自費出版と侮るなかれ。変わり始めた出版の仕組み。
本は誰が作ってもいいもの
秋田市内で「リバーサイド・ライティングゼミナール」という文章講座が開講されているそうだ。
「ちいさな出版物の『設計図』をつくるワークショップ」と銘打って、市内で文章講座を開く「リバーサイド・ライティングゼミナール実行委員会」と秋田経済新聞が共催している。このワークショップでは、「ミニコミ」「リトルプレス」「zine(ジン)」「フリーペーパー」といった、少部数や自主流通の出版物を作る第一歩として「設計図」を考える。出版や編集の経験は不要で、年齢も不問。本や雑誌を作ると聞くと、とても難しく感じるが、基本的な設計の方法を知ることで、ともかくも作ることは出来るだろう。もちろん、プロの編集者の人と比べると見劣りすることはあるだろうが(だからプロなわけで)、しかしながら作り方を学ぶことで、今の時代はちょっと素敵な本を作る方法が数多く存在する。「リトルプレス」「zine(ジン)」は、今まさに注目さているものだ。
それならば電子書籍も一緒に作って、電子版はwebやSNSと連携し、紙だけでは難しい読者の獲得を図ってもいいのではないかと思う。「電子書籍ってそもそもどうやって作るの?」「電子書籍ってどんなものなの?」「アマゾンで売るにはどうすればいいの?」最近そんな質問をたくさん受けるようになった。
電子書籍をメディアとして考える
2011年の日本における電子書籍元年から7年が過ぎようとする今、ようやく出版業界関係者も一般読者も電子書籍の存在に、本気で気付き始めたようだ。電子書籍ってどんなもので、どうやって作るのか?実はそんなに難しいものではなくて、マイクロソフトのワードがあって、文章が書ければ作れてしまう。そしてアマゾンがいれば、誰でも出版出来てしまうのだ(アカウントの取得がちょっと手間だが、、、)。
電子にすることで、例えば本の最後に載せたwebサイトのURLや、SNSのアカウント情報からリンクで誘導することも可能だし、何か商品を購入してもらったり、問い合わせや申し込みを受けることもできる。さらに音声や動画を組み込むことだって可能なのだ。「スマホで見られるあなたの最強のブランディングメディア」これこそが電子書籍だといってもいいだろう。この際、本という概念は捨ててもらってもいいと思っている。もちろん、ページをめくるエフェクトや、ハイライトを引いたり、しおりを挟んだりと、多分に本の要素は残っているが、紙の本ではまったく実現出来ない世界があるのだ。
前述した「ミニコミ」「リトルプレス」「zine」「フリーペーパー」を紙版として制作し、さらにそれらにデジタルの要素を加えて電子書籍を作れば、様々な可能性が広がるだろう。Zineやリトルプレスは、過去には「自費出版」という言葉で括られて、自分の記念や仲間内で出すデザイン性の薄い同人誌のイメージが強かったが、今はまったくそんなことはない。画像にしても文章にしても、十分なクオリティのものが数多くリリースされている。自費出版であろうとなかろうと、自分が求める情報が集約され、なおかつオシャレで読みやすくまとまっていれば、読者は読むのだ。
YouTubeによって個人が動画や番組を発信するようになったように、インスタグラムが個人が撮影し楽しんでいた写真を世界に解放しビジネスの道を拓いたように、本もいよいよ個人が発信する時代が来た。ただし、出版した作品がベストセラーになって楽しい印税生活を送ろうというのは、不可能に近いだろう。その在り方も少しずつ変わっていくはずだ。新たな出版の仕組みの中で、誰が未知なる鉱脈を見つけるのか?僕たちも飽くなき探求を続けよう。
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