2019年度電子書籍の市場規模は3,400億円超えに
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電子書籍
インプレス総合研究所が「電子書籍ビジネス調査報告書2020」を発表しました。
2019年度の電子書籍の市場規模、マンガアプリの広告市場規模、事業者の動向、ユーザーの利用状況などを調査し、業界構造・ビジネス構造を分析しています。
電子書籍市場は前年度比22.9%アップ
2019年度の「電子書籍の市場規模」は3,473億円、2018年度の2,826億円から647億円(22.9%)増と推計されました。「漫画村」など海賊版サイトが社会問題になりましたが、2017年~2018年に相次いで閉鎖されたことで、正規サイトの利用促進が続いている状況。今後は順調に拡大傾向が続き、2024年度には5,669億円程度になると予測されています。
強いコミック 文字ものも順調に増加
電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は3,750億円へ。2020年度以降の電子出版市場は今後も拡大傾向で、2024年度には2019年度の1.5倍の5,669億円程度になると予測されています。いよいよ本格的に電子市場が拡大を始めましたね。
2019年度の電子書籍市場規模のうち、ジャンルで見るとコミックが前年度から602億円増加の2,989億円(市場シェア86.1%)、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同45億円増加の484億円(同13.9%)となっており、やはりコミックの強さが目立ちます。電子書籍に関連するものとしては、無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用が拡大しています。2019年度のマンガアプリ広告市場規模は210億円。動画リワード広告と読了後に表示する静止画・動画広告、オファーウォールが主流となっています。2020年度は1.3倍の270億円程度に達する見込み。
有料でも電子版を読む人が増加中
モバイル(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対して調査した、電子書籍の利用率(電子雑誌利用も含む)では、有料の電子書籍利用率は20.0%となり、昨年から0.2ポイント増加。一方、「無料の電子書籍のみを利用している」は24.7%と、昨年比で0.8ポイント増加しています。有料でも電子書籍を利用するというユーザーが増加傾向にあるんですね。
有料電子書籍の利用率が高いのは、男性30代の27.2%、男性20代の25.2%、女性30代の23.6%、男性40代の22.6%の順で、男女とも30代が最も高い結果に。無料の電子書籍のみの利用率が最も高いのは女性10代の38.9%で、男性10代の30.8%、女性20代の29.2%、男性20代の28.2%と続いています。男女とも10代が最も高い比率であり、高年代になるほど低下。性年代別の利用率を昨年度と比較すると、ほとんどの年代で昨年調査時よりも有料での利用率が増加しています。
人気の電子書籍サービスは?
有料、無料を問わずに電子書籍を利用していると回答した人に、利用している電子書籍サービスやアプリを聞いたところ、「Kindleストア」が26.2%で最も高く、2位は「LINEマンガ」が25.0%、3位は「ピッコマ」が15.1%、4位は「少年ジャンプ+」が14.4%、5位は「楽天Kobo電子書籍ストア」が13.6%と続いています。電子書籍ストアやマンガアプリが混在し、定額制読み放題サービスや投稿サイトもランクインしていますね。
まだまだコミック系が大半を占める電子書籍の利用状況ですが、コロナ禍の影響もありユーザーの年齢層もジャンルも徐々に広がりを見せています。米国や中国で拡大しているオーディオブックも、日本での人気が高まっていますね。Amazon社のKindleであれば電子版だけでなく、一冊から注文できて注文後に印刷製本され1〜2日で紙の本が手元に届く、プリント・オン・デマンド(POD)のサービスも利用できます。今後は紙の本を数千冊印刷製本し書店流通するという方法から、電子+PODにシフトする著者も増えてくるのではないでしょうか。在庫を一冊も持たない新しい出版の形が、主流になる日も近そうですね。
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