おもちゃ箱の中を覗いたような国 チェコ
ユニークさとシニカルさを備えたチェコの作品たち
チェコのシュルレアリストの芸術家であり、アニメーション作家・映画監督のヤン・シュヴァンクマイエル氏が引退を表明した。
ヤン・シュヴァンクマイエル氏の作品といえば、『不思議の国のアリス』を大胆に脚色した「アリス Něco z Alenky」、パペット人形と人間が演じる人形が交互に登場する『ファウスト Lekce Faust』、チェコの民話である食人木「オテサーネク」を取り上げた『オテサーネク 妄想の子供 Otesánek』、そして最新作であり最後の作品になるかもしれない、チャペック兄弟の戯曲「虫の生活から」とフランツ・カフカの「変身」をモチーフにした『蟲』などがある。
氏の作品ではよく「食べる」という行為が扱われるが、食べ物は不味そうに見えたり、食べている姿は非常に不快感を覚える。また性的な隠喩も用いられ、CGなどは一切使用せずストップモーション・アニメーションを多用するアナログ主義である。いずれも映像としては些か古めかしさやを感じさせるが、そこがクセになる。作品の中に見られる人間の狂気とユーモア、いやらしさやグロテスクさなどの描写が、感性を刺激してくるのだ。
チェコというと、ボヘミアン・グラスのガラス産業や操り人形のマリオネット、古城や様々な時代の建築物、そしてチェコビールなどを思い浮かべるかと思う。そうそう、プラハ歴史地区やチェスキー・クルムロフ歴史地区などの世界遺産も多い国だ。個人的にはチェコは文学の国であり、絵本大国というイメージが強い。フランツ・カフカ、チャペック兄弟、ヤロスラフ・ハシェク、ボフミル・フラバル、ミラン・クンデラ、ミハル・アイヴァスなど、個性的な作品を生み出した巨匠たちや、これから活躍していくであろう新進気鋭の作家も多く輩出されている。
記念すべき年にチェコと日本の架け橋を創る
先日ご縁があって、チェコ外務省外郭団体であるチェコセンター東京へ赴いた。ちょうどチェコの絵本作家12名の作品の展示会が開催されており、各クリエイターの独特の世界観を見せてもらった。やはりチェコの絵本は面白い。案内をしてくれたチェコセンター東京のKuba Válekさんと会うのは2回目だったが、今回もチェコの魅力やユニークなところをたくさん聞かせてもらったが、如何せん世界的に見て、チェコはあまり知られていない国だと言う。僕はチェコ文学も建築物もサッカーも、もちろんビールも大好きなので、ちょっと不可思議ではあったが、実は意外に世界で知られていないのだという。
実は今回Kubaさんに出会ったことで、チェコと日本の共通的や同じような伝統技術があることを初めて知ることが出来た。やはりこうして人と人が出会ったり、人を通じてその国を知り興味を持つというのは、とても重要なことだと思う。
さらにご縁が広がり、僕たちが進めている「世界の架け橋ebookプロジェクト」に、Kubaさんの友人であるKloutvor Tomášさんが参加し、チェコの偉人と魅力を紹介してくれることになった。Tomášさんが書く本を通じて、チェコという国を知り、チェコの人々に興味を持ち、将来彼の国に赴く子どもたちも出てくるだろう。そして、チェコと日本がもっと近しい存在となって、交流や相互理解が進むよう、僕たちが礎を築いていきたいと思う。お二人とも、きっと素晴らしい架け橋になってくれると思っている。
9月28日(金)〜30日(日)には、原宿クエストホールで「チェコフェスティバル2018」が開催される。チェコスロバキア建国から100周年であり、また1968年に起こったチェコスロバキアの変革運動「プラハの春」から50年となる今年、ぜひフェスティバルに参加して、チェコという国を体感しよう!
チェコフェスティバルfacebook
https://www.facebook.com/events/205334686789455/
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