取次会社が破産申請 変化が求められる業界
出版取次が破産申請
雑誌や書籍の取次を手掛けていた、日本雑誌販売株式会社が7月31日、東京地裁に破産を申請した。
負債総額は約5億円。全国の書店やゲームショップ、インターネットカフェなどに販路を形成し、一時は1,000社を超える取引実績を有していた。
ピーク時の1993年4月期の売上高は、59億631万円。以降は取引書店の廃業や、出版不況による扱い量の減少から業績不振に陥り、2018年4月期は売上高約22億3,000万円に止まり、赤字を計上していた。取次大手の株式会社トーハンから、雑誌配送業務の委託などによる業務上の支援を受けていたが、取引書店の廃業などから約500店舗まで取引社数が減少。事業継続が困難となり6月6日、破産手続きを弁護士に一任していたという。帳合先の書店から返本処理を進めたほか、資産の売却などを経て今回の措置となった。
ここ数年で出版業界、特に取次会社の近辺が騒がしくなっている。取次会社と言えば、日本の出版市場における中核を担う業態で、出版社かから仕入れた書籍を各地の書店へ配本している。日本の出版市場ではここを通さないと書店に流通させるのは難しい。そんな取次会社がまた1つ姿を消すことになった。
取次会社の動きについては、過去の記事も参考にして頂きたい。
出版業界の持続可能性
http://www.g-rexjapan.co.jp/omoikaneproject/wp-admin/post.php?post=4965&action=edit
出版取次大手が協業 出版業界の再販制度はどうなっていくのか?
http://www.g-rexjapan.co.jp/omoikaneproject/wp-admin/post.php?post=4850&action=edit
消費者に合わせて変革すべき時がきている
経営の中のことは外部の人間には分かりかねるが、要因は色々あるだろう。よく言われる出版不況、活字離れも当然影響していると思う。では、出版が不況に陥り、消費者が活字から離れていっているのはなぜなのか?そこには、急激なライフスタイルの変化があるだろう。
「最近の若者は長い文章が読めなくなった」という声をよく聞く。では、最近の若者とは何歳から何歳までなのか?10代だろうか?20代だろうか?僕はどう考えても最近の若者ではない40代だが、長い文章は読めなくなっている。厳密に言えば、読もうと思えば読めるが、なんせ時間が取れない。仕事のほか自治会の奉仕作業、子どもの学校行事、部活の送迎、炊事洗濯、農作業などなど、休日といえど何か役割がある。そして、隙間時間や電車移動の際はSNSやニュースアプリなどに目を通している。削れるとしたら睡眠時間しかないほど、時間が足りない。スマートフォンの隆盛により、現代人はこれまでも時間がなかったのに、さらに時間を侵食されている。とにかく本を読むことが好き!という読書家を除いて、読書の時間を確保するのは至難の業なのではないだろうか?最近の若者ではない40代以上の皆さん、いかがだろうか?
本というコンテンツが、情報収集の方法や趣味の大半を占めていた時代から、人々のライフスタイルはデジタル化へ大きくシフトした。全国民の6割ほどがスマートフォンを保有し、20〜30代にあっては9割近い人がスマートフォンを利用している。本を読む時間もなければ、ある意味で読む必要もなくなっているとも言える。そんな時代において、長い文章の本は当然読むことは難しいし、本を読むこと自体困難だろう。
このライフスタイルの変化に合わせて、出版業界も変化する必要があるのではないかと思う。紙の本はまだまだなくなることはない。デジタル化が進んでいるからといって、すべてが電子書籍になるのはあと何年先になるか予想もつかない。しかしながら、読者の読書環境や、読書に対する考え方、本そのものに求めることは、明らかに変わっている。出版社、取次、書店それぞれが変化するのもいいが、いよいよ業界全体が変革を求められているのではないかと思う。
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