙やフリーペーパーなども扱うようになるのではないかと思います。いずれにしても定額読み放題サービスは、本、雑誌、新聞、冊子、カタログなど、ありとあらゆる読み物に拡大していくでしょう。紙の本を書店に流通させるということはなくならないでしょうが、販売と販促の方法はどんどん多様化していきますね。本を出すことに注力することはもちろん大事ですが、今後はどうやって出すのか、出した後どうするのかまで考えておく必要があります。
さて、今後店舗販売の雑誌はどうなるのか?
久々に眺めた雑誌コーナーでそんなことを考えました。
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