デジタル化で児童書人気がさらに爆発する中国
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電子書籍
中国での児童書人気が拡大
中国の出版研究機関、全民閲読・融媒体智庫と中国新聞出版伝媒集団、中国全民閲読媒体連盟が、研究リポート「全民閲読の視点による子どもの読書観察」を発表しました。中国の児童書出版や読書分野は活況で、大きな潜在力を秘めていると指摘しています。2018年の児童書出版点数は44,000点を突破。世界の首位に立ち、児童書出版は中国出版業の成長をけん引する力になっているんですね。リポートによると、児童書出版社は全国で550社を上回り、児童書の印刷部数は8億冊余り、販売中の作品は30万点余り、売上高は200億元(1元=約15円)に達しています。児童書出版業の年間生産額は20年連続で2桁成長を記録しています。
中国の児童書の定価総額が図書市場全体に占める割合は、2018年に25・19%に上昇。紙の本のほか、児童向け音声書籍、オーディオ・ビデオブックなどの成長が著しく、児童向けのこういった製品市場規模は78億3千万元に達すると見込まれています。破格の数字ですね、、、。
中国での絵本販売と言えば、日本の出版社だとポプラ社さんでしょう。2003年に外資企業の小売・卸が解禁されると、ポプラ社は2004年に現地法人「北京蒲蒲蘭文化発展有限公司」(蒲蒲蘭(ププラン))を設立。2005年には中国初の絵本専門書店を開き、絵本の普及を進めました。『くまくんのあかちゃんえほん』シリーズは、累計販売数が約1000万冊の大ヒット作品となっています。
中国唯一の図書データ資料「中国開巻市場調査研究報告」によると、2019年度の中国の図書売り上げは894億元(約1兆3700億円)。なかでも児童書は全体の25%(3425億円)を占め、2017年ごろから出版市場の最大シェアを誇るまでに急拡大した。今や日本の約4倍の規模。
デジタル化が急進する中国
中国では、書店での新書発表会や文化サロンを通して著者と読者との距離がとても近く、ライブ感があふれているといいます。しかしながら、コロナ禍の影響で全国的に外出規制を徹底したために、1月から2月の期間中、9割のリアル書店が臨時休業を余儀なくされ、売上総額は前年同期比37%と激減しました(中国出版伝媒商報より)。出版活動では、編集や校正部門はテレワークによって直接の影響は低かったものの、営業販売や印刷製本や物流部門では業務が停滞しました。その一方で、デジタルコンテンツへのアクセスが激増。ネットでの販売やSNSを使った営業宣伝活動が活発となり、電子書籍やオーディオブック、動画映像などが好調に転じました(新京報書評周刊より)。
北京大学・馬場公彦氏のレポートによると、中国においてオーディオブックが急速に普及しており、読書時間の占有率においてオーディオは紙本に迫り、読書回数においては紙本をしのぐ勢いとのこと。中国では日本と比べて読者層が若く、中国のコア読者は80後、90後と言われる、1980年代・1990年代生まれの30-40代。その若者はもとより、中国全体で情報デバイスとして、いまやPCからスマホへの切替えがなされ、4Gから5Gへの移動通信の技術発展と普及に伴い、すべての情報の授受と商品の売買及び決済がワンストップでスマホで完結しています。
書籍に関してもネットサイトが林立しています。当当(ダンダン)・京東(チンドン)・淘宝(タオバオ)の図書部門三大大手、さらに動画アプリとして微博ウェイボー(Weibo)・微信ウェイシン(WeChat)・哔哩哔哩ビリビリ(bilibili)・爱奇艺アイチーイー(iQIYI)・抖音ドウイン(douyin)・快手クアイショウ(Kwai)・澎拜ポンバイなどがあえいます。これらのサイトでは商品説明やレビューだけでなく、それぞれのサイトで公式IDを持つ版元が制作あるいは制作依頼したプロモーションのための「視頻シーピン(ビデオ)」や「音頻インピン(オーディオ)」による書籍広告が「直播ジーボー(ネットライブ)」で流され、直播の末尾には書籍の二維碼アーウェイマ(QRコード)が印刷されていて、書籍のネット購入へのサイトの入り口ともなっているのです。
活発化するオーディオブック配信
オーディオブックのオリジナルコンテンツの制作・配信も活発で、主なサイトでは得到(ドゥーダオ)と喜馬拉雅(シマラヤ)があります。喜馬拉雅は日本でもシマラヤジャパンとオトバンク社が業務提携契約をしています。得到はテキストやレクチャーをじっくり聞かせ、アカデミックなコンテンツを揃えている一方、喜馬拉雅は同じコンテンツでも効果音やBGMをふんだんに取り入れ、児童書やライトノベルなどのコンテンツが多く、娯楽的要素が強い。
中国での電子書籍特にオーディオブックの拡大は、市場における児童書人気の高さと、作品を読む・聴くことができるプラットフォームの開発スピードの早さ、そして生活全体がデジタライズされた環境がもたらしていると言えるでしょうね。アメリカではオーディオブックの自作ができるプラットフォームが無料で使用できます。日本でもオーディオブックの取次が始まりました。近い将来、中国のようなオーディオブック文化が日本にも定着する日が来そうですね。
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