世界と日本の架け橋ブック「TSUNAGU スロベニア×日本」
豊かな自然と美しい街並み、著名な詩人や芸術家を生んでいる、ワインのとても美味しい国。そう聞いてどこの国を思い浮かべるだろう?
歴史的に見ると、ローマ帝国や神聖ローマ帝国、続いてオーストリア=ハンガリー帝国に支配を受け、1918年にはスロベニア人・クロアチア人・セルビア人国を樹立し、後にユーゴスラビアとなった。第二次世界大戦中はナチス・ドイツやイタリア王国、クロアチア独立国、ハンガリー王国に占領や併合された。戦後新たに樹立したユーゴスラビア社会主義連邦共和国の一つとなり、1991年6月に複数政党制の間接民主制を導入し、ユーゴスラビアから独立した国、スロベニア共和国。
スロベニアと聞いて、その位置を正確に答えられる日本人はあまり多くないと思う。スロベニアは、北はオーストリア、南や南東はクロアチア、北東でハンガリーとそれぞれ国境を接しており、中央ヨーロッパに位置する森林に覆われた自然豊かな国である。
そんなスロベニアから、日本というアジアの東端の国に興味を抱き、留学生として学びに来たNina Habjan(ニーナ・ハビャン)さん。スロベニアの首都リュブリャナ出身のNinaさんは現在、東京大学人文社会系研究科欧米系文化研究専攻現代文芸論研究室に在学し、安部公房とフランツ・カフカの比較研究を行っている。Ninaさんとの出会いは2018年6月。同じく東京大学の留学生ポーランド出身のJulia Prajsnarさんからの紹介でお会いした。
電子書籍による出版事業を行う僕たちが、世界と日本の相互理解を深めるために企画した「世界と日本の架け橋ブックプロジェクト」その企画を伝え、一緒に本づくりをしてもらいたいと話すための面会だった。論文で慣れているとはいえ、本を書くというのはまた違った能力が必要だ。母国語のスロベニア語だけでも骨が折れると思うが、僕たちがお願いしたのは、母国語、日本語、英語の3ヶ国語。躊躇されるかとも思ったが、彼女は躊躇いなく二つ返事でOKだった。東大で現代文芸論の研究室に在籍しているだけはあるなぁと、感心した。最初に日本語で書かれた原稿を見せてもらったが、その日本語力に改めて驚いた。そして文章力と表現力にも度肝を抜かれた。
さらにその内容も、スロベニアの偉人たちについて自分のエピソードも交えながら詳しく紹介されており、スロベニアに息づく詩や文学、そして芸術、建築、現代メディア論などを垣間見ることができる。そしてスロベニアの自然豊かなおすすめのスポットや、美しい街並みや建築物を案内する章では、すぐにでもそこを訪れたくなる。さらに自分自身の日本や日本人との関わり、またスロベニアと日本の国同士の繋がりなど、僕たち日本人が知らないスロベニア×日本を教えてくれている。
正直、ここまで素晴らしい作品ができるとは予想しなかった。
この素晴らしい作品が出来た裏には、多くの仲間が関わってくれている。偉人たちのイラストを描いてくれたゴ・ディメツ・コマルさん、翻訳の協力をしてくれたポロナ・ルドルフさん、ヴラディミル・ハビャンさん、美しい写真を提供してくれたペトラ・プラポロトニックさん、そして表紙の「TSUNAGU」という題字を書いてくれた書家の大江静芳さん。皆さんの協力があってこそ生み出された作品だ。皆さんに心から感謝したい。
たくさんの世界と日本の架け橋を作るため、現在各国からの留学生や元留学生たちが、同じように本の執筆をしてくれている。これから各国の『TSUNAGU』本が誕生するだろう。その作品たちが世界各国、後世の人々の手に渡り、楽しみながら読んでもらえることを願いたい。その最初の一歩となったNinaさんの著書を是非読んで頂きたいと思う。
『世界と日本の架け橋ブック TSUNAGU スロベニア×日本』
2019年2月27日kindleにてリリース!
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