Kindleがマンガ界を変える
今年もコンテンツ東京2019が、東京ビックサイトで開催された。様々なコンテンツ制作や配信システムが展示され、新しいマーケティングや広告の仕組みが発表されていた。その中で、今回も約600人のクリエイターが一堂に会したクリエイターEXPOのブースを訪れてみた。いつもながらイラストレーターの方の参加が多かったが、今回は出版企画やプロモーションを行う方とも出会うことができた。本は販促が難しいコンテンツであるが、デジタル化されることで、ウェブやSNSとの連携がしやすくなり、販促の方法も大幅に増えることになる。個人的にとても有意義な出会いができた。クリエイターの中には漫画家の方たちも並んでおり、眺めてみると実に面白い作品が多かった。しかしながら、大手出版社からの出版はなかなか叶わないといった声も聞かれた。
現在アマゾンではKindleインディーズマンガというサービスが展開されている。文字通りインディーズのマンガをKindleストアで公開できるサービスだ。以前も記事で書いた内容だが、再度ここで紹介したいと思う。
マンガ界を変えるサービスが進む
アマゾンのKindleが登場してから、著名な漫画家だけでなくインディーズの漫画家や漫画家のタマゴの人たちも作品が出しやすくなった。それは漫画家に限らず、ビジネス書や文芸の作家も同様だろう。アマゾンジャパン合同会社が11月15日、Kindleストアで無料マンガをセルフ出版できる「Kindleインディーズマンガ(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/manga)」の実績を公表した。
Kindleインディーズマンガは、2018年7月5日に開始したサービスで、常時無料に設定する機能は提供されていない「Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)」で、唯一常時無料公開が可能になっている。サービス開始から1カ月で数十万回以上ダウンロードされ、100万ページ以上読まれたそうだ。アマゾンジャパンは、有名作品を含むKindleストアの無料マンガダウンロード数トップ100のうち、25作品がインディーズ作品だったと発表した。良質なコンテンツを獲得するため、作品の人気度に応じて作家に分配金を支払う「インディーズ無料マンガ基金」が設立されていて、これまで100万円超の分配を受け取った作家が複数名いて、10万円超の分配金を受け取っている作家は30人以上いるという。
アマゾンがマンガ家を育てる!?
アマゾンジャパンはこの「Kindleインディーズマンガ」開始時のプレスリリースで、「新進気鋭のマンガ作家の発掘と育成とともに」と、「発掘」だけでなく「育成」もうたっていた。アメリカではアマゾン自身の書籍出版部門「Amazon Publishing」が展開されている。おそらくは日本でも編集機能が提供される日がくるだろうと予測する。
アマゾン社はKindleによる様々なサービスを展開しており、間違いなく本に関して世界一のプラットフォームであろう。日本の出版界はKindleでの販売、いや本の電子化に積極的ではないが、潮流は確実にKindleに向かっている。著者のため、読者のため、出版界のことを考えれば、今はこの流れに乗っておく方が賢明だと思う。打倒アマゾンで頑張っている人たちもいるが、簡単に倒せる相手ではないことが明確になってきた。日本の出版関係者が束になってかかっていったところで、ピクリとも動かないだろう。
出版不況と言われているが、毎日約200冊の本が出版され書店に運ばれる。書店員の皆さんは新刊と旧作の入れ替えだけで手一杯という状況だ。本当に不況なのか?売り方と広め方、ゴールの設定が旧態依然なだけな気がしてならない。今や著者も読者もKindleの存在とその凄さに気付き始めている昨今、がんじがらめの旧体制から脱したところが、次のチャンスを掴むだろう。
アマゾンKindleを活用した実践マーケティング
http://www.g-rexjapan.co.jp/ishikawahironobu/koikyakuippan
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