出版の費用について①商業出版
商業出版は費用がかかる?
最近出版の費用についてよく質問を頂くので、以前の記事の内容も含めて改めてまとめてみたいと思う。
タレントや芸能人が本を出版し、優雅な印税生活などと揶揄されている場面を見たことがある方も多いだろう。これはよく言われる「商業出版」であり、出版することで著者が印税をもらえる出版形態のことを言う。しかしながら、たとえ商業出版といえ印税で生活ができるほど儲かる人は、数十万部を売る一部のタレントや、世界的に有名な作家などほんの一部だ。
出版社から商業出版し本が売れると、印税が支払われる。出版社の規模などによるが、著者が受け取る印税は本の小売希望価格の6%から8%が多い。10%までいけばいい方だ。初版が5%で重版となった所謂二刷から10%になるといった設定もある。印税が支払われるのは、まず初版の印刷部数に対してであり、現在の業界における初版は4,000~5,000部と言われている。定価1,000円の本を5,000部出版したとしよう。印税が6%とすると、初版を全て売り切ったとして、著者への印税は300,000円だ。この段階で「優雅な印税生活」というのは考えにくい。また印税の支払いは、出版社によつが概ね発売後6カ月後からの支払いだったり、初版発行時と数カ月後に半金ずつといった取り決めのところもある。近年の刷り数は減少しており、初版印刷部数は2020年には3,000部を下回るとも言われている。
商業出版は、出版社が著者に300~1,000万円を投資する「投資ビジネス」だ。例えば、1冊1,400円の本を出版しようとすると、原価はざっくりだが約700円。700円 × 初版5,000部とすると350万円の原価がかかる。当然だが、費用回収が出来るような「売れそうな本」を作ろうとするだろう。
商業出版における費用負担のケース
商業出版であれば、基本的には著者が費用を出すことはないと思われているが、実は費用を捻出しているケースが多い。出版社は本を作るのが仕事であって、本を売るのは書店の役割だ。とはいえ、書店があなたの本を積極的に広告宣伝してくれるわけではない(世界的に有名な作家さんなら別だが)。出版社も自社のSNSなどで情報発信するが、大々的な広告を打てる予算はない。(大手の出版社で例外もあるが)そこで、例えば新聞広告の新刊紹介欄に広告を打ったり、web広告を配信する予算を著者に賄ってもらうことになる。当然著者は自分の本が売れてほしいので、広告宣伝をお願いすることになる。
さらに、書店に流通された本が売れなかった場合、数週間~1ヶ月は在庫として残るが、それ以降は書店から取次を通して出版社に返品される。出版社もしばらくは在庫を抱えるものの、数ヶ月もすれば廃棄の対象となる。その際に、著者へ廃棄処分にするけど買い取りませんか?といった連絡が来るわけだが、著者としては大事な自分の作品を廃棄されるくらいなら、、、と買い取りに応じるわけだ。そんなこんなで商業出版であっても、著者が費用を出すケースは少なくない。ここは注意した方がいいだろう。
では、自費出版はどうなのか?
次回まとめてみたい。
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