輝ける人を創るたまり場
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生涯学習
僕の住む茨城県土浦市。この近隣は過疎化が進み、学校も統廃合され、幼稚園も閉鎖の危機にある。反面高齢化は進み、近所には70歳以上の皆さんの世帯が多い。自治会の集まりがあると、足腰の痛み、糖尿病の状態、病院が寄合所になっているといった話をよく耳にする。
「高齢者のたまり場」と聞いて、皆さんはどんなところをイメージするだろうか。近所のクリニック?寂れたショッピングセンターのTVの前?通い続けた赤提灯のカウンター?そういう場所をたまり場にして、変わりばえのしない1日を過ごすという人もいるだろう。65歳定年時代になってきたが、昔と違い今の65歳はまだまだ現役で働けるし、元気に様々な活動をしている人も多い。老け込む歳ではないだろう。
たまり場が日本を元気にする
「たまり場ニッポン」という団体がある。
たまり場ニッポンは、「生涯にわたって個性的で、いろいろな生き方が尊重される社会」「人生の各時期にわたる学習への需要をふまえた多様な学習機会が提供される社会」「いつどこで学んでも、学習成果が適切に評価される社会」を目指し、その総合交流の場として会員たちの「集う場」「学ぶ場」「創る場」を提供し、相互交流・応援のコミュニティー形成を目指して立ち上げられた。各地で様々な活動を繰り広げており、そのグループのひとつひとつを「たまり場」と呼ぶ。単発参加も可能で、どこから参加しても、何度参加しても、新しい学びが得られるカリキュラムを組んでいる。いつでも門戸が開いていて面倒な縛りはない。
寺巡り、カラオケ、ランニング、アロマ体験、カフェ、田植え、稲刈り、苔玉づくり、猫の被り物づくりなどなど、実に様々なたまり場が存在する。このたまり場を作るのは、「東京たまり場カレッジ®」で歴史・課題・仲間の活動を学んだ会員たち自身だ。自分たちのやり甲斐や生きがいを自分たちで創っていく。そしてそのコーディネートやサポートをしているのが、垣内奈々美さんだ。
垣内さんは元々会社員で、退職後ひょんなことからSNSにおけるインフルエンサーとなり、そのネットワークを生かしてたまり場ニッポンを各地へ広めている。平均寿命が世界でもトップクラスとなり、人生90年、100年となりつつある日本。長寿社会となったことで、孤独死や老々破産、老々介護など、多くの課題や問題が生じているのが現実だ。垣内さんは言う「人生100年を見据え、全国にたまり場と創年運動を広げ、住みやすく日本人でよかったと思える日本を創っていきたい。そして、生涯を健康で生き生きと学び続ける人の輪を広げていきたい」と。
やり甲斐や生きがい、そして役割づくりは、何も高齢者に限ったことではない。AIが発達する中で、近い将来あらゆる仕事がAIに取って代わると言われている。そんな時代において若い世代でも仕事を失うことがあるだろう。その時仕事や役割、やり甲斐や生きがいは自分で生み出していかなければならないと思う。人が人であることを仲間と認識しあえる場所、それがたまり場なのかもしれない。
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