「これくらいなら大丈夫」では済まされない著作権侵害
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著作権
今月17日、漫画の電子書籍を無許可で複製したとして、輸入販売業の男が逮捕されたというニュースがありました。罪状は著作権法違反。家宅捜索したところ、押収されたパソコンのハードディスクから、電子書籍のデータが保存された約3千個のファイルが見つかり、今年1~7月までの間、オークションサイトには約350件が出品されていたとのこと。これとは別に出品中のものが約450件確認されていて、少なくとも2年ほど前から、複製と販売を繰り返していたとみられているようです。この人、警察に調べに対して、「買ったものを二次的に使用している感覚で、漫画に関しては問題ないと思い、続けていた」と供述しているといいます。
こういう感覚で著作権を侵害しているケースって多いですよね。YouTubeの動画投稿サイトを見ても、twitterなどを見ても、「それ著作権大丈夫?」というものが結構アップされています。これ、問題なのは悪気がないってこと。「これくらいは大丈夫だろう」じゃなくて、一切の罪悪感なしにやってしまっているってことが問題。デジタル化が進み、コンテンツの入手が以前よりもカンタンになって、さらにそれを投稿するプラットフォームの数が増加したことで、この著作権侵害問題は後を絶たない状態になっています。
海賊版サイトの横行
日本の著作権侵害問題で記憶に新しいのは「漫画村」。海賊版の漫画ビューアサイトで、違法コピーされた書籍をインターネットブラウザ上で誰でも無料で読むことができました。2018年2月、衆院予算委員会で著作権に関する違法性について取り上げられ、その後出版社をはじめ通信業者や政府なども巻き込み大きな話題となり、結果的に漫画村は消滅しましたね。
この著作権侵害の問題は海外でも数多く発生しています。
全米作家協会が、「インターネットで配布される書籍の違法コピーにより、出版社が失う売上は年間3億ドル(約326億円)に達している」と発表した。イギリス知的財産庁も、2017年に英国で消費された全ての電子書籍のうち、400万冊が違法コピーであったと述べています。
違法サイト運営者の主張は、その中には「ターゲットとするのはお金には不自由しない著名作家のタイトルのみ」だとか「ネット上で違法コピーを配信する行為は、書店の万引きと同程度の経済的被害を与えない。オンラインとリアルの世界は別だ」といったものもあります。電子書籍の違法コピーはここ数年で利用が広まり、世界の出版社は年間数億ドルに及ぶ被害を被っている。違法サイトが乱立する背景には、PDFなどのファイルが放置された海賊版サイトが開設され、誰でもアクセス可能な状態になっていることだと言われています。
海賊版サイトとは、著作権者に無断でコンテンツを違法アップロードしたファイル置き場の総称をいいます。コミックや雑誌などのサイトや、テレビの録画番組やDVDなどの動画系サイト、CDアルバムなどの音楽系サイトもある。海賊版サイトはアクセスするだけで読んだり見たりできてしまうため、ユーザーが増加し事態が深刻化しやすいんですね。「漫画村」はまさに日本の海賊版サイトでした。
著作権の種類
著作権の侵害は犯罪です。被害者である著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます(親告罪。一部を除く)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。また、法人などが著作権等(著作者人格権を除く)を侵害した場合は、3億円以下の罰金になるんですね。
さらに、私的使用目的であっても、無断でアップロードされていることを知っていて、かつダウンロードする著作物等が有償で提供・提示されていることを知っていた場合、そのサイトから自動公衆送信でデジタル録音・録画を行うと、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられます。この範疇を明確に理解しておらず、うっかり著作権を侵害してしまうケースも多いですね。
著作権法において「思想または感情を創作的に表現したものの内、文学・学術・美術・音楽の範囲に属する」著作物に対して発生する知的財産権、と定義されている。自分の考えや気持ちを作品として表現したものを「著作物」、著作物を創作した人を「著作者」、著作者に対して法律によって与えられる権利のことを「著作権」と言います。
本を出版すると、その本が著作物となり、その本を書いた著者に著作権が設定されます。これは紙の本でも、電子書籍でも一緒。そして著作権は、「著作者人格権」と「著作権(財産権)」の2種類に分かれる。著作者人格権というのは、著作者が制作した著作物に関わる人格的な利益を保護することを目的とする権利の総称。小説・映画・音楽などを代表する著作物には、著作者の考えや主張が強く反映されているため、第三者が著作物を誤ったかたちで利用することを防止するために、著作者人格権が設けられています。著作者人格権は「一身専属権」といって、著作者のみが所持する権利で、譲渡や相続が不可能となっています。そのため、著作者が亡くなると一定の範囲を除いて、権利が消滅するんですね。
それに対して、財産権は特許権などと同様の知的財産権のひとつで、著作物の全てまたはその一部を譲渡や相続することが可能。財産権の譲渡、相続を行った場合、著作権の権利者は、著作者本人から著作権を新しく取得した人となります。
著作権の存続期間
著作権の存続期間は、著作者が著作物を創作してから著作者の死後50年間まで。著作者が変名・無名または団体名義の場合は公表後50年間が存続期間となります。著作物の種類と保護期間は以下の通り。
■実名(周知の変名を含む)の著作物 … 死後50年
■無名・変名の著作物 … 公表後50年(死後50年経過が明らかであれば、そのときまで)
■団体名義の著作物 … 公表後50年(創作後50年以内に公表されなければ、創作後50年)
■映画の著作物 … 公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)
日本以外の国で保護期間が死後50年の国は、カナダ、ニュージーランド、中国などがあります。ちなみにその他の国ですと、書籍に関して言えば、基本的には著作者の没後50年が経過しないと、第三者が利用することはできません。
こういった著作権のことを知らずに、ネット上のデータをダウンロードし、違法アップロードをすると、著作権を侵害したということで訴えられる可能性があります。デジタル化がますます進む昨今、うっかり著作権を侵害しないように気をつけましょう。
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