本格サブスク時代の到来 出版業界の進む道は?
スウェーデンの自動車メーカーボルボ。ボルボといえば「安全」とイメージする人も多いのではないでしょうか?
「ボルボ設計の基本は常に安全でなければならない」という理念の基、安全装備の開発、事故調査の実施と設計へのフィードバックを行う企業方針と、北欧メーカーであるためヘラジカとの衝突を開発段階から考慮していることから、「世界一安全なファミリーカー」と評価されています。
本格化する5Gとサブスクサービス
そんなボルボが2017年から取り入れているサービスが「スマボ」スマボとは、スマートにボルボに乗れる「おまとめ定額プラン」のことで、スマートフォンのように2年または3年で乗り換えができ、支払いは毎月定額という、まさに車のサブスクリプション(サブスク)。最新の安全性能と機能を備えたボルボに乗り換えていくことができる上に、登録時の諸費用や毎年の自動車税、メンテナンス費、さらに怪我による入院補償や手術補償もついている。2020年はサブスク元年とも言われていますが、車のサブスク時代も本格化しそうですね。
5Gの普及でインターネット環境が超高速、低遅延となり、IoTが拡大することで、サブスクリプションサービスはあらゆる分野に広がっていくでしょう。ネットとスマホがあれば、様々なサービスをオンラインで受けることが可能になります。音楽や映画、セミナー、eラーニングなど、現在でも利用できるサービスの他にも、VRのディスプレイを合わせることで、臨場感のあるスポーツ観戦などいながらにして参加できるイベントなどもどんどん増えてくると予想できます。
若者の車離れなどが叫ばれていますが、こういったサブスクやVRなどのサービスが誕生する昨今、所有することの意味はどんどん薄れ、所有欲が低下するのもわかる気がします。それこそ、いまの若者と呼ばれる世代が、所有はコスパが悪いと思っても致し方ない状況でしょう。
サブスク時代の出版業界が進む道は?
国立青少年教育振興機構が、全国の20~60代の男女5000人を対象に行った調査によると、1カ月の間にまったく紙の本を読まなかった人は全年代合計で49.8%、2013年に行われた同様の調査では28.1%で、紙の本を読まない人が大幅に増えたということになります。まったく本を読まない人の増加率でいうと20代がもっとも大きく、そのため一部メディアで「若者の本離れ」が報じられるようになりました。
先に書いた、サブスクやストリーミングによる所有しない読書方法も理由の1つにあると思う。一方で、日本のマクロ経済的な要因を挙げる声をあります。
過去20年間、日本のGDPはほぼ横ばいで推移しており、同期間でGDPの規模を1.5倍から2倍に拡大させた諸外国に大きく水をあけられている状況。それに伴って1人あたりのGDPも大きく差が出ている。1人あたりのGDPが、その国の平均賃金に近いと考えると、相対的に見て日本人の購買力はこの20年間で3分の2から半分に低下したことになるということです。
物価が上昇する中、賃金が下がっているので、消費者の購買力は低下した結果、緊急性の低い支出から削られるという状況に陥ります。
サブスクやシェアビジネスが日常化され、「所有」よりも必要なものや情報を「活用」することがデフォルトとなっている世代では、緊急性の低いものは極力買わないか、無料で得ることを考えるでしょう。本で言えば、完全に無料というわけではないにしても、アマゾンプライム会員になっていれば実質無料で読み放題というサービスも受けられます。また図書館(電子も含む)で借りて読むことだってできるわけです。
続く経済の低迷と新しいサービスのカタチが拡大する中で、出版業界は大きな転換期を迎えていますね。
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