後世に大切な宝物を残していこう
先日何かの折に、家族と3年B組金八先生の話をした。
長く続いた番組にはいくつもの思い出がある。小学生の頃は「腐ったミカン」と、中島みゆきさんが唄う「世情」に胸を熱くしたものだ。個人的には、俳優の風間俊介さんがメインの生徒役をつとめた、第5シリーズが最も思い出深い。
この回は、不登校やいじめ、学級崩壊や家庭不和といった、それまでの非行や暴力といったテーマからさらに闇が深まった印象だった。担任の先生が授業中に生徒からリンチを受け、救急車で運ばれるという衝撃のスタート。さらに療養中の担任に対して、生徒から葬式用の造花が送られ、担任はショックから自殺を図る。優等生だと思っていた生徒が問題の黒幕であり、クラスメイトの弱みを握ってクラス全体をコントロールする。毎回その陰湿なイメージに気分を悪くしたのを覚えている。さらに黒幕の生徒が母親を刺してしまい、彼をなんとか守ろうと金八先生が奮闘する。最後まですごく感情移入するシリーズだった。
金八先生とB組が挑んだ郷土芸能
さて、あらすじはさておき、このシリーズでボクはソーラン節、南中ソーランを初めて知った。文化祭の出し物をどうするか揉めに揉めて、棄権しそうな状況の中、介護施設の高齢者の助言や指導を受けながら、B組の生徒たちが南中ソーランを踊り切る。大人数が一体となって踊る姿が、とてもカッコよく見えた。
「ソーラン節」は、ご存知の通り北海道渡島半島に伝わる日本の民謡であり、ニシン漁の漁師達が「ソーラン、ソーラン」と掛け声をかけ合って、網に入ったニシンを船に移す時の「沖揚げ音頭」として歌われた労働歌だ。南中ソーランは、小・中学校の運動会や高校の体育祭・文化祭などで、ロック調にアレンジされたソーラン節に合わせて踊る郷土芸能の一つ。1983年に稚内南中学校で生まれたそうだ。教師・生徒一丸となって郷土芸能に取り組むことで、当時乱れていた南中の風紀を取り戻そうとする試みだったという。ルーツである北海道稚内南中学校の略称「南中」の名を冠して南中ソーランと呼ばれている。
ソーラン節をはじめ、日本には様々な民謡が残っている。
何か作業をしながら口ずさむもの、酒を酌み交わしながら皆で唄うもの、踊りがついているものなど、全国各地の民謡を数えれば枚挙にいとまがない。民謡には全国各地の人々の暮らしや習慣、その時代の古き良き日本の記憶が詰まっている。
同じく民話もそうだろう。詠み人知らずの譜が口承され、時代の移り変わりの中で少しずつアレンジされながら、現代まで語られている。核家族化が進む昨今においては、家族団欒の際や寝間での眠りしなに、祖父母や曾祖父母から聴かせてもらうということは少なくなったかもしれない。口承が途絶えてしまうものが多いのではと思っていたが、栃木県佐野市では、地域に伝わる昔話や伝説などをまとめた電子書籍が出版されたという。
「佐野の民話を後世に」 NPO法人理事長が電子書籍化
https://www.sankei.com/region/news/180926/rgn1809260012-n1.html
デジタルの力によって、貴重な歴史や記憶が残されていくのは、実に有意義なことだと思う。
世界の相互理解を深める民話・民謡
日本だけでなく、世界にも民話や民謡は数多く存在する。日本のものも含めて、それらは人類の財産ではないだろうか?そんな世界の民謡を唄い奏でるバンドORINOVIVOの緒方美穂氏が、民話と民謡のコラボレーションプロジェクトを進めようとしている。そもそもORINOVIVOは、世界の民謡を日本で紹介し、歌を通じて各国との相互理解を深めることをコンセプトにしている。10月26日に開催されるのは「民話と民謡でめぐるエチオピアの旅」。その名の通り、エチオピアの民話や民謡、その他様々なパフォーマンスを通じて、エチオピアへのヴァーチャル・トリップに誘うイベントだ。
「民話と民謡でめぐるエチオピアの旅」
https://www.facebook.com/events/421318961727775/
民話や民謡を様々なカタチにアレンジし、語り継ぎ唄い継ぐ試みが進んでいる。僕たちオモイカネブックスも、デジタルの力で文化・伝統の継承にひと役買いたいと思うので、もしこの分野に携わっている方がいたら、是非声をかけて頂きたい。
後世に大切な宝物を残していこう。
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