コロナ禍で変わる図書館事情
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電子図書館
各地で広まる電子図書館
コロナ禍は第三波を迎えたと言われていますね。
僕の住む地域でも感染者が少しずつ増えています。第三波というか、ずっと継続して感染は拡大していて、ウイルスが新しく変異してきているのではないかと思うのですが。これからも引き続き予防策を徹底していく必要がありますね。
そんな状況下で、現在電子図書館がどんどん広がっています。対策はいろいろされているとはいえ、図書館は長時間密閉空間にいることになるので、ちょっと怖いという人もいるでしょう。コロナ禍がなくても、そもそも図書館に出かけていくのが困難という人も多かったと思います。電子図書館の導入が増えることで、本へのアクセスがしやすくなりますね。電子図書館は自身のパソコンやスマートフォンなど、インターネットのアクセス環境があれば24時間365日無料で利用可能。感染対策ばかりでなく、図書の破損がない、図書室に訪れることが困難な人も利用できるなどのメリットから、近年注目されています。
埼玉県内では電子図書館が広がっていますね。
埼玉県では現在9市町が電子図書館を開設。2020年には鶴ケ島と草加、久喜の3市が新たに導入を開始しました。外出を控えたい高齢者から電子書籍の使い方に関する相談が寄せられているとのこと。また、電子機器に慣れた若年層の関心も高いといいます。草加市立中央図書館ははサービスを2020年2月に開始し、現在1700点近くの電子書籍があり、電子書籍の利用は1カ月あたり1000~1500件と安定して推移しているといいます。2020年3月に電子図書館を始めた久喜市立中央図書館では、「紙の本と電子書籍の利点をうまく組み合わせれば、図書館の利用拡大に十分つながる」とみています。
鶴ケ島市立図書館は電子図書館の運用を2020年10月に始めた。まずは小説や実用書など約600点を導入。現状を見て21年4月のサービス開始予定を半年間前倒ししたといいます。
さいたま市立中央図書館は、約1万点の蔵書を擁する電子図書館。電子書籍の貸出数は2020年2月が3400件に対し、4月は1万3600件に急増。「コロナ禍の影響で電子書籍はかなり広まった。今後は高齢者や障害者が利用しやすい環境を整えることが重要だ」と担当は語ります。
出版界で問われるデジタル化問題
埼玉県以外でも電子図書館が続々と導入され始めていますよ。
沖縄県南風原町は10月29日から、電子図書の貸し出しを開始。町内在住、在勤者であれば、パソコンやスマートフォンなどを使って24時間いつでも電子図書を借りることができます。現在は児童書や町史など1005冊が貸し出し可能となっていて、そのうち約200冊は音声読み上げ機能も付いているとのこと。文字の拡大も可能で、まだ字を読むことができない子どもや、高齢者、身体障がい者の人たちにとっても利便性が高まっています。
奈良市立図書館は10月30日から電子図書館を開設しました。従来の貸出券の利用者番号で利用でき、最大5冊まで最長2週間借りることができます。当初は小説や絵本など約1800タイトルからスタート。順次増やしていくということです。神奈川県の山北町生涯学習センター図書室では、11月1日から電子図書館がスタートしました。
さて、いまやトレンド化している電子図書館ですが、ここで問題になってくるのが作品の数。紙の本と比較するとまだまだその割合は数パーセント程度です。今後ますますデジタル化が進む中で重要なことは、出版社が既刊本をどれだけ電子化できるかということ。しかしながらここはとても腰が重いのが現状です。費用面はさることながら、著作権の問題も大きい。過去の作品の場合、著者がすでに亡くなっているケースもあり、著作権がどのような扱いになっているかを辿っていく必要があったりします。その時間と手間が、出版社の腰を重くしているというケースもあるのですね。ここは出版社、著者、そして僕たちのような第三者が一体となって、作品を永続的に残す策を講じる必要がありますね。
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