読み放題サービスにApple参入 amazonとの違いはどこに?
拡大するか!?読み放題サービス
2016年度の出版業界、ひとつの大きな変革があった。
amazonが電子書籍読み放題のkindle unlimitedをスタートさせたのだ。今では当たり前のように利用しているユーザーも多いだろうが、当時はかなり驚愕した。音楽ではSpotifyやAppple、動画ではNetflixやamazonプライムビデオのように、ストリーミング形式の台頭が目立っていたが、まさか本もそうなるとは。無制限に読めるのか?印税の計算方法はどうなるのか?色々調べたことを記憶している。読み放題サービスの利用率がどうなっていたかというと、2017年時点で既に利用していた人は17.5%、利用したいと思っている人が5.3%、または興味があるとする人が35.2%というアンケート結果が出ていた。現在はさらにその数字が増加しているだろう。
こういったストリーミング形式の読み放題サービスは、実は以前から存在していた。読み放題サービスの8割を占めるのコミックである。
電車などに乗った際に、ちょっと見渡すとスマホやタブレットで漫画を読んでいる人が多いのに気づく。特に10〜20代の男性の利用率が高いと推測される。2016年度の漫画の規模は1,617億円、前年度からは340億円増加している。その一方で、文芸書、実用書、写真集など、いわゆる文字物とされるコンテンツは、359億円となっている。
Appleの読み放題サービスのポイントは?
amazonのkindle unlimitedが拡大する中で、Appleが読み放題サービスの開始するという情報があった。「今さら?」という気もするが、Appleが作ろうとしているのは、どうやら定額制による雑誌読み放題サービスにようだ。雑誌読み放題というとdocomoのdマガジンがあるが、どこで違いを出すのだろうか?サービスの中には、新聞も含まれると言われている。新聞社や雑誌を扱う出版社が軒並み売上を下げている中で、Appleのこのサービスが救世主になるのだろうか?値段設定やどの出版社が参加しているのかは明らかになっていないが、情報によると利益はAppleと出版社(新聞社)で折半するらしい。ユーザーは月額を払えば最新号を好きなだけ読めるので、「中小出版社」と「ユーザー」にとってはメリットのあるサービスになりそうだ。しかしながら、大手出版社の場合は、他の中小出版社に売り上げの一部を持っていかれるイメージとなるので、あまりうま味はないのかもしれない。新聞社や雑誌出版社では、自社でもオリジナルアプリを出しているところもある。そうなるとAppleの読み放題に出す意味があるのか少々疑問だ。
新聞も含まれるというのが、amazonの読み放題にはないポイントであるので、今後は専門紙やフリーペーパーなども扱うようになるのではないかと推測する。いずれにしても、二番煎じとなる読み放題でAppleがどんな違いを見せるのか注目だ。この動きを見る限り、本、雑誌、新聞、冊子、カタログなど、ありとあらゆるものがデジタルストリーミングで読まれるようになるのは、火を見るより明らかだろう。紙の本を書店に流通させる販売方法がなくなることはないだろうが、販売と販促の方法はどんどん多様化していくと考えられる。本を出すことに注力することはもちろん大事だが、今後はどうやって出すのか、出した後どうするのかまで考えておく必要があるだろう。
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