デジタルファースト法で進む電子化
行政手続きを電子申請に
先月24日、行政手続きを原則として電子申請に統一するデジタルファースト法が参院本会議で可決、成立した。2019年度から順次実施され、引っ越しや相続などの手続きもインターネット上で完結できるようになる。個人は申請書類を書いて役所に持参する手間が省け、行政機関にとっては情報の照合や入力するための作業が減る。利用者の利便性を高めるとともに、行政の効率化にもつながると期待されている。
法案では、マイナンバー法と公的個人認証法、住民基本台帳法なども一括改正する。
①手続きをITで処理する「デジタルファースト」
②同一の情報提供は求めない「ワンスオンリー」
③手続きを一度に済ます「ワンストップ」
の3つの原則を柱とする。
行政手続きの電子化には欠かせないマイナンバーカードについては、紙の通知カードは廃止となり、ICチップの付いたマイナンバーカードの普及を進めるという。現在普及率が全体の約1割にとどまるマイナンバーカードだが、引っ越しをする際、ネットで住民票の移転手続きの準備をすると、その情報を基に電気やガス、水道の契約変更もできるようにしたり、相続や死亡の申請もネットで完結できるようにしたりといったことで、さらなる普及を目論んでいる。20年度からは、登記事項証明書の添付の手間をなくし、ネットで申請できるようにするなど法人設立の負担も軽くする。
普及を期待する図書館の電子化
キャッシュレスが日常化しているスウェーデンでは、既に引っ越し手続きをネットで一括で済ませることができる。また、アメリカでは社会保障や税務の多くの手続きが電子化されている。バルト三国の一つエストニアでは電子政府が実現されており、官民あわせて2,500以上の電子サービスがあり、国民のための電子サービスは500以上あるという。法人の設立もネット上で簡単にできる。世界各国から見て、電子化が遅れている日本の行政手続きだが、今回の法案で今後少しずつ進んでいくのだろうか。
行政手続の電子化と合わせて、個人的に電子化が進むことを期待するのが図書館だ。公共図書館における電子書籍サービスの導入率を、日本とアメリカで比較すると大きな差がある。日本ではまだまだ5%以下の導入率であるのに対し、アメリカは約95%となっている。電子図書館を展開するOverDrive社のシステムが、北米の90%以上の公共図書館に導入されていて、導入館数は年々増え続けているという。
日本でも電子図書館の数は年々少しずつ増えてきており、(一社)電子出版制作・流通協議会の調べでは、2019年01月01日現在の電子図書館(電子書籍貸出サービス)実施数は86自治体、電子図書館の数は83館となっている。コンテンツ数はまだまだ紙の比ではないが、スマートフォンの利用者数増や本の電子化が進む中で、今後はどんどん電子版のコンテンツが増えていくだろう。夜帰りが遅いサラリーマンや、子育て中で外出が困難な人、交通手段がなく図書館へ赴けない高齢者の方、小中学生など、様々な利用者が想定される。様々な手続きが電子化される中で、本の電子化と電子図書館の普及も期待したいところだ。
既刊本、絶版本を電子化でよみがえらせませんか?
http://www.g-rexjapan.co.jp/omoikaneproject/computerization/
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